一般的にコールセンターというと、企業が提供している製品・サービスを購入したお客様が疑問や問題が発生した場合に、問い合わせを受けて回答を行う窓口ですが、近年、コールセンターの果たす役割も、単なる問い合わせ対応だけでなく、受注、営業活動、マーケティングなど、多様化されてきています。
コールセンターには多種多様のソリューションやツールが導入され、コールセンターのIT化は進歩を続けています。しかし、一方でいくらIT化や標準化をして、インフラや環境を整備しても、ヒト to ヒトの関係が基本となるため、コールセンターの運営・運用のベースは、従来と変わらずヒトであり、ヒトが中心となって業務が進められていきます。
コールセンターの運営形態には、大きく、自社で運営している形態(インハウス)と外部委託している形態(アウトソース)に分かれます。外部委託の多くは、窓口で実際に電話を受けるオペレータは、派遣・契約社員を活用するケースが主です。
そこで今回は外部委託のケースについて、コールセンターの現場で、どのようなポイントでどんな教育を行い、電話対応のプロの育成を目指しているのかご紹介します。
主に新人オペレータ向け導入教育時には、業務スキル(サービス・製品)、知識教育(技術スキル)、電話応対教育を行い、新しい製品・サービスのリリース時や、新技術のリリース時には、全員に対して知識の補完教育を行っています。
その際、以下の2点を確実に行い、要員のレベルを把握することが重要となります。
コールセンターによって異なりますが、例えば、以下のような基準を設けます。
定期的に応対のモニタリング内容、応対記録内容を確認して、オペレータの弱点を把握します。そして、個別にフォローアップ教育を実施することで、継続的に知識の向上を図っていきます。
前述の応対基準をクリアしているか、判定テストを”複数回”実施します。判定する担当者も複数人で行うことを推奨します。
業務知識や技術知識等の基本的な知識の確認は、主に筆記テストを実施します。
基本的な応対スキル、応対フローの確認やスーパーバイザ・リーダーへ適切に確認できるかどうか等は、シミュレーション(ロールプレイング)で判定します。
一般的にはお客様の立場、相手の立場にたった対応といわれていることですが、相手がどんな状況で電話しているかをイメージすることができるかどうかで、対応は大きく変わることから、相手の状況をイメージする訓練を行います。具体的には以下のような訓練を行います。
全てのオペレータを対象として、オペレータの応対内容をトレーナーと一緒にモニタリングします。モニタリング終了後に、本人とトレーナーとの間で応対内容についての良い点、改善点について意見交換します。トレーナーは何故良いのか、何故改善が必要なのかを、本人への気付きを促すことに注力したフィードバックを行います。
実際の問い合わせの実例を基にシナリオ作り、トレーナーがお客様役となり、新人オペレータと電話応対を行い、その結果をチェックします。主に新人オペレータが対象となります。
さまざまなパターンを実施することで、より多くの経験を積むことを狙いとしています。以下にシナリオの一例をご紹介します。
| 技術的な問い合わせ |
プリンタの設定方法 |
|---|---|
| 事務系の問い合わせ |
パスワードがわからなくなった |
| 障害時の問い合わせ |
システムが急に利用できなくなった |
このような訓練では、以下の点をポイントに、相手の状況をイメージする経験をたくさん積むことを目的として、シミュレーション→フィードバックを繰り返し行います。
| 相手の話を理解する |
時には整理する |
|---|---|
| 何故問い合わせをしているのか |
自分が困っているのか |
| 相手はどういう状況で問い合わせしているのか |
急ぎなのか |
| 何を求めているのか |
解決してほしいのか |
例えば、システムトラブルの問い合わせに対して、お客様は原因を知りたいと思っているケースが多く見受けられます。解決・回避は第一ですが、お客様が原因を知りたいという気付きがあれば、解決・回避の詳細な原因も案内することで、お客様の期待に応える対応となります。
逆に解決・回避を優先しているお客様に詳細な原因を案内することは、不満な対応となります。
相手の状況をイメージすることにより、お客様の期待に気付く、感じることが、非常に大切と考えています。
お客様からクレームを頂くこともあります。クレーム対応スキルも大事ですが、取り扱っている製品・サービスに愛着を持つこと、あるいはその会社自体を好きになる、その会社を代表して対応するという意識が自然と生まれる状態になるように、要員に対してはクライントの言葉や考えを積極的に伝えるようにしています。
具体的には、朝・昼・夕方の簡単なミーティングでの口頭周知、回覧による情報共有、また情報共有化ツール(Web等)で伝えています。
スーパーバイザ・リーダーに新しい役割を付与する場合、内部的には、新しい役割・ミッションの再確認や、期待や心構え等内容について面談という形態で実施しますが、タイミングを見てコールセンターの要員教育を専門にしているベンダーの外部教育の受講を推奨します。
外部の専門教育を受けることにより、以下のメリットがあり、受講したメンバーのほとんどが、高いモチベーションを持って、業務を行うようになります。
上記で紹介した事はほんの一部ですが、コールセンターでの業務は、ヒト to ヒトの関係がベースとなるため、ヒトの育成、ヒトのマネージメントは、コールセンターを運営・運用するための大きな命題の一つです。
私は、「製品を好きになって、会社を好きになり、その製品を使ってくれる人(お客様)を好きになる その会社のファンを増やせる人」を育てることを大きな命題として日々取り組んでいます。
もし、コールセンターを見学する機会があった時、そこで働く人に活気があり、目の前の電話に一生懸命対応している光景を目にすることができたら、きっとそのコールセンターは良いコールセンターだと言えるでしょう。