リモートアクセスとは?接続方法別の仕組みや導入手順について説明

リモートアクセスとは?接続方法別の仕組みや導入手順について説明

働き方改革や新型コロナウイルス感染症の流行を背景に、年々注目度が増しているリモートワーク。その実施には、自宅や外出先での業務を可能にする「リモートアクセス」の導入が不可欠です。本記事では、リモートアクセスのメリット・デメリット、接続方法の種類や、導入を成功させるための手順や注意点をわかりやすく解説します。

目次

リモートアクセスとは

リモートアクセスとは、手元の端末から遠隔地にある社内のPCやサーバ、ネットワークなどに接続することです。

リモートアクセスを導入することで、自宅から社内のパソコンを遠隔操作したり、出張先から社内にあるシステムを利用したりすることが可能になります。従来は社内でしか行えなかった業務が社外でも行えるようになり、場所を選ばずに働けます。

近年は新型コロナウイルス感染症の感染対策や、働き方改革の一環として、リモートワークを推進する企業が増えており、それに伴ってリモートアクセスの需要も増加しています。

リモートアクセスのメリット

リモートアクセスの導入は、多様な働き方を実現することで社員の負担軽減に繋がるだけでなく、企業にとっても以下のように大きなメリットがあります。

業務を効率化できる 

リモートアクセスの導入により、業務の効率化が可能です。

どこにいても作業が進められるようになることで、通勤時間や移動時間などの隙間時間も業務に割り当てることができ、時間効率が良くなります。

また、社団法人日本テレワーク協会が2005年に実施した実験結果によると、在宅勤務では、周囲との会話や電話対応などの割り込みが少ないことにより、通常のオフィス業務に比べて集中力が持続しやすいということがわかっています。リモートアクセスを導入し在宅勤務を推進することで、生産性の向上が期待できるでしょう。

BCP対策になる

リモートアクセスの利用は、近年注目されているBCP(Business Continuity Planning:事業継続計画)の観点からも有効です。BCPとは、地震やテロ、感染症などの緊急事態が発生した時にも事業を途切れずに継続し、途切れたとしても損害を最小限に抑え早期復旧を図るための計画を指します。

例えば災害時には、無理に出社しようとした従業員が災害に巻き込まれたり、交通インフラの遮断により出社自体が困難になったりするリスクがあります。リモートアクセスを利用し、オフィス以外の場所でも業務を行えるようにしておくことで、このような緊急事態発生時でも業務を行うことが可能になり、事業を継続することが可能です。

ソフトの導入コストを抑えられる

リモートアクセス導入のメリットとして、ソフトの導入コストが抑えられることも挙げられます。

社外端末から社内PCのソフトを利用することができるようになり、社外端末にソフトをインストールする必要がなくなるためです。使用ソフトが高価な場合や、社外端末の数が多い場合には大幅なコスト削減が期待できるでしょう。

リモートアクセスのデメリット

リモートアクセスには以下のようなデメリットもあります。

動作が遅くなる場合がある

リモートアクセスは社内環境に間接的にアクセスする方式のため、操作にタイムラグが発生したりする可能性があります。作業効率が下がる恐れがあるため、本格導入前に通信環境や操作性を確認しておくことが重要です。

セキュリティリスクがある

リモートアクセスでは、社外から社内のネットワークに接続するため、必然的に情報セキュリティリスクが高まります。ウイルス感染や不正アクセス、端末の盗難・紛失などによる機密情報の漏洩を防ぐため、適切なセキュリティ対策を実施することが必要です。

システム導入にコストがかかる

リモートアクセスの導入には、接続方法にもよりますが、機器購入などの初期構築費用や運用費用がかかります。他にも、リモートアクセスで業務を円滑に進めるためのITツール(Web会議システムやチャットツールなど)の導入も必要になるでしょう。リモートアクセス導入により削減されるコスト(交通費、オフィスの光熱費・賃料など)や得られるメリットも考慮して、費用対効果を検討する必要があります。

【接続方法別】リモートアクセスの仕組み

リモートアクセスの接続方法には次の5つがあります。

  • VPNを利用する
  • リモートデスクトップに接続する
  • 仮想デスクトップに接続する
  • API方式で接続する
  • リモートアクセスサービスを利用する

それぞれ特徴とメリット・デメリットを解説していきます。

VPNを利用する

VPN(Virtual Private Network:仮想専用通信網)は、インターネット上に仮想の専用ネットワークを作り、安全な通信ができるようにする技術のことです。リモートアクセスを安全に行うために広く活用されています。

VPN方式のメリットは、セキュアな通信が可能なことです。データの送受信の際に仮想的な回線(トンネル)を作って通信を行う「トンネリング」という技術を使うため、悪意のある第三者に通信内容をのぞかれるリスクを減らせます。加えて、トンネルに侵入された場合に備えて通信内容を「暗号化」して解読できなくすることで、さらに通信の安全性を高めています。(※サービスによってもセキュリティレベルに差があるため、情報漏洩が絶対に起こらないわけではないことに注意しましょう。)

一方でVPNを利用するデメリットは、使用するインターネット回線の速度の影響を受けやすく、同時接続ユーザーが多いほど通信速度が低下する点です。

リモートデスクトップに接続する

リモートデスクトップとは、手元の端末に社内パソコンのデスクトップ画面を転送して操作する方式です。実際に操作するのは社内パソコンで、手元の端末には同じ画面を表示させるだけです。そのため、社外端末の性能が低くても問題ない点や、業務再現性が高い点、社外端末にデータを残さないため情報管理がしやすい点などがメリットです。

