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特集

重要文書を上手に管理・活用し、働き方改革を促進(後編)

2017年7月

重要文書を上手に管理・活用し、働き方改革を促進(後編)

社内には稟議書や報告書、会議録、見積書、発注書、契約書など様々な文書がある。紙文書あるいは電子化された情報にかかわらず、社内の文書管理が属人化して本人以外は必要な情報が見つけられない、ある部門の文書・情報が他部門の業務の参考にならない、重要な文書の管理が徹底できていないといった課題を抱える企業もあるだろう。

また、文書管理の重要性は理解しても、どのような管理体制を取ればいいのか分からないといった声も聞かれる。
後編では、そのルールづくりや対応策、文書管理の効率化による働き方改革を考えてみよう。

社内のルールづくりから始める文書管理

文書管理を考える上で、まず、社内のルールづくりが欠かせない。長年の慣例、暗黙の了解といったあいまいなものでなく、総務部門などが中心になって文書管理規定をつくる。例えば、登録する文書の種類、登録手順、文書名のルール、検索方法、登録する場所、電子化する場合は登録先のフォルダ、アクセス権限、保管期間と廃棄の手続き、原本とコピーの取り扱いなどのほか、情報セキュリティポリシーとの整合性や必要に応じた見直しなども検討する。

適切な文書管理を行うことにより、単に重要文書を分かりやすく整理・保管するだけでなく、例えば、取引にかかわる問題が発生した場合、すぐに契約書類などを示しながら取引内容を説明するなど、コンプライアンスに役立てることも可能だ。

企業の文書管理のルールづくりを進める上で参考になりそうなのが「公文書管理の在り方等に関する有識者会議 報告書」(平成20年11月 内閣官房)だ。これは国民の共有財産、知的財産としての公文書の利活用を目的に公文書管理の在り方を検討したものだが、企業の文書管理を検討する際に参考になるので、企業に置き換えて考えてみる。

PCで作成した文書を紙で保存する「ムダ」

まず、作成・保存が必要な文書の範囲について、社内の問題点を洗い出してみる。

  • 必要な文書が必ずしも適切に作成・保存されていない。
  • 多くの文書がワープロや表計算ソフト、プレゼンテーションツールなどを使ってPCで作成されているのにもかかわらず、保存は紙(印刷物)を中心に行われている。そのため、ITを活用した業務の効率化が十分に図られていない。
  • 社内の規定が抽象的なため、部・課ごとに作成・保存すべき文書の認識が異なる。

こうした問題点に対し、総務部門などが中心となり、自社のあるべき文書管理の方向性(方針)を検討、決定する。例えば、部・課での意思決定過程などを含め、業務の記録としての文書の作成・保存のルール(規定)を作成し、明確化する。また、文書管理、情報管理の観点からも、文書管理システムなどを活用して電子的に保存するほか、電子決済(ワークフロー)の活用も検討する。

また、文書ファイルの編集にかかわる問題点もある。

  • 文書の書式やファイルの編集方法などのルールが明確でなく、従業員任せになっている。
  • 部門ごとに文書の書式、編集方法が異なる。
    例えば、新商品などのプロジェクトの場合、商品の企画・開発部門、原材料の購買・製造部門、販売部門など、部門ごとに別のファイルに編集され、保存期間も異なる。このため、一連の業務プロセスの全体像を把握することが困難になる。

そこで、文書の書式やファイルの編集にかかわる方法をルール(マニュアル)として規定し、文書ファイルを従業員が使いやすいものにする。また、全社的な業務にかかわる各部門の文書を検索しやすく管理、保存し、保存期間も社内で統一する。

誰でも分かりやすいファイル名を付ける

さらに、文書の分類・整理にかかわる問題点もある。

  • ファイル名が抽象的なため、文書がどのファイルに収められているのか分かりにくい。
  • 人事異動や組織改編の際、ファイルの引継ぎが十分でなく、文書が散逸、紛失してしまう。
  • 共用のキャビネットに個人の文書が保管されている。

こうした問題に対しては、文書の分類方法を工夫するとともに、だれでも分かりやすいファイル名の設定やファイル管理台帳の記載方法などをルール化する。例えば、ファイルを探しやすくするため、コード番号を付けたり、ファイルの種別に背表紙を色分けする、時系列に配列するといった工夫が考えられる。

また、電子文書については、件名や作成者、保存期間、関連文書のリンク情報などについてルール化する方法もある。

このほか、文書の保存場所、保存期間(文書の種類によって法令で定められているものもある)、廃棄などについて、社内で統一的に判断できるよう、ルールを決めておく。

効率的な文書管理で働き方改革につなげる

仕事と家庭の両立や女性が活躍する社会の実現などを背景に、企業では働き方改革が大きな課題となっている。残業時間の削減に向けた業務の効率化や、多様な価値観を認めるダイバーシティの推進、サテライトオフィスなどを活用して働く場所や時間の自由度を高めるなど、企業では様々な取り組みが行われている。

