災害対策について全てを網羅するのが理想ではあるが、現実には困難なのが現状である。
そこで、これから述べることを念頭に置いて取り組んで欲しい。以下の10項目を押さえて検討することで、かなりの効果があるはずである。
ほとんどの企業では、重要なシステムのデータのバックアップは取っているが、リストア、つまり復旧時のことを真剣に考えている企業は少ない。
1時間で復旧する必要があるのに、リストアに5時間かかるという笑い話のようなケースがある。
バックアップ等の対策と同時に、復旧手段も考慮することが必要である。
売上・利益増大、事業拡張だけが経営課題ではない。事業継続計画策定にまつわるビジネスインパクトやリスク分析も重要な経営課題である。
このことをトップ自ら認識し、コミットメントすることが重要。そうすることにより、やるべきことに対してのコストの必要性が社内的に理解され、実現に近づく。
危機管理責任者・部門は災害時にしか活動しないと思いがちだが、通常時にいかに準備するかが重要。
定期的な訓練や、大幅な業務変更による復旧計画の変更等を通常業務に組み込み、担当者のモチベーションを維持することが重要である。
災害復旧計画を策定する際、企業としてのミッションクリティカルな業務を明確にし、プライオリティに関して社内で共通認識を持つ必要がある。
そのためにはビジネスインパクト分析を実施し、何を優先し、何を後回しにするのかを経営的視点から可視化する必要がある。
優先順位に基づき、復旧時間の目標を立てる必要がある。
このときその目標時間を達成する必要性を十分議論し、そのために必要な投資費用とのバランスを考えながら設定する必要がある。
あれば便利なものと、絶対必要なものの見極めを優先順位に基づき、実施する。
災害復旧時に必要なシステムは用意したが、それを運用する人が不足しているケースもあるため、リソースを考慮する場合は、運用まで含めて検討することが必要。
災害時に起こる情報の錯綜に対処するために、事前準備で災害対策本部の設置を必ず考慮しておく必要がある。
訓練を行う際には、情報の集約を意識して行うと更に効果的である。
災害対策は一つのパターンだけではなく、優先順位に応じて複数のパターンを用意しておくことにより、災害対策の堅牢性が増す。
但し、重要度が低いものに対して複数のパターンを用意することは過剰投資に繋がりかねないので、注意が必要である。
事業継続計画策定は実施したが、訓練はしていないというケースも少なからず見受けられる。
いざというときに役に立つように訓練することは重要である。しかしながら年一回の定期的な訓練だけでは緊急時に対応できない可能性が高い。
例えば、社員の安否確認は通常の業務連絡システムを活用するなど、復旧時のオペレーションを日常業務のなかに組み込むことが望ましい。
完璧な事業継続計画を策定するためには、膨大なコストと時間がかかる。まずは出来ることから着手するのが望ましい。
例えば、ミッションクリティカルシステムのバックアップデータをマシンルーム内で保管しているなら、保管場所を堅牢なデータセンターの媒体保管庫に変更する。
これだけでも、システムの復旧可能性の大幅な向上が見込める。
ここまで、「BC/DR実現企業における成功のポイントとは」「災害対策のポイントと当社のお客様に見る対策事例」「事業継続計画策定の10ポイント」と、BC/DRへの取組み方について3回に渡って色々述べてきた。
理想を追求すればきりが無い。成功のポイントは、コンサルタント会社やベンダーを当てにせず、自社の中で思いを一つにしたBCをスタートさせることである。
100点を目指す必要は無い、50点でも構わない。まずはスタートを切って欲しい。それが一番の近道と信じる。

NECネクサソリューションズ
システムサービス開発事業本部
事業本部長代理 松原 覚
(2007/12/6「C&Cユーザフォーラム」で講演)