リモートデスクトップは、安全性を高めるために前項のVPNと併用されることが多いです。また、OSやブラウザに標準でついているリモートデスクトップ機能を利用すればすぐに導入できるケースが多く、他の方法に比べて導入が容易であることもメリットといえます。

一方でデメリットは、社内パソコンの電源を常時つけておく必要があり、社内パソコンがシャットダウンしてしまうと遠隔操作ができなくなる点や、ネットワーク回線の速度が遅いと動作が重くなる点です。

リモートデスクトップは、コストを抑えて気軽にリモートアクセスを導入したい場合におすすめです。

仮想デスクトップに接続する

仮想デスクトップは、サーバ上にある仮想のデスクトップ環境を、手元の端末から操作する仕組みです。サーバの仮想マシンがOSやアプリケーションを実行します。

仮想デスクトップのメリットは、セキュリティの高さです。OSの更新などを管理者が一元管理できるため、セキュリティを強化しやすいです。また、データは全てサーバ上で処理・保存されるため、従業員が使用する端末にはデータが残りません。そのため、端末を紛失してしまっても、情報漏洩の可能性を最小限に抑えることが可能です。

仮想デスクトップのデメリットは、専用のサーバなどの設置が必要なため、他のサービスと比較して導入コストが高い点や、ネットワーク回線の速度が遅いと動作が重くなる点です。

コストは高めですが、自社のセキュリティポリシーに沿った環境構築が可能なため、高いセキュリティを求める企業に向いています。

API方式で接続する

API(Application Programming Interface)方式とは、クラウド上のサーバで提供されているアプリケーションにアクセスして業務を行う方法です。

API方式のメリットは、社内ネットワークに負荷がかからず、高い操作性と利便性を保てる点と、導入が比較的容易である点でしょう。

一方でデメリットは、API連携をしている会社のサーバが停止した場合に利用ができなくなるリスクがあることです。また、アプリで作成したデータは、手元の端末にも保存できるので、徹底した情報管理も必要になります。

リモートアクセスサービスを利用する?

リモートアクセスサービスとは、電話回線やISDN回線などを通じて遠隔地のコンピュータやネットワークに接続し、遠隔操作する方式です。近年はVPNが主流であるため、あまり使われていません。

リモートアクセスの導入手順

リモートアクセスの導入は、以下のような手順で進めていくと良いでしょう。

  1. 導入目的の明確化

    生産性向上や従業員のQOL向上など、リモートアクセスの導入目的を決め、何の達成を優先するのかを決めます。

  2. 接続方法の選択

    導入の目的や範囲、費用、自社の情報システム担当者の技術レベルなどを踏まえ、最適な接続方法を選びます。

  3. 社内環境の整備

    セキュリティポリシーを策定し、従業員へのセキュリティ教育をしっかり行いましょう。オンラインチャットツールの導入や押印の電子化など、リモートで業務が行いやすい環境の整備を進めることも重要です。

  4. トライアル・評価と改善

    トライアル期間を設け、従業員からのフィードバックを元に改善や導入範囲の拡大を行います。

リモートアクセスを導入する際の注意点

リモートアクセスを導入する際には、以下のような点に気をつけましょう。

セキュリティポリシーを策定する

セキュリティポリシーとは、企業や組織のセキュリティに関する方針のことです。

リモートアクセスは、不正アクセス、端末の紛失・盗難や不正な情報の持ち出しなど、セキュリティ上のリスクを伴うため、利用にあたってセキュリティポリシーを定めておく必要があります。あらゆるリスクの抽出と分析を行った上で、具体的なセキュリティポリシーを定めましょう。

セキュリティポリシーはただ定めるだけではなく、確実な運用のために内容を従業員に周知徹底することも大切です。

リモートアクセスの対象業務を検討する

情報漏洩は企業にとって大きな損害となり得るため、保護すべき情報資産を洗い出し、情報の重要度に応じてリモートアクセスでの利用可否や取扱方法を決める必要があります。機密性の高い情報はリモートアクセスでは利用しないといった対策も考えられます。

リモートアクセスで機密情報を扱う必要がある場合は、安全性の高い接続方法を選択した上で、利用者別にデータへのアクセス制限を設けるなどの対策を行いましょう。

セキュリティ教育をおこなう

情報漏洩は、従業員のセキュリティ意識の低さが原因で起こるケースも少なくないため、従業員への徹底的なセキュリティ教育が必要です。例えば、「外出先でテレワーク中に機密情報が表示された状態でパソコンを放置してしまう」、「うっかり第三者にIDやパスワードを伝えてしまう」などのリスクが考えられます。

定期的に情報セキュリティに関する研修を行い、具体的なセキュリティ事故例を紹介するなどして、従業員のセキュリティへの意識を高めましょう。

まとめ

リモートアクセスとは、遠隔地から社内ネットワークに接続することです。本記事では、リモートアクセスのメリット・デメリットや種類、導入方法を紹介しました。リモートアクセスを有効活用することで、柔軟な働き方が可能になり、業務効率や業務継続性の向上などさまざまなメリットを得られます。一方で、セキュリティリスクが伴うため、セキュリティ事故防止のための対策が重要となります。

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