GRANDIT
ERP導入の際に捨てざるべきもの、捨てるべきもの
2008年2月18日
ERP導入が進まなかった理由
日本企業は、欧米に比べERPの導入が進んでいません。そこには様々な要因がありますが、一つには提供側(ITベンダー)と受け入れ企業(ユーザー)との関係が大きかったと考えられます。
ERPやパッケージが少なかった時代、ITベンダーはユーザーの言う通りにシステムを開発していました。たとえそれが同業種同規模の企業であっても、システムは個々に開発され、如何にお客様の言う通りに構築出来るかがITベンダーの付加価値になっていました。
ITの進化はレガシーからオープンに変わる中、各種業務システムのパッケージ化が進み、統合システムとしてのERPが生まれました。
ITベンダーは、従来の個別開発からパッケージという既製品を、「早い・安い・うまい」と訴え提案するようになりました。しかしユーザーにとっては自社用に開発され、それこそ「痒い所に手が届く」システムからの脱却には至らなかったようです。
しかしここにきて、ERPの導入を検討している企業が増えています。きっかけは2008年度から実施される金融商品取引法「内部統制」への対応です。
ERPは必ずしも内部統制に必須ではありませんが、今までなんとかレガシーシステムを維持してきたユーザーでも、内部統制からの要求事項であるアクセス管理・ログ機能等への対応、ITアプリケーション統制における業務プロセス・システム運用・セキュリティ対応など、ERP導入により現場やIT部門への負荷軽減が図れることもあり、これを機会に検討を始めた企業も多いようです。
今後のERP導入に際し見極めるポイント
今後のERPの導入に際して、見極めるポイントを例示します。
ERPが持つビジネスモデルを利用するか否かを考える
前述のように、ERPには既製化されたビジネスモデルがあります。ITベンダーはお客様に、「当製品の利用によってお客様のビジネスモデルを最適化しましょう」と提案しますが、実態は少し違うようです。
例えば、企業の債権管理には事業形態によって、営業が債権管理を行う場合(営業しか入金内容を精査できない等)と、経理が債権管理(業務効率・精度による等)を行う場合があり、ERPの構造によっては大きな問題とも成り得ます。
また製造業における原価管理でも、生産部門(原価分析・生産効率)と経理部門(在庫資産の精度向上)では求める目的が異なるため、要求機能にも違いはあります。
ERPは、あくまで開発ベンダーが考える汎用性・最適であって、全ての企業に向けたベストプラクティスではありません。導入企業はERPの導入目的をもとに、ERPが持つビジネスモデル・機能を利用する方が良いのか、自社が最適と考えるものにERPをカスタマイズ・アドオンする方が良いのか、見極めが必要です。
全社最適の視点で業務分掌の見直し・改善を進める
ERPを導入する前の個別業務システムでは、その業務範囲内での最適化が求められていました。しかしERPでは、複数の業務システムが統合化・最適化されており、場合によって一部の部門の負荷が増すことも起こり得ます。
よく見かける例として、次のような状況があります。
- フロント部門(営業・購買など)の伝票処理・チェックを信用せず、経理部門が再度詳細に亘ってチェック・承認しなければ確定しない。
- 部門毎の分掌が徹底されず、業務が重複している。また部門個々で業務遂行するために、複数の個別システムが利用され、情報の孤立・重複管理をしている。
ERPの導入は、企業にとっては一つの機会と考えることができます。自社にとって本来どうあるべきかなど、ERPの機能を手本に、全社最適の視点で業務分掌の見直し・改善を進めることで、より効果・効率が向上するものと考えます。
ERPの機能を使いこなす
従来のシステム化では、マネジメントからの要求として多くの管理帳票が作成され、相当の投資が必要でした。
近年は業務システムから表計算ソフトへのデータ抽出、業務システムとは異なる分析ツールの導入、またERP自身がデータ分析機能を搭載しているケースもあります。しかし活用は一部のユーザーに限られ、相変わらず帳票作成が横行していることも、少なからず見受けられます。
エンドユーザーは、ボタン一つで簡単に作表・問合せができることを望みますが、形式化(固定化)された管理帳票はマネジメントの固定化にも繋がり、経年すれば不満の温床にもなります。
導入当初に多少負荷がかかっても、利用者がITシステムに歩み寄り自在に使いこなすことが出来れば、情報の変化・視点の変化に対するマネジメント対応力強化が実現出来ると考えます。
ERPには、データ分析機能を含め多くの機能が搭載されています。以前のシステムを踏襲し「ERPに無ければアドオン」ではなく、利用者がERPを良く理解し使う技術を習得することを検討してみては如何でしょうか。
様々な視点で見極める
ERPは企業にとって、多大な人・金・時間の投資を必要とします。そして導入の成否は、企業活動に多大な影響を与えます。
ERPを過信せず、現状に満足せず、導入時には様々な視点で 「捨てざるべきもの」「捨てるべきもの」をしっかりと見極めることが重要です。
