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特集 情シス事情を知る

DXはスモールスタートできる! 身近なところから始める「プチDX」

2023年5月

DXは基盤やネットワーク、セキュリティ環境などを整えてからでないと推進できないと思われていないだろうか?実はそんなことはなく、中堅中小企業に向けておすすめしたいのが、スモールスタートで取り組む「プチDX」である。クラウドサービスをまずは使ってみて、身近な業務の困りごとを解決することから始めてみよう。実際に多くの中堅中小企業がスモールスタートでDXに取り組み、様々な成果を上げている。

なぜ中堅中小企業でDXが進まないのか

日本の社会もようやくコロナ禍から脱しようとしているが、それでも完全な収束の目途が立ったとは言い切れず、今後もいつまた新たな感染症のパンデミックが起こるか誰にも予想できない。また、国家間の紛争に端を発したグローバルサプライチェーンの寸断や為替レートの急激な変動も起こっている。

このように将来がますます不確実となる中で、企業が生き残っていくためには、ビジネスを取り巻く環境の変化に俊敏かつ柔軟に対応していく必要がある。そこで重要度を増しているのがDXだ。

だが、ITの基盤(クラウド)、ネットワーク環境、セキュリティ対策をしっかり整えてからでなければDXは推進できないと、身構えてしまって一歩を踏み出せないでいる企業は少なくない。そもそも予算がない、ITに詳しい人材が社内にいない、さらには経営陣の理解をなかなか得られないケースもありそうだ。

どうすればDXへの一歩を踏み出せるのか

最初から完璧な体制を整えてから始めることにこだわってしまうと、なかなかDXを実現することはできない。そんな中で「まずはDXをスモールスタートさせる」という方法もぜひ検討したいところ。見方を変えれば、コンパクトな組織であるほどDXは着手しやすい。部門やグループなどが実施している部分的な業務からでも取り組むことができるのだ。

実際に多くの中小企業がスモールスタートでプチDXに取り組んでいる。ここでは4つの事例をご紹介したい。

商談のオンライン化からDXに着手―自動車リース/レンタル会社の事例

コロナ禍で対面による顧客対応が困難となる中で、商談のオンライン化からDXに着手。この結果、非対面でありながらも顧客の要望に寄り添った車両提案が可能となり、従業員の働き方改革を推進するとともに、営業担当者の移動コストをはじめ大幅なコスト削減を実現した。

紙業務のデジタル化からスモールスタート―物流業の事例

これまで紙で行っていた配車情報管理をシステム化することからDXをスモールスタート。これによって受注情報をオンラインで処理し、ドライバーと車両の配置を迅速に最適化することに成功した。続いてこの企業は配車結果や受注などのデータをクラウドにアップロードして蓄積し、部署横断で情報共有するといった施策にも踏み出しており、問い合わせ対応の工数を削減するとともに顧客満足度の向上も実現している。

現場主導で膨大な紙書類の処理を自動化-保険業の事例

保険業ではエビデンスが重要であり、契約や保険金支払いなどの手続きごとに紙の書類を取り交わす。しかし、その処理には煩雑な手間が伴い、時間とコストを費やしていた。そこである損害保険会社は現場主導でRPAを導入し、これらの大量の書類の承認申請フローを自動化することを目指した。組織横断で人材を集めて教育活動にも取り組むことで全社的な意識を高め、約半年間で数千時間におよぶ工数削減を実現した。

電子帳簿保存法対応の省力化―SIerの事例

電子帳簿保存法改正に伴い、紙で受け取った請求書などの電子スキャナ保存が可能となったことを受け、あるSIerはAI-OCRの導入に踏み切った。電子帳簿保存法の保存要件として、解像度やカラーなどがあり、そのチェックをAI-OCRで自動的に行うのである。さらに読み取ったデータを請求書管理および経費精算システムと連携させることで、これまで目視と手作業に依存していた入力作業をなくし、経理部門の負担軽減を実現した。 この負担軽減の分を、ビジネス支援や戦略的な分野にリソースを注力できるのではないかと、期待を得るようになった。


上記のような事例からもいえることだが、DXを成功させるためのポイントは、まずは身近で取り掛かりやすい困りごとから始めることが肝要だ。

具体的には紙ベースで行っている様々な情報の管理、煩雑な手作業に依存しているルーティンワーク、分断したコミュニケーションといった問題を、ITを活用することで解決できないかどうか、検討してみることをおすすめしたい。

IT活用といっても、大げさに構える必要はない。以前のように社内にサーバやストレージなどの機器を導入する必要はなく、現在はクラウドを通じて様々なベンダーが提供しているインフラやデータベース、アプリケーションなどをサービスとして利用することができる。多くのサービスは従量制の課金で利用することができるため、初期投資はほとんどかからない。小さな規模からトライアルを始め、結果的に自社には合わないと判断された場合は契約を解除することも可能だ。

スモールスタートで始めて、最終的には全社規模でのDXを目指そう

ただ、現場だけがどれだけ意気を揚げたとしても、経営者が後ろ向きのままではDXは進まない。スモールスタートによるDXへの取り組みだったとしても、その先で目指すのは全社規模でのビジネス変革なのだ。経営者が先頭に立って推進してこそ、それを成し遂げることができる。その意味でも経営者の意識改革こそが求められる。

もちろん経営者ならではの悩みがあるのも事実である。前述したとおりクラウドを利用すればDXをスモールスタートすることができるが、利用するリソースの規模が拡大していくにつれ運用コストも増大していく。場合によってはオンプレミス(社内)に環境整備が必要となるなど、難しい投資判断が迫られることもある。

そのような局面では、様々な補助金や助成金を利用することも検討していただきたい。DXに役立つものとしては、例えば下記のような制度がある。

ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)

   

中小企業や小規模事業者が、革新的なサービス開発や試作品開発、生産プロセスの改善に取り組むための設備投資などを支援する。

IT導入補助金

   

中小企業や小規模事業者などが自社の課題を解決するITツールを導入する際に、その経費の一部を補助することで、業務の効率化や売上アップをサポートする。

小規模事業者持続化補助金

   

小規模事業者自らが作成した持続的な経営に向けた経営計画に基づく、地道な販路開拓などの取り組み(新たな市場への参入に向けた売り方の工夫や新たな顧客層の獲得に向けた商品の改良・開発など)や、地道な販路開拓など併せて行う業務効率化(生産性向上)の取り組みを支援するため、それに要する経費の一部を補助する。

予算がない、人がいないといった事情がある中でも、まずは手頃なクラウドサービスを使ってみて効果を現場で実感しながら、段階的に基盤やネットワーク、セキュリティ環境などを整えていく方法はある。身近なところから始める「プチDX」で、全社的なDXへの一歩を踏み出そう。

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