経営数値や従業員の動きなど、社内の「今」を把握するのは経営者の務め。どの会社も様々な方法で現状把握を行っていることと思います。
ただ、事業が黎明期から安定期に入ったり、組織が大きくなったりするにつれ、気がつくと「本当の情報」が届きにくくなっているものです。その結果、経営判断が遅れて危機に直面するケースも少なくありません。
事業の課題を素早くつかみ新しい戦略を立てるために、そして戦略が現場で正しく実行されているかどうかを検証するためには、判断材料となるデータが必要です。この土台があってこそ経営者と社員の共通認識を形作ることもできるのです。
事業の「今」を誰もがわかる形に可視化して共有すること、つまり「見える化」は、競争力強化に不可欠な要素となっています。
今の業務状況はどうなっているか。これをリアルタイムに把握する仕組みが「業務プロセスの見える化」です。
重要な決裁案件がどうなっているのかを関係者が不在で確認できなかったり、現場の問題が顕在化せずに対策が遅れたりしては大変です。人の動きや工程の進捗状況を可視化していきましょう。
例として、決裁業務をワークフローで電子化するケースを考えてみます。紙の申請書を上司に渡し、次に部門長の承認を得る場合、書類が今、誰のところにあるのか(どこまでOKがもらえたのか)、滞っている原因は何か(上司が不在か、検討中か)などは、その都度確認しなければわかりません。
ITを使ったワークフローに置き換えるとそのプロセスはたちまち皆の共有情報になります。申請の連絡はメール等で瞬時に上司に届き、この業務では何人の承認が必要で、今、誰のところで承認待ちなのかも明らかに。「見える」ことで滞留が減り、業務全体の効率化が図られることでしょう。
経営状態の把握に必要な様々なデータを、手間をかけずにわかりやすい形で入手できるようにするのが「課題の見える化」です。
課題の発見のため先月の売上分析をしたいものの経理部門に大きな負担がかかる、数値データを見せても危機感を共有できないなどの悩みを解消し、真の課題を素早く浮かび上がらせます。
例えば、商品別の販売戦略を立てるためには、該当商品の売上推移はもちろん、他商品との比較、地域別・販売店別データ、また時期による違いなど、仮説に基づいた詳細データが役立ちます。単品ごとの粗利益を算出して販売戦略を変えていきたい会社もあるでしょう。
こうしたデータ活用を推進するのがBIツールです。ERPなどの基幹システムとBIツールを連携させれば、様々な数値を多面的に分析できるようになります。担当者の集計作業を待たずとも、リアルタイムで把握できるため、意思決定のスピード感も増します。
意思決定のための情報をいつも手元に置き、判断スピードをアップするのが「経営の見える化」です。
現場から経営層への情報伝達に時間がかかっていたり、せっかく導入したERPやBIなど複数のシステムを意思決定に活かしきれていないと感じる企業は、いつでも簡単に情報を活用できる仕組みを持ちたいものです。「見える化」の効果をより高めることができます。
経営の見える化ツールとして役立つのが、社内の複数システムにまたがる情報のトピックスを1つの画面にまとめた「ポータル」です。ポータルは各アプリケーションから意思決定に必要な情報を取り出して表示し、入口として機能します。
ポータルでは、画面を開くと、新着メールもワークフローも売上分析も、分割された枠の中にきれいに配列され、情報を瞬時に一覧できます。マネジメント層と一般社員で画面に表示する内容を変えるなどの柔軟性を持つので、それぞれの役割に応じた情報活用が可能です。
経営層が経営に関わる多様な情報を航空機の操縦席にいるかのように統合的に把握する「コックピット経営」が謳われていますが、ポータルはそれを実現するツールとして機能するのです。
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