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総務人事向け
「月刊総務」編集長が語る戦略総務(第6回)

全体を見て、長期的に考え、本質を捉えていく
~そもそも、その問題の本質的課題とは?~

2018年2月

全体を見て、長期的に考え、本質を捉えていく

現場から寄せられる大小様々な依頼事項。過去に対応したものであれば、他にすべきことが大量にあるので、すぐに処理したいものです。初めての依頼事項であっても、先輩に聞いたり、サプライヤーに聞いたりして、なんとか対応することはできるでしょう。しかし、大切なのは、その依頼事項を持ち込んできた従業員へ質問することです。その意味を説明しましょう。

根源的な要因を探す

総務には日々、現場からの依頼や問い合わせが舞い込んできます。その場でできることもあれば、総務として検討して答えを出さなければならないもの、経営の判断を仰がないといけないものなど様々。どの場合であっても避けたいのは、現場の言うがままに対応することです。結果としてそれが最善の対応方法であっても、総務としてはその依頼や問い合わせの、その奥にあるものを見定めることが必要です。

 「そもそも、その依頼の大元の課題とは、何なのか」を考えることです。

対処療法的に片づけるのではなく、「そもそも、なぜその事象が生じたのか」、その本質的な課題を把握しようと努めることが大事です。

 「そもそも、この部門だけ、この地域だけの問題なのか」
 「そもそも、この時期だけ生じる問題なのか」
 「そもそも、この機械を変えるだけで問題が解決するのだろうか」
根源的な要因を探し出し、それを改善していくのです。

なぜを5回繰り返す

トヨタ自動車の実践する「なぜを5回繰り返す」。これは総務においても大事なことです。本質的な課題に対応しないままだと、その後繰り返して同じ問題が生じ、いつまでたっても収束しない、ということも起こり得ます。元の原因を絶つために、常に本質的な課題を見定めるのです。

そうなると、現場からの課題への対応方法も異なってくるものです。

「はい、分かりました!」と答えそのまま対応するのではなく、「いつ生じるのか」、「何をしたらこうなったのか?」、「誰が行うとこうなるのか」、「いつもどこで生じるのか」、など。根掘り葉掘り聞き出し、その本質的原因をつかむ努力が必要となります。

「なぜ」を5回繰り返しながら、課題を聞き出す総務

総務も相手も忙しいさなか聞き出すのは難しいかもしれませんが、繰り返し問題が生じないようにしたい、という思いを伝えてヒアリングしていくことが重要です。この対応を繰り返すことで、総務の姿勢が全社に認知されていきます。そして現場社員にもその姿勢は伝わっていき、総務に依頼する際に、総務が聞きたいポイントを伝えてくれるかもしれません。総務は日々、現場社員との接点があります。その接点を通じて現場社員の啓蒙活動ができるかもしれません。

本質的な課題を解決した理想の「あるべき姿」

先の項目で記した「あるべき姿」を考えるのも、本質的な理解がないと進みません。「あるべき姿」とは、ある意味、本質的な課題を解決した理想の姿であるともいえます。例えば、パンデミックのBCP(事業継続計画)。継続という名称が付いているので、いかに事業を継続するかが本質的課題と思われますが、専門家に言わせると、「いつ事業をストップするか」、これが最大の課題だと言います。事業を再開するより、中断するという判断の方がはるかに難しいという訳です。

例えば、車両管理の本質的課題。社有車というモノの管理に主眼が置かれますが、そもそも車両は営業効率を上げるためのツールです。本質的課題は、いかに効率よく営業活動ができるかという点にあります。このような「コト」の解決が本質的思考の前提となるのです。その点を常に意識して、日々生じる目の前の依頼事項、要望や課題に対処していくのです。「あるべき姿」が頭にあれば、軸がぶれずに対応ができるはずです。

思考の3原則「長期的に考える、全体的に考える、根本的に考える」

思考の3原則として、「長期的に考える、全体的に考える、根本的に考える」というものがあります。先に記したものは「根本的に考える」というものにあたります。「長期的に考える」とは、長期的に見て、どちらがお得か、どちらが環境に良いか、どちらが続くか、と考えることです。短期的な効果が見込まれても、長続きせず、結果、元の木阿弥では困ります。継続し、定着し、効果が出続けるものとして判断したい。継続は力となり、塵も積もれば山となるのです。

元に戻るのを避ける意味でも、長期的に見て判断すべきです。戦略総務とは会社を変えること。変わらない施策は意味がありません。着実に変化を実現できる施策を考えるべきなのです。

「全体的に考える」とは、全社として考える、つまりは経営目線で考えるといっていいでしょう。個人として、総務としてではなく、全社として考え、表現する。総務の仕事は、経営に理解され承認され、社員に理解され納得されないと実行されません。その場合に必要なのが、この全社目線なのです。

それを表しているのが「全社のために、会社としてはこうした方が良いと判断した」というフレーズです。一総務担当者が判断してはいるものの、その考える視点のベースが「全社」となっているということです。再三繰り返しますが、「あるべき姿」を考える際もこの視点は必要となります。独りよがりの考えではなく、全社として長期的に判断した結果である、ということです。当然そこには本質的な課題の理解があるという前提となります。

「長期的に考える、全体的に考える、根本的に考える」を実行するには、冷静になれる時間が必要です。この3原則を実践して、対処療法的に対応するのではなく、本質的課題に結び付け、繰り返し発生する課題を減らしていきたいものです。

戦略総務とは変えること

6回にわたり、戦略総務実現のための思考方法を取り上げてきました。そもそも、戦略総務とは「変える」ことであり、会社にとって無くてはならない存在となることです。業績貢献のため、企業存続のため、会社を中から変えることを目指すのです。

「戦略」とは「選択」であり、総務自身が、自らの意思で決めて実行していくのです。その選択する手法が6回にわたり紹介した考え方となります。

総務は人件費に次ぐ大きな予算を抱えています。働く場という、社員にとって使わざるを得ないプラットフォームを握っています。流れや局面を変えるインパクトプレーヤーとして、本来の力を発揮できれば、会社は大きく変わります。

いまこそ、総務のみなさんが戦略総務となり、「総務が変われば、会社が変わる」を実現できることを願ってやみません。

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