経営に役立つコラム

「マイナンバー制度」指南書 ~中堅企業が本当にすべきこと~

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第3回
まだ間に合う! 中堅企業がすべき
前準備とは

野村総合研究所 未来創発センター制度戦略研究室長
梅屋 真一郎

前回までにご説明したように、マイナンバー制度への業務対応は多い。今回の制度は企業の規模に関わらず対応が求められると共に、情報漏えいなどが起きた場合の罰則は重い。

皆さんの中には、「制度開始まで数ヶ月しかないのに、果たして対応が間に合うだろうか」と不安になられた方も多いと思う。

あらかじめお伝えしておきたいが、「今からしっかりとした準備を開始すれば十分に間に合う」。その点に関しては安心していただいても何ら問題はないと断言できる。

ただし、飽くまでも「しっかりとした準備」を「今から」始めることが肝要である。制度開始までに準備すべきことを色々と洗い出すと、やはりかなりの程度の準備作業を行うことは避けて通れない。そのためには、一定の時間を費やして作業することがどうしても必要である。この対応が不十分であった場合には、社会保障や税手続きにおいて大きな支障が生じる恐れがあると共に、安全管理不備の場合には罰則の対象になる可能性もある。 

制度開始に向けてどの様な作業が想定されるかを図「マイナンバー制度開始に向けたタスク表」にした。この図から明らかなように、2016年1月に向けて複数の各種タスクを同時並行に行うことが事業者には求められる。

マイナンバー制度開始に向けたタスク表

(画像をクリックすると拡大表示します)

今回の制度の特徴は、一般的な企業ではシステムの範囲外である各種業務に関しても考慮が必要な点である。給与・人事システムなどの各種パッケージの中にはマイナンバー対応を予定しているものも多い。しかしながら、システムが対応している機能だけではこれらの業務を全てカバーしていない可能性もあり、各企業が個々に対応を行うべき部分も多い。そのための検討作業(セキュリティ対策、データ管理方法などの安全管理措置)の準備も欠かせない。

また、安全管理措置への対応の為の機器調達(マイナンバー業務用のPCや机を区切るためのパーティションなど)や新様式の帳票の準備などの費用発生への考慮も不可欠である。

そして忘れてはならないのが、全ての従業員に制度をしっかり理解してもらうことである。いくらシステムや規定を準備しても、実際に運用するのは従業員である。理解が不十分で安全管理に問題が発生したり、漏えいなどが起こったりすると、当事者ならびに企業にとって重大な事態になりかねない。

正確な制度理解と従業員への周知徹底を

(画像をクリックすると拡大表示します)

繰り返しになるが、マイナンバー制度への業務対応は全ての事業者にとっての責務である。早めの対応着手を是非お勧めしたい。

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野村総合研究所 未来創発センター制度戦略研究室長
梅屋 真一郎(うめや・しんいちろう)

東京大学卒業後、野村総合研究所入社。システムサイエンス部配属の後、NRIアメリカ(ニューヨーク)、野村ローゼンバーグ(サンフランシスコ)出向。帰国後、金融関連本部にて活動。番号制度に関しては、企業実務の観点からの影響度分析などに従事し、関係省庁や関連団体などとの共同検討を実施。新戦略推進専門調査会マイナンバー等分科会構成員。

(監修:日経BPコンサルティング)