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PC活用講座 - Excel

「Excelの便利機能活用術」
目標の数値をいつまでに達成できるか? 簡単に求められるゴールシーク機能とは

ITライター 立山秀利

あるWebサイトで達成したいページビュー(PV)数があるとする。その目標の数値をいつまでに達成できるかをシミュレーションして決めるのに便利なのが、What-If分析の機能の1つである「ゴールシーク」だ。

目標から逆算する「ゴールシーク」機能

例えば図1のように、自社WebサイトにおけるPV数の目標結果があるとする。B1セルには目標PV数、B2セルに1日あたりの平均PV数(以下、「PV/日」)を入力し、B3セルには目標達成に必要な日数を求める数式「=B1/B2」を入力している。

図

図1

ここで逆算的に、必要日数(数式の計算結果)を先に決め、そのために必要となるPV/日をシミュレーションしたいとする。逆算する数式を考えて入力しなくても、ゴールシークを使えば素早く簡単に求められる。

ここでは例として、必要日数が10日になるのに必要なPV/日を求めるとする。まずは数式が入力されているB3セルを選択した状態で、[データ]タブの[What-If分析]→[ゴールシーク]をクリックする。

図

図2
(画像をクリックすると拡大表示します)

「ゴールシーク」ダイアログボックスが表示されるので、「目標値」に、目的の必要日数である10を入力する。続けて、「変化させるセル」には、PV/日のB2セルを入力し、[OK]をクリックする。

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図3

すると、必要となるPV/日が求められ、B2セルに表示される。なお、ゴールシークの計算方法の関係上、このように小数となる場合もある。

図

図4

このB2セルの値は仮に表示されているものであり、[OK] をクリックすると確定する。[キャンセル]をクリックすると、ゴールシークを行う前の状態に戻る。逆算の結果だけを知りたい場合は[キャンセル]をクリックすればよい。

複雑な計算の逆算に威力を発揮

先ほどの例のシミュレーションでは、ゴールシークの機能をわかりやすく解説するため、あえてシンプルな数式を用いた。逆算の数式はすぐに導き出せるので、ゴールシークを使うメリットはほとんどなかった。しかし、複雑な数式で計算を行っているシミュレーションでは、ゴールシークを使うメリットは大きい。

例えば以下のように、B1~B3の借入額と返済期間(月)と利息から、毎月の返済額をB4セルに求めているとする。B1~B3セルをパラメーターとして、B4セルのPMT関数の数式で返済額を求めるシミュレーションだ。

図

図5

B4セルの数式は「=-PMT(B3/12,B2,B1)」である。PMT関数は一定利率の支払いが定期的に行われる場合の定期支払額を算出することができる。基本的な書式は以下である。他にも省略可能な引数が2つあるが、今回は解説を割愛する。

------------------------------
=PMT(利率, 期間, 現在価値)
=PMT(B3/12,B2,B1)

利率 返済利率(月単位)
期間 返済期間数(月数)
現在価値 借入額
------------------------------

今回は、冒頭にマイナスを付けたり、第1引数の返済利率は月単位で指定するよう決められているため、12で割ったりしていて数式が単純ではない点、関数内で複雑な計算を行っている点だけを意識してほしい。

もし、毎月の返済額を20,000円にした場合、返済期間は何カ月になるのか求めたいとする。ゴールシークを使わず逆算の計算式を導き出すのは非常に困難だが、ゴールシークを使えばすぐに求めることができるのだ。

図

図6

図

図7

このようにゴールシーク機能を使うと、シミュレーションの中で期間や日数を逆算的に求めることが素早く容易に行えるようになる。

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立山秀利(たてやま・ひでとし)

カーナビのソフトウェア開発、Webプロデュース業務を経て、現在は、システムやネットワーク、Microsoft Officeを中心に執筆中。 主な著書に『Excel VBAのプログラミングのツボとコツがゼッタイにわかる本』などがある。

(監修:日経BPコンサルティング)