クイズ「情シス部門が知っておきたいテーマ」
フェイスブックが新たに発表した仮想通貨の名称は?
2019年11月
クエスチョン
フェイスブックが発表した仮想通貨の名前は?
- ライトコイン
- リブラ
- リップル
- イーサリアム
アンサー
2.リブラ
解説
リブラとは
2019年6月18日、フェイスブックが独自の仮想通貨を発行することを発表しました。名前はリブラ(Libra)です。クエスチョンの選択肢1、3、4はいずれも他の種類の仮想通貨で、ライトコインはビットコインから派生し、2011年に開発されました。リップルはリップル社が管理主体となり、2013年に配布開始されています。イーサリアムは2014年に販売開始された、分散型アプリケーションプラットフォームが特徴の仮想通貨です。
2020年にサービス開始を予定しているリブラは、フェイスブックが主導する団体「Libra協会」によって運営されます。同協会にはVISA、マスターカード、PayPalといった金融系をはじめ、ebayやUber、Spotifyなど様々な分野の世界的な企業が名を連ねています。日本企業ではマネックスグループが参加申請中です(2019年9月中に加盟可否決定予定)。
現在、世界の成人人口の約3割が銀行(またはモバイル)口座を持っておらず※、決済や送金などの金融サービスを受けられない状況にあります。リブラの大きな目的は、そのような地域の人々に安価で容易に利用できる金融インフラを提供することです。
他の仮想通貨との違い
ビットコインなど他の仮想通貨とリブラが大きく違うのは、価格の安定性でしょう。ビットコインをはじめほとんどの仮想通貨は、現状、乱高下ともいうべき激しい価格変動を繰り返しています。これに対してリブラは価格が安定するよう、ドルやユーロや円など、主要国の法定通貨と連動して価値が決定されます。他の仮想通貨は乱高下ゆえに投機目的が主ですが、リブラは乱高下の恐れが大幅に少なくなるよう設計されているため、日々の決済や送金などに安心して利用できるとしています。
また、リブラは他の暗号通貨と同じくブロックチェーンを基盤としていますが、ビットコインのように多数のユーザーがノードとして取引記録を扱えるパブリック型ではなく、Libra協会の参画企業のみが取引記録を扱えるコンソーシアム型であることも大きな違いのひとつです。もっとも、将来的には分散型として運用すべく、リブラのリリースから5年以内を目安に移行を開始する予定です。他にも、専用のウォレット「Calibra」やプログラミング言語「Move」、独自の取引合意アルゴリズムといった特徴があります。
リブラの課題
そんなリブラですが、メリットばかりでなく課題も多く、世界中で賛否両論が巻き起こっています。経済への影響、マネーロンダリングといった悪用などが懸念されるほか、本人確認や顧客情報保護、各種規制の未整備、セキュリティへの不安なども含めて、リブラをめぐる議論がなされています。
例えばアメリカでは、2019年6月19日に米下院金融サービス委員長であるマキシン・ウォーターズ議員から開発の一時中断が要請されたり、フランスとドイツでは2019年9月13日にリブラをブロックする方針に合意したりするなどの動きがありました。日本でも法的な位置づけは仮想通貨にあたるのか不透明であるなど、今後議論が求められています。もし仮想通貨と見なされず、銀行法・資金決済法の関係で免許が必要となった場合は、海外の発行体では取得が困難であり、サービス提供が難しくなります。
これらの課題を克服し、世界的な金融インフラとして普及するのか、リブラの行く末に注目したいところです。
※世界銀行「グローバル・フィンデックス・データベース2017」より