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労働法専門弁護士が回答! 労務管理担当者が知っておくべきFAQ集(第7回)

上長承認のない出勤を勤怠上どう扱えばよいでしょうか?

2018年12月

Q. 上長承認のない出勤を勤怠上どう扱えばよいでしょうか?

長時間労働を防止するため、残業、休日出勤時は事前に上長承認を得るよう運用を徹底しています。ところが、ある社員が承認申請をせずに勝手に休日出勤するので困っています。
「上長承認のない出勤は労働時間と認められない。休日出勤の必要があるならきちんと承認申請するように」と注意することは可能ですか。

A. 運用が徹底されていれば労働時間と認めないことも可能です

労働基準法の「労働時間」とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、基本的には会社から業務に従事するよう義務付け、指示があったかにより判断されます(最判平12.3.9 判例タイムズ1029号164頁)。つまり、従業員が業務をしてもそれが会社の「指示」に基づくものでなければ労働時間とはいえません。労働時間というと仕事をした時間のことを意味しそうですが、法律上は「仕事+指示」が労働時間の概念です。

そのため、設例のように上長承認制の運用が徹底されている中、それを守らずに自分の判断で残業、休日出勤した社員がいた場合、「会社の指示に基づく出勤とはいえないので労働時間としてカウントできません。きちんと上長承認を経ればカウントするのでそのようにしてください」と伝えることは可能です。

もっとも、この理論を変に悪用することは許されません。例えば、所定時間内に終了させることが困難な業務量の仕事をさせている中、上長承認を経ない残業や休日出勤が常態化しており、そのことを会社も認識できたという場合は、「会社指示に基づかないから労働時間と認めない」とするのは困難です。実際、このような事例について会社の黙示の指示に基づく就業であるとして労働時間と認めた裁判例が存在します(東京地判平30.3.28 労経速2357号14頁)。

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