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[第1回] 概論
2009年6月8日
IT部門人材がリーダーになって、抜本的な業務改善に取り組む機会が増えてきました。
社団法人日本システムユーザー協会(JUAS)の「企業IT動向調査2009」によると、IT部門の意識として、「IT投資で解決したい中期的な課題の一位が『業務プロセスの変革』」となっています。
情報システムの活用範囲が広範囲に、業務機能と密接に関連する上で、企業全体のプロセス改善をIT部門が担うことは、当然のことでしょう。
そしてIT部門の役割が、従来のシステム構築・運用から業務プロセス変革者としての位置づけに変わっていくことは、SaaS等の普及とあいまって、今後ますます重要度がましていくことと思われます。
IT部門では、従来IT化の過程で、現状と要求の可視化を行い、対応するシステム要件を整理し、IT化業務を組み立てることを行ってきました。
言って見ればIT部門にとって、新業務のプロセスを組み立てることは手馴れた分野でもあるわけです。
しかし昨今業務改善の理由が、部門業務の効率化という比較的小規模な改善から、経営課題への対応という大規模な改善に拡大しており、新しい業務プロセスの構築には今までにない勘所が必要となっています。
それは実行部門が決めたことや自然発生した現状業務の整理ではなく、仮定のプロセスを作り稼動させるという、ITであるかどうかは問わない業務構築の注意点でもあります。
一般に、大きな業務改善の場合、新業務の構築は4つのステップで行われます。
以降で、各ステップの勘所を詳しく述べたいと思います。
課題の調査においては、事実関係を明確にすることが重要ですが、経営課題と現場の問題の両方を知ることが必要です。
経営への効果のためには経営課題が明確になっていなければならず、現場の問題を事実として捉えるためには今の業務プロセスがどうなっているのかわかっていなければなりません。
経営課題と業務課題をあわせて改善テーマを検討していくことになりますが、このあたりは、IT化テーマを検討する手順と変わりはありません。
なお、全社を検討の範囲とする場合は、業務プロセス改善プロジェクトなどを立ち上げて検討します。
取り組む大きな業務改善テーマを決めるときには、改善テーマに「強い思い」を持っている人がいることが大きなポイントになります。
全社で討議を重ねていると、「重要」なことや「効果」が高いと思われることは、明らかになってきます。が、そこに「強い思い」がないと、結局はプランだけで、実行されずに終わってしまうことが多く見られます。
一度に取り組むテーマの数を欲張らずに絞り込むことは、IT化テーマの絞込みと同じく大切なことです。
制約条件と思われることを洗い出し、本当か、無くすことはできないか、今のプロセスだから制約なのかを検討します。
IT部門が業務のIT化を進めるときには、往々にして制約条件をそのまま受け入れるケースがあります。
ここは立場を変え、「制約」の理由をもう一度考えて見ることが必要です。
会社の中には価値観の優先順位があります。品質、価値、コスト、などは、両立することが望ましいのですが、どうしても相反する要件がでたときの優先順位を決めておくことも重要です。
改善策は、これらの制約条件や価値観の中で検討されることになります。
大きな業務改善の場合、ゼロベースで発想することが求められます。これは、現状業務プロセスに引きずられないということですが、最初に持っている改善策にこだわらないということでもあります。
業務改善プロジェクトのファシリテーションをしていますと、多くの人が今の課題や問題点を出す段階で、ある程度の改善策を持っていることがわかります。これは多くの人の自然な思考形態なのでしょう。
この改善策を採用するには他に有効策が出ないことを確認する必要があります。これには、上位や対極の解決法がないのかといった論理的な検証が有効です。
また、全く違う業務や形態を一度当てはめてみるのも、新しい見方を刺激する方法として良く行われています。
業務の設計には、実行時の問題点を回避するという視点が必要です。
どうしても、業務の設計時には、「納期の短縮」「品質の向上」「コストの削減」「内部統制の強化」など、その業務改善の背景にある色が濃く出ます。これは目的に基づいて改善活動をするのですから当然のことです。
大切なことは、その背景の色が濃すぎて他の大事な「背景」が忘れられていないか、十分に検証をすることです。そうしないと一見問題がなさそうに見え、また、事前検証ではうまく流れる業務も、実際の運用に入った段階でいろいろな問題点がでてきます。
コスト削減の追及の結果業務品質が落ちる、管理レベルを上げた結果多大なコストを生んだなど、よくある話です。
バランスを取ること、これが実行時に問題をおこさない勘所といえます。
業務プロセスは刻々と姿を変えていきます。これは小さな改善も含めて、進化のために姿を変えている良い状況ともいえます。
そういった中では、手順書や業務マニュアルといったものの改変がやりにくければ、すぐに陳腐化してしまい、使えないものになってしまいます。
文書化で大事なことは、改訂を前提とすることです。
業務マニュアルに関しては使いやすいことが大きなポイントです。
いろいろな文書にまたがった業務マニュアルはとてもわかりにくいものです。今はそのような改変をし易く、また文書を統合するいろいろな文書化ツールがあります。
IT活用インフラとしてIT部門が全社の統合をしていくことも有効なことでしょう。
100年に一度といわれる厳しい経済環境の中、予定していたITへの新規投資予算が確保できないこともあります。が、このようなときは業務プロセスを見直して課題解決を考える良いタイミングでもあります。
もし現状業務が俗人化していたならば、この機会に
など、今できることはいろいろあります。
将来のIT化に備える意味からも、今、IT部門による業務改善の推進をお勧めいたします。
次回以降のコラムでは、業務改善推進のいろいろなパートについて、具体的な方法論等を述べたいと思います。
NECネクサソリューションズ
コンサルタント 佐藤 哲也
[ITコーディネータ、システム監査技術者]