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コラム

生産スケジューラの戦略的活用法[後編]

-ITの力を利用して高速処理ができるロジック-

生産スケジューラ導入においては、陥り易い誤解や失敗の罠についてTOC理論(制約条件の理論)の考え方を例にご紹介しました。要約すれば、「計画の達人」の頭の中にある“暗黙知”を「見える化」することです。
今回は、TOCの「継続的改善5ステップ」におけるステップ2,ステップ3に「生産スケジューラ」を適用し、人間が思考するよりもITの力を利用した方が高速処理ができるロジックのお話です。

1.工場の生産計画が、ボーイスカウトのハイキング?

TOC(制約条件の理論)の生産スケジューリングロジックと言えば、DBR(ドラム・バッファ・ロープ)です。この“DBR”の解説に欠かせないものが、ボーイスカウトのハイキングです。ただ私の“日本の製造業”に対するイメージが、「匠」、「技」など、職人の方が魂をこめて真剣に取り組んでいる領域、のため、「ボーイスカウトのハイキング」に喩えられると“大変申し訳なく”本当にイヤな気持ちになります。がしかし、「わかりやすさ」という点では流石、ゴールドラット博士です。

あらためて、DBRですが、ボーイスカウトのハイキングの様子が、話の舞台となります。先頭から最後尾までボーイスカウトの少年たちが一列の隊列で行進しています。その隊列の真ん中あたりに最も足の遅い「ハービー君」が重い荷物を背負って必死に歩いています。しかし、やはり一番足が遅いので、ハービー君のところから隊列が間延びしてしまい、全員が目的地に揃うのが予定時間より遅れてしまいました...という内容です。
問題は、先頭から最後尾までの全員が、間延びすることなく、出来るだけ早く目的地に到着するにはどうすればよいか?と言うことで、DBRがその解法となります。

すなわち、下記のとおりです。

D:Drum (ハービー君の歩くペースで、全員が歩くようにハービー君が太鼓を叩きます)

B:Buffer (ハービー君を止めないように、ハービー君と前の少年との間に余裕を持ちます)

R:Rope (隊列が間延びしないようにハービー君と先頭の少年をロープで結びます)

そして、このDBRを成し遂げる対策としては下記があげられます。

  • ハービー君の荷物(負担)を減らし、ハービー君の歩く速度をできるだけ上げます。
  • 全員が、ハービー君の歩く速度、太鼓(ドラム)のリズムに合わせて行進します。
  • ハービー君が前を歩く少年のアクシデントで止まったり、速度が落ちたりしないように、ハービー君と前を歩く少年との距離(余裕)を監督者は常時監視します。
  • ハービー君とロープで結ばれた先頭の少年は、そのロープ長を意識しながら間延びしないように行進します。

2.「制約条件の理論」を生産スケジューラに設定するには

ボーイスカウトのハイキング話は、実にシンプルでわかりやすい考え方です。しかし、あまりに喩えが突飛のため、「生産スケジューラ」に、どのようにそのロジックを設定したらよいか困惑してしまい、結局のところ、実運用の中で活用されている例をあまり聞きません。

なお、実際に汎用「生産スケジューラ」に設定し評価した資料がありますのでご興味があればご覧ください(2008 年スケジューリング学会)

世の中には、TOCに限らず、すばらしい理論、考え方が多数存在します。ただし、それらが実用できるか否かは別の話です。理屈より実績を重んじる日本では、理論通りに動くか否かに関心は無く、本当に効果が出るのかを、事前に検証し、確信を持って実行に移す必要があります。できれば、実際に幾多の工場現場で実績が出ている考え方を適応することが望ましいことになります。

3.成功に導く!生産スケジューラ導入のポイント

2回にわたり、TOC(制約条件の理論)を参考にしながら生産スケジューラ導入について、話をさせていただきました。ただし、このアプローチ方法は、ほんの一例です。実際には、適応する事業に合った考え方など、お客様毎に仕様が異なることになります。
さらに実運用の場面では生産スケジューラだけを独立させて、単体で動かすことはありえず、既存の上位システム(生産管理)と のマスタ連携とかデータ連携が必須となり、実務に関する下記の問題・課題を解決しなければなりません。

  • 上位システムに登録されているマスタ情報だけではスケジューリングに必要となるマスタ項目が足りない
  • 生産スケジューラの計画データを上位システム側で変更した場合の不整合はどうなるのか
  • 上位システム側に上がってくる実績データの反映の仕方はどうすればよいのか、等

当社は、この「生産スケジューラ」の分野において、300社を超える導入プロジェクトを手掛けてきました。その実績と経験から多くのお客様が陥る導入時の問題・課題が認識できております。当社にお気軽にご相談ください。

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NECネクサソリューションズ

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