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特集 情シス事情を知る

ユーザーに馴染みが深いMicrosoft Azure。そのメリットを検討する

2017年12月

前回、SQL Serverを基盤としたシステムのクラウド移行先としてMicrosoft Azure(以下、Azure)があることを紹介した。続いて今回はAzureを活用するメリットをより詳しく掘り下げていきたい。Windows Server 2008 R2の延長サポート終了は2020年1月14日、Windows Server 2012 R2のメインストリームサポートの終了も2018年10月9日と決して遠い将来ではないだけに、今のうちからAzure導入を検討していくことには大きな価値があるだろう。

SQL ServerのワークロードをAzureに移行する2つの方法

ベンダーによるサポート終了を機にSQL Serverをクラウドに移行することで、煩雑なライフサイクル管理の負荷を軽減することができる。ではどのクラウドを選ぶのが最適かといえば、SQL Serverを利用している場合は特に、やはり同じマイクロソフトが運営し、一貫したサポートを受けることができるAzureが筆頭にあげられるだろう。

これまでオンプレミスで運用してきたSQL ServerのワークロードをAzureに移行する方法としては、大きく2つのオプションが用意されている。

まずは「Azure SQL Database」を利用する方法だ。PaaS(Platform as a Service)の一環としてAzureからライセンスではなくサービスとして提供されているデータベースで、DBaaS(Database as a Service)とも呼ばれる。選択したサービス階層とパフォーマンス レベルに基づく固定率により時間単位で課金される、いわゆる従量制によって利用することが可能だ。そのほかデータ送信についても通常のデータ転送料金で課金されるが、ソフトウェアの自動的な構成、修正プログラムの適用、およびアップグレードがマイクロソフトによって行われるため、トータルでみた運用管理コストを削減できる可能性がある。Azure SQL Databaseに組み込まれた自動バックアップ機能も完全バックアップ、差分バックアップ、トランザクションログのバックアップに対応するなど高機能で、特に多数のデータベースを運用する際の大幅なコスト削減に貢献する。

さらに、運用やパッチ適用などの保守作業のほとんどをマイクロソフトに任せられるメリットも大きい。チューニングなどの実装を任せられるだけでなく、データベース設計に関するスキルやノウハウが活かせることができ、新規アプリケーションの開発も比較的スムーズに対応できるだろう。

もう一つはAzureからIaaS(Infrastructure as a Service)として提供されるWindows ServerのVM(仮想マシン)の「Azure Virtual Machines」にSQL Serverをインストールする方法だ。Azure Virtual Machines上で動作するSQL Server は、基本的にマイクロソフトから提供されるSPLA (Services Provider License Agreement)と呼ばれるライセンス(分単位で課金)が付属したサーバイメージを利用することができる。さらに、オンプレミスで運用してきたSQL Serverのライセンスを継続して利用したいという要望に対応しては、BYOL(Bring Your Own License)と呼ばれるライセンスの持ち込み制度も用意されている。ライセンスの保有状況に応じて、大きくこの2つの方法から選択することが可能だ。

オンプレミスのHyper-V環境をクラウドに拡張

上記のようなSQL Serverの移行も含め、Windowsを基盤に開発・運用してきたシステムをクラウド化する際の移行先としてはAzureが有力な選択肢となる。既存のWindowsのサポート終了もクラウド移行を検討する一つの契機となるだろう。

繰り返すようだが、Windowsをはじめオンプレミスで利用している様々なマイクロソフト製品の知識をそのまま流用できる点は、他のクラウドサービスでは得難いAzureならではのメリットだ。ユーザーインターフェースや操作性も馴染みやすい。

特にオンプレミスでHyper-Vをベースとした仮想化基盤を導入している場合、Azureへの移行はさらにスムーズになる。マイクロソフトは「リフト&シフト」と呼ばれる形での既存アプリケーションのAzureへの移行をサポートしている。オンプレミスのHyper-V上で運用しているVHD(仮想ハードディスク)を可能な限り既存のシステム構成のままクラウドに移転(リフト)する。そのうえでクラウドからPaaSなどで提供されるサービスを活用した実装を進めていく(シフト)するというイメージだ。

とはいえ、クラウド化を進めるにあたってはシステムの特性、扱うデータの属性などにより、必ずしもクラウド化が好まれないケースがある。その際にはAzure Virtual Machinesを既存のデータセンターやマシン室の延長線上として利用することが可能だ。Azure Virtual Networkと呼ばれる仮想ネットワークを使用してオンプレミスのローカルネットワークとAzure内のネットワークを相互接続し、自社のネットワークアドレス体系に沿ったネットワークを構築するのである。また、オンプレミスのリソースが足りなくなった際にワークロードを一次的にオフロードするといった目的でも、この運用形態が採用されることもある。将来的なクラウドへの完全移行を見据えつつ、それまでの過渡期としてこうしたハイブリッド化が可能なのだ。

もちろんAzureは既存システムの単なる移行先としてだけでなく、新規システムを開発・展開するためのプラットフォームとしても大きなポテンシャルを秘めている。PaaSとして提供されているクラウドネイティブの多種多彩なサービスを利用することで、最先端のテクノロジーを容易に導入できるのだ。例えば「Azure Machine Learning」と呼ばれる機械学習の機能もそのひとつだ。

今後、IoTやAI(人工知能)といった分野に乗り出していくためには、これまで以上のパフォーマンスとスケールが必要となる。その意味でもクラウドひいてはAzureを活用することが得策だ。自社内のみで対応が難しい場合は、Azureに長けたサービスプロバイダーにアウトソーシングするという手もある。

IT業界全体の動きを俯瞰しても、AzureはAmazon Web Service(AWS)やGoogle Cloud Platform、IBM Cloud(旧Bluemix)などと並び、今後もグローバルなクラウドサービスの一角としてスタンダードの地位を固めていく可能性が高い。将来を見据えたクラウド基盤としてAzureを検討することには大きな価値がある。

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