全ての企業活動の中心となるのが、会計、人事、給与、販売管理、生産管理などの基幹業務です。
これらの基幹業務は、かつては汎用コンピュータやオフコンといった大型コンピュータ上で、一から開発する事が多かったのですが、最近はERPと呼ばれる統合業務パッケージソフト製品が登場し、利用シーンが増えました。
コンピュータ環境も、オープン化とともにサーバとパソコンの利用が進み、企業への基幹システムの導入が一気に加速しています。
ITを活用して会社の現状を正確に把握する事は、中小企業においても今や常識となりつつあります。
コンピュータ自体の進化と並行して、ネットワークの改良も進みました。
近年のブロードバンド環境の普及により、従来、企業が自社内で導入していたコンピュータシステムを、インターネット経由で利用できるサービスが増えました。
このような形態にすると、企業がサーバやソフトウェア資産を保有する必要がなくなり、パソコンをインターネットに接続するだけで、必要な機能を利用する事ができます。
このように、ネットワーク経由でソフトウェアアプリケーションを利用できる形態を、ASPやSaaSと呼んでいます。クラウドコンピューティングと呼ぶこともあります。
ASP・SaaSは、本来異なるサービスとして区別されていましたが、最近は同一の意味として紹介される事が多くなっています。
今回はそれぞれの定義に関する詳細はお話ししませんが、企業にとっては、設備を「持たずに使える」という点が共通のメリットになります。
このようなメリットから、ASP・SaaS環境を利用した基幹システムの利用が、今注目されています。
ERPパッケージにより、基幹システムは導入し易くなりましたが、依然として費用と時間がかかる部分も残されていました。例えばパッケージの選定、必要なサーバやソフトウェアの購入、設置作業、動作までの設定などです。
ASP・SaaSのサービスを利用することで、これらの問題を解決できるのです。
中堅・中小企業様向けERPで代表的な「奉行21」を例に、実際のコスト比較例を見てみましょう。
下の図は、奉行21の勘定奉行を2人、商蔵奉行を3人で利用した場合の月額の運用コストを比較したものです。
人的コストが削減され、さらにセキュリティが高まり、高い安全性が確保されます。
ERPシステムを自社内で導入した場合には、サーバやアプリケーションソフト等を用意する必要がありません。これにより、初期導入費用を抑えることができます。
ERPシステムを導入した場合には、運用要員の確保が必要になります。
運用要員の主な業務としては次のような作業が考えられます。
運用要員にはある程度の専門知識が必要とされており、常に最新のITスキルを維持しなければなりません。
また、セキュリティへの対応、つまり、情報漏えいやウイルス感染等、セキュリティインシデントは夜間や休日を問わず発生することが予想されます。したがって、24時間365日対応可能な運用体制を維持する必要があります。
ASP、SaaSを利用すると、このような運用体制維持の問題からも解放されます。
スキルを持ったサービスベンダーの要員が、専任の体制で、24時間365日対応するからです。
ASP、SaaSを利用すると、サービスベンダー側のスキルを持った専任の体制で、24時間365日対応しますので、このような運用体制維持の問題からも解放されます。
いまやITシステムは、企業にとって重要なライフラインの一つです。システムの停止は、経営の根幹にも関わります。
また取引先の事業継続が、自社の事業継続にも影響をおよぼす事から、取引先が事業継続計画(BCP)策定を求めてくるケースが増えています。
中堅・中小企業でも、単なるハードウェア故障への対応は比較的とり易い対策の一つです。
しかし、自然災害、火災、電力・水道などのライフライン障害、新型インフルエンザなどへの対策は、これからという企業が多いのではないでしょうか。
災害対策の手段として、ASP・SaaSの利用は有効です。
ASP・SaaSを利用する形態であれば、建物免震構造、冗長化されたUPS、自家発電装置等を装備したデータセンターに、サーバが設置されており、レベルの高い災害対策を実現することになります。
今まで述べてきたように、ASP・SaaSは単なる、「導入型」と「サービス利用型」の違いに留まりません。
ASP・SaaSは運用要員の確保・維持や、事業継続性の視点からも、経営強化の有効な選択肢の一つと言えます。
基幹システム導入を検討されている企業、現在の基幹システムに問題・課題を抱えている企業にとっては、一度検討してみる価値があります。