注文主の作業場所で仕事をするときは、派遣と請負では法律的には明確な区別があります
ここでは、作業依頼・指示をどのように出すかという点で考えてみます。
業務上の指示を行うことができる権利を指揮命令権といいます。指揮命令権は、労働者に対して業務上の仕事の割付、仕事の順序、緩急の調整、技術指導などの指示ができます。
発注する業務に指揮命令権を使う必要があれば派遣を選択し、発注する内容の仕様を作成し、納期を決めた後は、その業務に対して指揮命令権は使わないのなら請負契約、という考え方が問題を起こさないための原則だと思います。
指揮命令権と雇用関係は、次のように整理することができます。
雇用契約という契約と指示命令権が一致している、最も身近なケースです。
法律的にも、労働者の権利を守るためのに「労働基準法」が定められています。これは正社員も派遣もパートも、雇われて働く人すべてに関わる法律です。

雇用者である派遣会社が、派遣先企業に指揮命令件を委ねる形で、雇用関係と指揮命令権が切り離されている点に特徴があります。
労働基準法ではカバーしきれない「派遣というかたちでの労働」に特化して「労働者派遣法」があります。正式名称を「労働者派遣事業の適正な運営の確保および派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」といい、1986年7月1日から施行され、社会環境の変化に対応して何度か改正が行われました。
派遣労働者が実際に働く職場は、就業先である派遣先企業です。しかし、雇用者は派遣元、つまり労働者として登録してある派遣会社です。したがって、給料は派遣会社から支払われますし、社会保険も一定の条件を満たしていれば派遣会社で加入できます。
ただし、「一般労働者派遣」の多くは、派遣会社に登録しただけで派遣会社と雇用契約が結ばれたことにはなりません。実際に派遣先で就労している期間のみ雇用契約が成立することになっているケースが多数です。

請負は、「仕事の完成までを丸ごと請け負う」ものです。請負主が、雇用関係にある従業員を自ら指揮命令して、注文主から請け負った業務を行います。
つまり、注文主はあくまでも顧客でしかなく、請負で働く人員に対して雇用関係も指揮命令権も持っていないことに特徴があります。したがって、注文主と請負主の間で以下の条件を満たす必要があります。

派遣をお願いしようとしたときに、取引先である人材派遣業務を行う企業は、厚生労働大臣の許可または届出が必ず必要となります。これらの許認可には様々な条件が定められており、条件をクリアしていると認められた会社には、厚生労働大臣許認可番号が与えられます。
労働者派遣法では派遣会社が守らなければならない義務が多く定められていて、違反した場合は営業停止等の罰則が科せられることもあります。
| 一般労働者派遣事業者 (厚生労働大臣の許可) |
社員(自社の常用雇用労働者)以外の労働者の派遣が可能。 |
|---|---|
| 特定労働者派遣事業者 (厚生労働大臣への届出) |
社員(自社の常用雇用労働者)のみ派遣が可能。 |
派遣を依頼する際の選定ポイントは2つあります。
第一のポイントは、その派遣会社が許認可番号を取得しているかどうかです。
第二のポイントは、その派遣会社が「一般労働者派遣事業者」「特定労働者派遣事業者」のどちらなのか、許認可番号から確認してください。
この2ポイントが最低限の目安でしょう。さらには、自分の発注したい仕事の種類や、契約期間の問題を考える必要があります。
厚生大臣の許認可番号は、以下のような数字が書かれています。
例:(般)13-01-1234
| (般) |
(般)とは「一般労働者派遣会社」 |
|---|---|
| 13 |
都道府県番号 |
| 01 |
管轄の職業安定所の番号 |
| 1234 |
管轄の職業安定所内での認可番号 |
現在は、港湾運送業務、建設業務、警備業務を除くほとんどの職種で、派遣スタッフとして働くことが可能となりました。ただし、医療関係については一部制限があります。
2007年3月から、派遣期間は最長3年となりました。その制限を超えて同じ派遣先で、同じ派遣労働者が働くことはできません。
派遣先が、制限期間を超えて同じ派遣労働者に働いてもらいたいときは、本人に意思確認をした上で、その派遣労働者を直接雇用するように努力しなければなりません。
同じ会社で派遣として働ける期間は、職種や派遣のかたちによって異なります。専門性が高い職種として、政令(労働者派遣施行令)によって定められている26の業種については、派遣労働者が望む限り、派遣期間の制限なく働くことができます。
26業種の内容は以下の通りです。
業種職種に関係なく、特例として期間制限がない派遣形態があります。
1日だけ、1週間だけなどの一時的な派遣は、「一時的に労働力が欲しい」という企業のニーズに応えるもので、最短の期間制限は定められていません。