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総務人事向け
これまでの常識は通用しない!売り手市場時代の人材確保術(第1回)

新卒採用ではお互いの相性をしっかり確認し合う

2016年10月

昨今は、業種や企業規模を問わず、人手不足の状況が続いています。業界によっては、いくら人材募集をしても採用ができない企業も少なくないようです。

厚生労働省の「職業安定業務統計」をみると、2013年に新規求人数が求職者数を上回り、以降その差はどんどん拡大しています。採用環境の厳しさを顕著に示すデータです。

新規求人数・新規求職申込件数の推移

今後、日本は労働力人口が急速に減少していきます。厚生労働省の推計によると、2015年の労働力人口は約6600万人でしたが、2025年に約6300万人と約300万人も減少する見通しです。それだけに、今までと同様の方法では、企業の人材確保は立ちいかないことは明らかです。では、どうすればいいのでしょう?

ここでは、企業のこれからの人材確保の方法について、事例なども参考にしながら考えていきましょう。第1回となる今回は、新卒採用の方法です。

学生の企業選びの基準は「仕事の軸」「人の軸」「職場の軸」の3つ

学生が企業選びをするにあたっては、大きく3つの基準軸があります。

1つ目は“何をするか”という事業内容や仕事内容に着目した「仕事の軸」、2つ目は“誰と仕事をするのか”“どんな人たちと一緒に働くのか”に着目した「人の軸」、3つ目は“どこで働くのか”という「職場の軸」で、ここには会社へのこだわりや、勤務地、労働時間、給与といった労働条件も含まれます。はっきり自覚していない学生もいますが、ほとんどの場合は、この3つの軸の中で、それぞれが持つ価値観に基づいて優先順位を持ち、企業選びの基準にしています。

このため「人の軸」が優先の人に、仕事内容ばかりをアピールしても響きませんし、「職場の軸」が優先の人に、人間関係の良さばかりを言っても同じことです。特に中堅中小企業の場合、事業内容や労働条件といったところでアピールしても、特徴的な強みを持った一部の企業を除いては学生の心をとらえることは難しく、どうしても「人の軸」を中心にするしかありません。

ここで、興味深い調査結果を紹介しましょう。就職情報大手のマイナビが2017年卒の学生を対象に行った調査によると、「企業の志望度が下がった理由」の第3位に「人事担当者に魅力を感じなかった」が挙がっているのです。採用担当者という会社を代表する「人」の印象は、かなり大きなものであるといえるでしょう。

志望度が下がった理由

ある会社の説明会では、人前で話すことがあまり得意でない社長が、あまりにも淡々と長時間説明したために、選考に進む人が激減してしまったことがありました。社長といえども、適材適所ではなかったわけです。採用活動に携わる人は、自社を代表する「人」として、相応の能力と適性を持つ人が当たらなければなりません。

悩ましい自社アピールの方法と応募者集め
 ~人材を確保するための2つの方法~

採用担当者の多くが悩んでいるのが、会社説明会への動員でしょう。各社いろいろ工夫していますが、結局そこに画期的な方法は無く、行われているのは「広報内容の工夫」や「DM・電話による動員」などの一般的なものが中心です。「履歴書不要」「マッチョ枠」「麻雀試験」など、奇抜な選考方法で注目を集めている企業もありますが、それが本当に良い人材との出会いにつながるのかは、何とも言えません。

さらに最近は、説明会の動員数や応募者数が多くても、それが採用に結びつかなくなってきています。短期決戦ゆえに、学生は自分に合った企業を見つけようと最後まで努力するからです。内定辞退者の増加もそんな状況の表れといえるでしょう。

(1)あえて応募者数を増やすのではなく、採用確率を上げる

最近私が注目しているのは、あえて応募者の人数を追わない企業が出てきていることです。採用活動の効率を考えれば、少ない応募者で採用数を確保できることが最も望ましいわけですが、そこでマーケティングと同じ考え方を取り入れ、「自社への志望度が高いと思われる学生」「自社の人材要件にあった学生」といった見込みターゲットに取り組みを集中することで、少ない母集団での採用確率を上げようとしています。

(2)「単純接触効果」により関係を醸成し応募者を増やす

内定辞退者増加の問題についても、地道な取り組みを続けるしかありませんが。繰り返し接すると好意度や印象が高まるといわれる「単純接触効果」に取り組み、着実に効果を得ている企業もあります。ただ事務的に何度もメールをしたり電話をしたりするのではなく、人間関係や信頼関係作りを意識した個別対応の取り組みを続ける方法です。労力は大きくなりますが、実際に関係が深まったことで応募者が増えています。

