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特集

「うちには良い人材がいない」と嘆く前に。人材を活かすタレントマネジメント術とは

2018年6月

「うちには良い人材がいない」と嘆く前に。人材を活かすタレントマネジメント術とは

「タレントマネジメント」は、個々の従業員が持つ能力や技術、経験などを最大限に活かす手法で、人材マネジメントの一つとして注目されている。タレントマネジメントは常に人材不足に悩まされている中堅企業にこそ活用してほしい考え方であり、総務人事としても、その意義を理解することで人材管理の手法として有効に役立てられるものだ。とはいえ、実際にどのように進めていけばいいのかわからないと悩む総務人事の方も多いはず。そこで今回はタレントマネジメントの進め方、メリット、事例などを分かりやすく説明する。

人材確保が難しい今こそ、注目を浴びるタレントマネジメント

日本で近年注目されている「タレントマネジメント」。この場合の「タレント」は、英語で「資質・才能・力量・手腕」などを意味する言葉だ。従業員が持つ才能、資質、能力、さらにはスキルや、経験などをデータベースに蓄積して一元管理し、人材登用や人事評価、将来に向けた人材開発を行うマネジメント手法をいう。従業員個々の力や適性をあらかじめ把握しておくことで、組織横断的かつ適材適所の人材配置、効果的な育成、後継者の計画的確保などが可能となり、その延長として企業の価値向上と持続的成長につなげられる。

現在、日本では、働き方の多様化、企業活動のグローバル化、人材の流動化も進み、従来の人材戦略や育成スタイルが成り立たなくなってきた。また、少子高齢化によって、ますます労働力の確保が難しくなっていくであろう。こうした状況を背景に、従業員のスキルやキャリアを“見える化”し、企業の成長に活かしていく人材戦略が求められるようになったことから、タレントマネジメントの手法が注目されているといえる。

組織のパフォーマンス、従業員のモチベーションが上向く

とりわけ中堅企業は人材確保が厳しくなり、人材不足の解消が大きなテーマとなっている。だからこそ、人材を大事にする考え方のもとに、個々人のタレントを尊重して企業の成長のために最大限活用する戦略、またタレントを伸ばす方向で育成していく方針を打ち出すことが重要だ。

では、タレントマネジメントによって企業が得られるメリットとは何だろうか。

組織のパフォーマンス向上

従業員それぞれが持つ能力や経験を最も活かせる部署に配置すれば、パフォーマンスを発揮できる可能性も必然的に高まる。急きょ欠員が生じた際にも適性の高い人材をすぐに充てることができるし、定年退職者が出る場合の対応もしやすくなるだろう。採用の面でも、不足しているタレントを補う人材募集を計画的に行いやすくなる。このほか、人事評価を行う際の情報として参考にすることも可能だ。さらに、従業員個々のタレントを定期的に把握すること。いわばタレントの“見える化”も重要なポイントだ。

従業員の自律的な成長

個々人が適性に合った仕事をすることで、従業員のモチベーションが高まるのはもちろん、そのタレントをさらに伸ばすことができ、従業員の自律的な成長を期待できるというメリットがある。企業にとって人材育成も大きな課題だが、タレントマネジメントによって組織の戦力となる成長を実現しやすくなる。とりわけ中堅企業にとっては現在働く人材の後継者育成は喫緊の課題。能力・経験といったポテンシャルで見極めることで、必要とする条件に合った優秀な人材を選抜し、後継者を育成することができる。一方、従業員にとってもキャリアデザインを具体的に描くサポートになるだろう。

タレントマネジメントで、人材流出防止につながった企業も

タレントマネジメントを導入した中堅企業の事例をいくつか紹介していこう。

ある情報通信企業では、人材の抜擢や異動、昇進などを検討する際、従業員個々の発揮し得るパフォーマンスを判断するためにタレントマネジメントを導入した。それまで同社では異動などに伴う人件費の変動を踏まえながらいくつものパターンを設定して検討していたため、人材の選定に手間がかかっていたというが、タレントマネジメントの導入によって効率化が実現できた。また、採用活動の際にパフォーマンスの高い人材を判断するためにも、タレントマネジメントによって得られた分析が有効に機能したという。

ある不動産業では、人材育成の状況をなかなか把握できていなかった。そこで従業員の目標設定などを育成計画管理システムに蓄積。この情報は育成だけでなく人材の抜擢にも活用している。また、従業員たちも日々の振り返りに活用している。また、ある広告代理店は、経営層による人材の把握に加え、満足度調査とも照らし合わせて転職の可能性のある従業員の早期発見による人材流出防止に役立てている。このほか、人事評価の公正化に活用している企業もある。

タレントマネジメントは手順を踏んで実施する

まず、タレントマネジメントを行うにあたって企業がすべきことは、人材というものに対する考え方を改めることだといえる。人材は企業にとって大切な財産だと考えること、すなわち従業員を“人財”ととらえることが、タレントマネジメントのスタート地点となるだろう。

とはいえ、データベースに集積した全従業員の能力や経験をもとに、機械的に人材配置や育成を行えばいいというものではもちろんない。タレントマネジメントを実施するには、マネジメントをする側においても様々な準備が必要になる。

まずは、事業計画においてどのような事業を優先的に実施していくかを決めること、つまり会社としての目標設定が重要だ。企業が抱える課題は多様だが、すべての課題を一挙に解決しようと考えてもうまくいかない。そこで、事業の優先順位付けを行い、その順位に沿って人材のマネジメントをしていく姿勢が求められる。

続いて、優先度の高い事業に対し、その事業を実施するにはどのような人材が必要なのかを検討すること。いわばタレントの定義と洗い出しである。この作業を行わなければ、ターゲットが散漫になり、有効なタレントマネジメントは望めないだろう。

次に、具体的なタレントマネジメントのプランニングを行う。優先する事業計画にフィットしそうな人材をピックアップし、個々のタレントを比較したうえで、どの人材を該当部門に配置するか、あるいは将来に向けて育成するかを決定する。企業側が望むタレントを完璧に持った従業員が必ずいるわけでもないので、その場合はどの従業員のどのような能力・経験を重視するかを慎重に判断すべきだ。

以上の作業を済ませて初めて、タレントマネジメントの実施に至る。育成の場合はきちんとした計画を作り、その計画に沿って実行していく。そして、人材配置の成果が得られているか、育成はうまくいっているかをモニタリングすることも必要だ。これには成果だけでなく、タレントマネジメントの対象となっている従業員のモチベーションや満足度をしっかり評価することも求められる。モニタリングの結果、問題点があるようであれば、柔軟に見直したり、根本のタレントマネジメント計画を練り直したりすることも重要だ。

タレントマネジメントは全社員が対象である。総務人事はタレントマネジメントをしっかりと理解し、経営層とも連携をとって、人材管理を進めていく必要があるだろう。

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