だが、新たな取り組みや全社的な改革には経営層のリーダーシップが必要で、成果が出るまでに時間もかかる。そこで、現場サイドから文書管理の在り方を見直すことで日々の業務の無駄を省き、効率的な働き方や時間の使い方を推進することにより、働き方改革につなげていく動きもある。

例えば、社内の文書管理のルールを徹底することで、企業の課題である働き方改革を進めることも可能だ。業務に必要な文書がどこに保管されているのか分からない場合、文書を探すためにムダな時間を費やすことになる。また、文書作成のフォーマットが決まっていなければ、部門ごとに違う書式で文書が作成、保存されることになり、ますます探すのに苦労することになる。

A社では、かつて手書き文書の書式がばらばらだったため、OCRで文書を読み取って電子データ化する際に苦労していたという。OCRが非定型フォーマットに対応していなかったからだ。そこで、文書作成の書式を社内で統一。OCRによる文書の読み取り、文書管理システムによる文書の保管、検索などが容易に行えるようになり、業務が効率化された。その結果、業務がスムーズに行えるようになり、時間の有効活用を含め、働き方改革にも貢献しているという。

B社では文書の保存期間や廃棄などに関するルールがなかったため、担当者以外は文書の所在が分からなかったり、不要な文書がオフィスにあふれたりして業務に支障をきたしていた。そこでファイリングのルールを統一することにより、従業員が適切に文書を管理し、目的の文書を容易に探しだせるようにした。具体的には部署ごとに年度別に保存すべき文書をキャビネットに収納し、保存期間が過ぎた文書は廃棄する仕組みにした。そして、総務部が中心となり、適切にファイリングのルールが守られているかどうか定期的にチェック。これにより、オフィスに散在していた文書がなくなり、執務環境の改善など働き方改革につなげている。

C社では、個人の知識や経験に頼っていた業務について、文書管理を含めた業務の手順をルール化することにより、無駄な作業を減らすことに成功した。例えば、文書の保存方法などを含め、業務の流れを規定することで従来の業務のあり方を見直し、効率化を促進。その結果、残業時間の削減など、従業員の働き方の意識改革にも役立っている。

文書管理システムを活用して文書管理にかかわる業務を効率化する方法もある。文書の格納をはじめ、文書内容の確認、編集、承認、配信、保管、廃棄などの一連のプロセスに対応するほか、ワークフローと連携して指定したフォルダへの格納やポータル、メールへの通知機能を備えたものなど、様々なシステムが提案されている。

また、管理対象の文書について、部署や役職に応じて閲覧、編集、印刷などの可否を制御するアクセス権の設定や操作ログなどを活用することで、文書の不正利用を防止できる。こうした取り組みは、従来の情報セキュリティ対策でも可能だが、文書を含め、情報管理を徹底する必要がある。

ワークフローや情報共有で業務をスピードアップ

文書管理とワークフローを組み合わせて迅速な承認、意思決定や業務の効率化を進め、働き方改革を加速することも可能だ。国内各地に営業拠点を構えるある企業では、拠点で起案した稟議書や勤怠管理書類、契約書などを本社の管理部門にFAXで送信。そして、管理部門では稟議書や契約書の内容を確認して押印、必要に応じて役員の決裁を受けるといったプロセスで業務を行っていた。

だが、文書作成とFAX送信に手間がかかることや誤送信のリスクもあり、クラウド型ワークフローシステムを導入。定型フォーマットでの稟議書などの作成、申請、承認による業務の効率化に加え、文書の検索や、拠点別の経費の集計などが行えるようになった。

また、グループウェアと連携してシングルサインオンでワークフローをいつでも、どこでも利用できるようになり、わざわざ申請・承認・決済のためだけにオフィスに立ち寄る必要もなく、働き方改革にもつながっているという。

ワークフローにとどまらず、文書の電子データ化が促進することで社内の情報共有が進み、業務のスピードアップも可能だ。総務部門を中心に、文書管理を起点にした社内の情報共有の在り方や働き方を改革し、さらなる業務の効率化を進めてみてはどうだろうか。

文書管理でなぜ働き方改革が推進されるのか

  • 文書管理の属人化を避け、社内の情報共有とスムーズな意思疎通を促進する。
  • 文書の作成、編集、保存、廃棄などをルール化し、業務の無駄をなくす。
  • 文書管理とワークフローを組み合わせ、迅速な意思決定や業務の効率化を進める。

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