ページの先頭です。
サイト内の現在位置を表示しています。
  1. ホーム
  2. ビズサプリ 総務人事ポータル
  3. 重要文書を上手に管理・活用し、働き方改革を促進(前編)
ここから本文です。

特集

重要文書を上手に管理・活用し、働き方改革を促進(前編)

2017年6月

重要文書を上手に管理・活用し、働き方改革を促進(前編)

契約書、稟議書、従業員の個人情報など社内の重要文書は増えるばかり。その一方、重要文書の紛失・盗難などの事態を引き起こせば社会的な批判を招きかねず、文書を管理する担当者は頭を悩ませているのではないだろうか。

文書管理の課題についても、文書を探すのに時間がかかる、情報の共有化が進まない、情報漏えいが心配といったように企業の事情によって様々だろう。また、働き方改革への取り組みが企業の課題にあげられている。

これらに対し、文書の電子化やペーパーレス化を進めることで時間や場所に制約されることなく情報共有が可能になり、柔軟な働き方が可能になる。そこで、重要文書の管理にかかわる課題と対策、上手な管理の仕方と働き方改革などについて、2回に分けて解説する。

対象書類の金額基準の廃止など、要件を緩和した改正電子帳簿保存法

重要文書の管理と一口に言っても、目的や課題も異なる。例えば書類の保管方法を見直して電子化の検討も考えられる。取引先との発注・請求を電子化する場合、電子化された文書とワークフローを組み合わせることで、文書(発注書・請求書など)の作成から承認までの時間短縮が可能だ。ワークフローによる承認と承認書類を登録・保管する文書管理システムを活用する方法もある。

文書の電子化について基本的な要件を規定しているのが「e-文書法」だ。2015年に国税関係書類の電子保存の要件を緩和した電子帳簿保存法が改正され、2016年1月から適用が開始された。その結果、スキャナ保存の対象書類の金額基準(3万円未満)の廃止や、スキャナで読み取る際に必要な入力者の電子署名が不要になった。タイムスタンプは従来通り必要だが、カラーでの保存が不要になるなど、規制が大幅に緩和された。これにより、中堅中小企業においてもe-文書(文書の電子保存)に対応しやすくなったといえる。

コスト削減だけではない! 文書の電子化のメリット

e-文書法に関係なく文書の電子化に取り組んできた企業も多いはずだ。文書の電子化によるメリットについて、e-文書法を推進してきた経済産業省ではコスト削減にとどまらず、企業競争力の強化につながると指摘する。

例えば、パソコンで作成した電子文書をファイルサーバーやデータベースなどに保管したり、電子メールを介して情報共有したりすることも今では一般的だ。電子データとして社内の文書がやり取りされているIT環境のなかに紙文書が介在すると、紙文書の処理で業務のスピートが低下し、企業のIT投資の効果も半減してしまう恐れがある。

そして、紙文書の電子化を促進することにより、業務に必要な文書の共有、交換などがネットワークを介して行われ、業務効率が向上する。例えば、小売業などでは商品・サービスの購入申込みの受付から発送までの処理を、紙の書類から電子データ化することにより、商品提供の期間短縮など顧客満足を向上させ、企業競争力の強化につなげることも可能だ。

情報管理の観点からも重要になる文書の電子化

NPO 日本ネットワークセキュリティ協会「2015年 情報セキュリティインシデントに関する調査報告書【速報版】」によれば、「漏えい媒体・経路」で最も多いのが「紙媒体」(51.4%)で、以下「インターネット」(14.3%)、「電子メール」(12.4%)となっている。

紙は使用する機会が多い媒体のため、漏えいも多くなりがちだが、重要な文書を机の上に置き放しにするといったルーズな情報管理が情報漏えい事故を引き起こすことになる。また、シュレッダーをかけずに安易に廃棄することも情報漏えいの原因になる。そこで、文書の作成、配布、保管、廃棄といった文書管理のライフサイクルを一元管理する仕組みが必要だ。

文書管理では、利用者の権限に応じた文書の閲覧、登録、更新などの手続きもポイントになる。ユーザー情報やシステム、文書などの情報資源を管理するディレクトリサービスと連携し、社員の異動や退職などに伴うアクセス権の変更・削除が行えるID管理や、いつ、だれが、どんな情報(文書)にアクセスしたかといったログ管理なども重要文書の情報管理に有効だ。

文書の電子化は、事業継続計画(BCP)の観点からも重要だ。地震や水害、火災などの非常時にオフィスに保管している膨大な紙文書を持ち出すことは困難である。そこで、文書を電子化し、データのバックアップと分散管理を行うことにより、災害時にも文書の棄損・逸失を回避し、業務の継続が可能だ。つまり、文書の電子化は企業のリスクマネジメントの強化にもつながることになる。

ICタグなどのITを活用し、文書ファイルを適切に管理

文書管理では、電子化されたデータのみならず、オフィスには紙の文書も多い。そこで、文書ファイル保管庫などの入退室管理や、文書ファイルの貸し出し管理なども検討する必要がある。キャビネットに保管している文書を必要に応じてすぐに探し出せるようにしておくことで業務を効率化することも可能だ。

そうした紙文書ファイルの管理にICタグと読み取り装置(リーダー)などのITシステムを活用する方法もある。ICタグは商品の販売管理や在庫管理などでおなじみだが、これを文書ファイルの管理に適用する。位置情報と組み合わせて社内のどこにあるのか所在を管理できるほか、いつ、だれに文書ファイルを貸し出したか履歴を管理することも可能だ。また、キャビネットに保管したまま文書ファイルを点検するなど、効率的な管理が行える。

社内の機密ファイルをキャビネットで保管しているある企業では、担当者が定期的に文書ファイルの確認を行っていたが、手作業のため数日を要していた。ICタグを利用した文書管理システムの導入により、キャビネット内の機密ファイルの保管状況を常時把握でき、確認作業が不要になった。さらに、社員証(IDカード)と文書管理システムを連携することで、いつ、だれに文書ファイルを貸し出し、いつ返却されたかといった管理が容易になり、業務効率化と安全管理に効果があるという。

こうした文書管理を実施する上で、企業に欠かせないのが現状の把握だ。電子化された文書を含め、社内のどこ(どの部署)に、どんな種類の文書があり、どう管理されているのか洗い出す。そして、社内の統一的な文書管理のルールが決まっていなければ、策定し、徹底する必要があるだろう。

例えば、社内のルールづくりとして、経費の領収書をスキャナで読み取って電子保存することにより、精算や領収書の管理に関わる業務が効率化される。その結果、精算業務のためにわざわざ会社に立ち寄らずに済むなど、文書の取り扱い方法を再検討することで働き方が変わる可能性もある。

次回は文書管理のルールづくりや、効率的な文書管理による働き方改革などを解説する。

重要文書を電子化するメリット

  • 文書の共有、交換がネットワークを介して行われ、業務効率が向上
  • ペーパーレス化が促進され、紙や印刷、文書保存などのコスト削減につながる
  • アクセスしたログを管理でき、情報管理が徹底される。情報漏えい防止にもつながる
  • 災害時でも文書の棄損・逸失を回避し、業務の継続が可能など、事業継続計画(BCP)の観点からも重要

いまほしい栄養(情報)をピンポイントで補給できる“ビジネスのサプリメント”
「ビズサプリ」のご紹介

ページ共通メニューここまで。

ページの先頭へ戻る