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「お茶を濁す」という言葉、正しく使えますか?

「お茶を濁す」という言葉がありますね。適当にごまかす、という意味で使われることが多いようです。でも、この「お茶」って緑茶だと思っていませんか? いったいどういうことからできた表現なのでしょうか。

実はこの「お茶」は、抹茶のことを指しています。お茶(抹茶)を点てる際に、お茶の作法を知らない素人は本格的なお茶を点てることができません。だからその場で適当に真似事をして濁らせてごまかした、ということが由来だといわれています。

現在でも、抹茶を点てて楽しむということは一定の技術がある人でなければ難しく、素人は見よう見まねでしかできません。それと同じで、昔は抹茶自体がとても高級なものだったので、本格的な抹茶を点てる作法を知っているのは僧侶や貴族の人だけでした。作法を知らない素人は程よく抹茶を濁らせて、それっぽく見えるようにしてごまかしていたそうです。

つまり、「お茶を濁す」という言葉はなんとなくごまかすというだけでなく、都合が悪いその場を取り繕ってしのぐ、という意味が強いわけですね。

このような「お茶」を使った慣用句は他にもいくつかあります。

例えば「お茶を挽く」というと、茶の葉を挽いて抹茶を作るのが暇のある人の役割だったことから、特に用事があるわけではなく、暇であることを指す言葉です。特に、芸者や遊女などに客がつかず、商売が暇なことを言いました。

また「茶の間」というと、居間のことを指しますね。お茶の仕度をする茶室や、家族で食事や団らんに使う部屋、という意味です。

こうして見ると、日本人の生活にお茶が欠かせないものだったことがわかります。由来を正しく知って、正しい使い方をしたいものですね。