面接審査は最善の採用方法なのか
 ~隠れた人材が見つかる採用方法の例~

売り手市場と言われる就職活動ですが、半面、多くの会社に応募しながら、なかなか決まらずに苦労している学生も少なくありません。就職活動の中で、企業から良い評価をもらえる人は、書類選考やテストを行うにしても、面接での対応が良い人になりがちです。すなわち弁舌が立つ、話がうまい、口頭でのコミュニケーションが得意という人たちであり、逆に不得手の人は、就職活動に苦労しているようです。

ある中小企業では、応募者自体の人数があまり多くないこともあり、社長は「必ず一つは応募者の良いところを見つけるように」と採用担当者に指示しています。選り好みをしていては、募集人数に達しないからです。これは採用担当者にとっては難しい注文で、この会社の担当者は様々な方法を用いて、一人ひとりの選考に時間をかけています。

あるときの学生の面接では、緊張しているのか、なかなか良いコミュニケーションが取れませんでした。質問をしても「はい」や「いいえ」で終わってしまい、何か聞いても型通りの答えしか返ってきません。ただ、本人が一生懸命なことだけは分かりました。

普通であれば、「ちょっと難しいね」と不採用になるのでしょうが、採用担当者は何か良いところを見つけなければならないので、他にいくつかのテストをすることになりました。適性テストを見ると、基本的には地味でおとなしい人で、自分から前面に出ていくタイプではありません。面接での緊張した姿のままの結果です。

そんな中で、実技テストとして、パソコンのデータ入力操作をやってもらうと、これがピカイチでテキパキこなします。本人に聞いてみると、もともと漢字の読みや文章を書くことが得意だったようで、そんなアルバイトもしていたようです。この会社では、実際の仕事でも同じような作業があり、この応募者を評価した社員によると、「社員の誰よりも早くて正確」ということでした。

その後、この人は最終面接に進み、そこでの応対も相変わらずうまくはありませんでしたが、実技テストの結果が評価されて無事入社することとなりました。入社後は、積極性が足りないなどの欠点もありますが、データ入力の担当者として活躍しています。おそらく一般的な採用活動では見出せなかった人材でしょうが、真剣に探すと、こういう隠れた人材が見つかる場合があるのです。

さらに、この人のように就職活動が苦手な人は、その後の会社への定着度合いがとても高くなる傾向があります。「面接のようなあんな苦手なことはもうしなくない」という思いがあるので、自分の良さを見出してくれた今の会社で、何とか精いっぱい頑張ろうとするのです。就職活動が苦手な人を採用することは、究極の離職者対策なのかもしれません。

不採用者への気配りも忘れずに
 ~不採用通知にひと工夫を~

最近、不採用者に対する「サイレントお祈り」と言われる企業の行為が非難されています。企業が採用選考を行う際に、不採用となった人に送る書面やメールの最後は、「◯◯様のご活躍をお祈り申し上げます」などと締めくくられていることから、学生たちは不採用通知メールを「お祈りメール」と呼ぶようになっていますが、この不採用の連絡すらしないことを「サイレントお祈り」と呼んでいるのです。

私は、採用コンサルティングを担当している企業に対し、この「サイレントお祈り」を厳禁にしています。応募者は過去、現在、未来を問わず、お客様になるかもしれないし、さらには採用活動にも悪影響を与えるからです。

インターネットが普及する以前は、どの会社がどんな採用方法をとっているかなどという情報を得る手段はほとんどなく、雑な扱いをしたとしてもそれが表に出るようなことはまずありませんでした。しかし、ネットを中心とした口コミ情報が大量に流通している今は、些細なことが企業にとって命取りになります。実際に「サイレントお祈り」をされた人は、「その会社の仕打ちは一生忘れない」「会社のファンだったが、それ以降関連するお店では絶対に買い物をしない」などという書き込みをすることも多いようです。「サイレントお祈り」はそれほどの恨みを買う可能性がある行為であり、その後の採用活動にも影響することになりかねません。

私が知るある企業では、最終面接での不採用通知については、必ず不採用理由と評価していたポイントを記した手紙を送っています。本当に紙一重の判断であり、自社基準の勝手な判断なので、くれぐれも自信喪失をしないでほしいという気持ちを伝えたいからとのことでしたが、そうした姿勢は応募者を通じてその友人や後輩に口コミで伝わり、長い目で見たときには、会社への志望動機を高める効果につながっています。採用担当者は合格者ばかりに注目してしまいがちですが、不合格者への対応も採用活動の一部であり、企業の人材確保につながるとことは心得ておくべきでしょう。

次回は、中途採用に関する考え方や事例を紹介する予定です。

これまでの常識は通用しない!売り手市場時代の人材確保術

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