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PC活用講座 - Excel

「Excelの便利機能活用術」
工程管理に最適なガントチャートを効率よく作成しよう

ITライター 立山秀利

工程管理によく用いられるガントチャートをExcelで作成したい機会はしばしばある。今回はチャート部分の作成や変更への対応を自動化したガントチャートの作成方法を解説する。

セルの塗りつぶしでチャート部分を作成

ガントチャートはプロジェクト管理などにおいて、各工程のスケジュールを横棒など視覚的に表現した表である。今回は各工程のスケジュールをセルの塗りつぶしで表すタイプのガントチャートを作成したいとする。

完成形は以下の図1の通り。A3セル以降に工程が並び、それぞれ開始日がB列、終了日がC列に入力されるとする。D2~W2にはカレンダーの日付が入力されているとする。そして、各工程の開始日から終了日までのセルをオレンジ色で塗りつぶす形式のチャートによって、工程のスケジュールを引くとする。

図

図1
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なお、各日付のセルは、Excel標準形式「西暦年/月/日」のデータとして入力し、「月/日」の形式で表示している。同形式で表示するには、「セルの書式設定」ダイアログボックスを開き、「分類」の一覧から「日付」を選んだ後、「種類」の一覧から「3/14」を選べばよい。

開始日から終了日のセルの塗りつぶしによるチャート部分の作成は、手作業で行おうとすると、手間と時間を擁してしまうもの。しかも、ミスをしてしまう恐れも多い。さらには開始日/終了日に変更があった場合の対応も同様の問題を抱えている。

条件付き書式で開始日から終了日のセルを塗りつぶす

今回は、各工程の開始日から終了日までのセルの塗りつぶしを、「条件付き書式」機能を利用して自動化する。条件付き書式とは、指定した条件に合致するセルに、指定した書式を自動で適用する機能である。

目的の条件付き書式は、各工程のスケジュールを引くセル範囲であるD3~W9セルに設定する。まずは同セル範囲をドラッグして選択し、[ホーム]タブの[条件付き書式]→[新しいルール]をクリックする。

図

図2
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「書式ルールの編集」画面が表示される。画面上部の一覧から[数式を利用して、書式設定するセルを決定]を選び、画面下部の「次の数式を満たす場合に値を書式設定」のボックスへ数式を入力する。

図

図3

数式のAND関数は引数に指定した複数の条件式がすべて同時に真(成立する)の場合のみ、全体を真と判別する関数である。数式は次の通り。
--------------------------
=AND(D$2>=$B3,D$2<=$C3)
     -------- --------
      条件式1  条件式2
--------------------------

条件付き書式のルールの数式は、設定するセル範囲の左上のセルを基準に設定すれば、残りのセルにも設定される。今回のサンプルならB3セルを基準に設定すればよい。残りのセルは場所に応じて、数式内のセル番地が参照方式に応じて変更される。

条件式1の数式「D$2>=$B3」は、D2セルにあるカレンダーの日付が、B3セルの開始日の日付以上かどうかを判定している。残りのセルでも意図通りの判定が行うため、左辺(「>=」などの左側に記述した値)の値は常に2行目を参照するよう、行を固定した複合参照で指定。右辺(「>=」などの右側に記述した値)の値はB列を常に参照するよう、列を固定した複合参照で指定する。

条件式2の数式「D$2<=$C3」はD2セルのカレンダーの日付が、C3セルの終了日の日付以下かどうかを判定している。これら2つの数式が同時に成立するセルが、開始日から終了日までの日付のセルに該当することになる。

図

図4
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開始日/終了日の変更に自動対応できる

続けて、[書式]をクリックする。「セルの書式設定」画面が表示されるので、[塗りつぶし]タブに切り替え、「背景色」からオレンジ色を選択し、[OK] をクリックする。

図

図5

再び「書式ルールの編集」画面に戻るので、[OK]をクリック。これで、各工程の開始日/終了日に応じて、該当する日付のセルがオレンジ色で塗りつぶされるかたちで、スケジュールが自動で引かれるようになる。

もし、各工程の日程に変更があっても、B列の開始日と終了日を変更すれば、チャート部分に自動で反映される。

このように条件付き書式をうまく利用することで、チャート部分の作成や日程変更への対応を自動化できる。その上、自動化されたがゆえに、ミスの恐れもなくなる。

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立山秀利(たてやま・ひでとし)

カーナビのソフトウェア開発、Webプロデュース業務を経て、現在は、システムやネットワーク、Microsoft Officeを中心に執筆中。 主な著書に『Excel VBAのプログラミングのツボとコツがゼッタイにわかる本』などがある。

(監修:日経BPコンサルティング)