ちょっとひといき 名城を歩く

名城を歩く

羽柴秀吉が築き、石田三成が仕えた
琵琶湖そばの城

長浜城

1573年、小谷城の戦いでの功績をたたえ、織田信長から長浜の領地を与えられた豊臣秀吉は、琵琶湖そばに長浜城を築城しました。当時は「今浜」という地名でしたが、信長の「長」にちなみ、「長浜」と改名しました。

石田三成との出会いは「三献茶」という逸話で知られています。近江国で鷹狩りをしていた秀吉が、喉が渇いたために観音寺という寺に立ち寄りました。そこで小姓が茶を運んできたのですが、1杯目から3杯目までの茶の、器の大きさと茶の温度に機転を利かせた小姓を秀吉は召し抱えることに。これが後の石田三成というわけです。そんな当時の武将たちのやり取りに思いを馳せてゆっくり散策したいスポットです。

1585年の大地震で長浜城は崩壊し、1615年には廃城となりました。1983年に安土桃山時代の城郭を模して復元された天守閣は、内部は歴史博物館として公開されています。秀吉や三成、浅井長政といった長浜にゆかりのある人物を中心とした展示のほか、貴重な遺構(いこう)を見ることができます。

  • 天守
    秀吉の在城時に使われたと伝わる井戸の跡。琵琶湖が渇水時は近くで見ることができる
  • 銅門
    JR長浜駅前には、秀吉と三成の出会いの逸話をモチーフにした「秀吉三成 出逢いの像」が
  • 武具
    長浜城のある場所は豊太閤・秀吉にちなんで「豊公園」(ほうこうえん)と呼ばれる。春は桜、秋は紅葉が壮観

毎年4月は秀吉公が始めた「長浜曳山祭ながはまひきやままつり」が見もの!
伝統的な出し物・行事で街中が鮮やかに

掘割

毎年4月9日から17日間、長浜の街中で開催されるのが「長浜曳山祭」です。1574年ごろ、長浜城とともに城下町を整備した秀吉公は、源義家の武者行列を模した「太刀渡り」という行事を行いました。これがこの祭りのきっかけとなったといわれ、今でも太刀渡りは行われています。

長浜曳山祭ではいくつもの行事が行われますが、その1つが曳山巡行。江戸時代中期~後期に伝統技術を集結して作られた、「曳山」と呼ばれる絢爛豪華な山車が街中を巡ります。

また、その曳山の上で演じられる「こども歌舞伎」は必見。曳山を所有している町の組織「山組」の中から選ばれる、12歳までの男子によって演じられます。厳しい稽古を経て、華やかな舞台で本番を迎えた子どもたちの名演技は、まさに大人顔負けの迫力。多くの観客を魅了します。

  • せいろ蒸し
    装飾や彫刻で彩られ「動く美術館」とも呼ばれる曳山。現存する13基は国の重要無形民俗文化財に指定されている
  • 「御花」での会席の一例
    5~12歳の男の子たちの晴れ姿は、この祭りの中でもハイライトの1つ。現場での空気感を一度は味わいたい

湖北地方で古くから親しまれてきた名物がたくさん
ここでしか味わえない珍しいグルメに舌鼓

日本最大の湖・琵琶湖の北側に位置する長浜城付近は、歴史的な舞台として栄えた町でもあり、個性的な郷土料理がいくつも存在しています。地元でも古くから愛される人気店もあるので、ぜひ味わってみたいものです。

特に珍しく、人気もあるのが「焼き鯖そうめん」という料理です。柔らかく煮た焼き鯖と、美しく束ねたそうめんを組み合わせたもので、一般的なそうめんはつけ汁などがありますが、焼き鯖そうめんには汁気はありません。熟成されたそうめんは伸びにくく、鯖にも旨味がしみ込んでいる味わい深い一品です。

琵琶湖で生息する鮎や、滋賀県が誇る新しいブランド淡水魚「ビワマス」が味わえるのも湖北地方ならでは。鮮度抜群で上品な甘みをもつ、ここだけの味わいをぜひ堪能したいですね。

  • せいろ蒸し
    「焼き鯖そうめん」は甘辛く煮こまれた鯖とそうめんの不思議な組み合わせだが、おかずとして人気がある長浜グルメ
  • 「御花」での会席の一例
    鮎を生きたまま自分で焼いて食べられる店もあり、新鮮そのもの。本当にこれが淡水魚?というほど臭みがなく美味

観光情報

■長浜城

〒526-0065 滋賀県長浜市公園町10-10
Tel : 0749-63-4611
Fax : 0749-63-4613
電車利用の場合 : JR琵琶湖線 長浜駅より徒歩約5分
車利用の場合 : 北陸自動車道長浜ICから車で約15分 ※駐車場もあります。
開館時間 : 9:00~17:00

■長浜曳山祭

お問い合わせ:長浜観光協会
Tel : 0749-65-6521
Fax : 0749-64-0396

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