労働法専門弁護士が回答! 労務管理担当者が知っておくべきFAQ集(第6回)
管理監督者は何時に出社してもよいのでしょうか?
2018年11月
Q. 管理監督者は何時に出社してもよいのでしょうか?
ある管理職から「管理監督者は一般労働者と異なり勤務時間について厳格な制限を受けません。労働時間に裁量があるので午前11時に出社する自由が認められるはずだ」という問い合わせがきました。どう回答すればよいですか。
A. 重役出勤的な出社・退社の自由という意味ではありません
管理監督者に該当するかの判断基準として「出社退社等について厳格な制限を受けない」というものがあります(昭22.9.13発基17号)。実務上、このような判断基準を根拠として自分は何時に出社・退社しても自由であると主張を受ける場面がありますが、これは本当でしょうか。
結論から言えばこうした理解は誤っています。行政解釈でも「出社退社等について厳格な制限を受けない」という点を、出社・退社が自由というような重役出勤的な考え方をとるべきではないと言い切ったものが存在します(昭52.2.28基発105号別添質疑応答集)。また、別の行政通達は管理監督者の勤務態様について「労働時間等の規制になじまないような立場にある者」という表現をしています(昭63.3.14基発150号)。
つまり、管理監督者の勤務態様とは、部下をマネジメントする職責のゆえに労働時間等の規制の枠を超えて活動する働き方を意味します。いつ出社していつ帰ってもよいという理解は行き過ぎであり、そのような働き方では管理監督者としての職責を果たしているとはいえません。
したがって、管理監督者だからといって好きなように出社・退社を認める運用を行う必要はありません。確かに遅刻・早退に給与控除を行う、勤務時間を厳格に拘束するといった運用は避けるべきであり、また長時間労働に陥らないよう健康面に配慮すべきですが、一方で管理監督者としての職責を果たせていないときに出退勤の乱れを注意することは可能です。
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