

ほとんどの企業がDXの重要性に気づき、生成AIの活用、データアクセスの整備、社内外のシステム連携など、可能なところからDXを進め、成果が出つつあります。しかし同時に、DXの投資予算、評価指標、変革の継続、優先順位など、お悩みを抱える企業も少なくありません。その中でも最も多い悩みである「人材不足、マインド変革」について考えていきたいと思います。
佐藤 麻衣(さとう まい)
NECネクサソリューションズ株式会社
コンサルティング統括部
ビジネス・イノベーショングループ 部長
物流業界での業種営業経験をもとに、流通サービス分野での新技術活用、サービス企画部門でのオリジナルサービス立ち上げなど従事。現在は、コンサルティング統括部にて業種別対応チームと新サービス立ち上げチームのマネジメントを通じて、お客様の課題解決と価値創出支援に取り組んでいます。

1. DXの現状と課題認識
IPAが2025年に発行した『DX動向2025』(注1)によると、日本企業のDXは依然として「内向き・部分最適」に留まる傾向が強いとされています。
具体的には、日本企業のDX成果は「コスト削減」「業務効率化」など社内向けの改善に集中しており、売上増加や新規事業創出といった“成長”に直結する成果は限定的です。
実際に、DXの成果を「出ている」と回答した割合は、6割弱にとどまっています。
また、日本企業ではDXの成果指標を設定していないケースが多く、成果の把握が困難になっていることも課題です。
さらに、経営層・IT部門・業務部門の協調不足や、外部との連携が少ないことが、DXの停滞要因として挙げられています。
2. 中堅企業の経営者の悩みは人材不足、マインド変革
当社で調査した中堅企業の経営層へのDX実態調査アンケートによると、約7割がDX着手済であり、DXに取り組むことが必然となっている一方で、経営戦略⇔DX化の整合が取れている企業は2割程度と経営戦略達成のためのDX検討課題が浮き彫りになりました。
何より、経営課題の上位を占めるのは人材不足・人材教育ということも課題に。人材不足時代におけるDX推進には変化に柔軟な姿勢とともに、今までにとらわれない企業文化や組織づくりとの回答が得られています。

【アンケート調査について】
当社独自調査 調査日時:2024年12月
アンケート対象:売上200~1,000億円、従業員100名以上の企業の取締役層
3. 企業変革に求められる視点と阻害要因
企業が変革を遂げるには、以下の3つ視点が必要です。(注2)
企業が変革を遂げるための3つ視点
- 目的の再定義、経営ビジョンとDX戦略の連動(“なぜ変革するのか”の共有)
- As is - To beギャップの定量把握・見直し
- 企業文化への定着、マインドの変革(社員の意識と行動の変化)
この中で最も難しいのが「マインドの変革」ではないでしょうか。システムや業務は変えられても、人の意識は一朝一夕では変わりません。
属人化の問題は、特定の社員に業務が集中することで、業務継続性や品質のばらつきに影響を与えます。例えば、ある営業担当者しか顧客情報を把握していない場合、その人が異動・退職した際に業務が停滞するリスクがあります。
目的の再定義においては、経営層と現場の認識ギャップが課題となります。経営層が掲げるビジョンが現場に浸透していないと、変革の方向性が曖昧になり、社員の納得感が得られません。これは、コミュニケーション不足やビジョンの抽象性が原因です。
4. マインド変革のためのアプローチ
NECネクサソリューションズ自身、様々な取り組みを実施してきました。社内の複雑な課題に対し、関係者の価値観を共有しながら、全体最適を目指すため、リーダーズメッセージ(経営幹部による定期情報発信)の強化、デザイン思考を活用したアイデアコンテストによる未来思考の文化醸成などトライ&エラー実施してきました。データドリブン型の取り組みも増えてきており、生産性向上や価値向上の成功体験も増えてきました。
現在では、当社のDX事例や、独自の市場調査結果をふまえた経営層の皆さまとの意見交換をさせていただく機会も増えてきました。当社では”企業が変革を遂げるための3つ視点”に合わせて、ビジョンや目的を再定義するDX戦略策定支援や、現状のインフラレベルを可視化し、打ち手を検討する診断サービスなど、各種DXの伴走支援サービスを取り揃えております。実践的なものでいうと、思考の癖を取り除くために、既成概念にとらわれない人材を創出するため「良い問いを立てる」1日研修も提供しており、将来を担う幹部候補や、中計等検討タスクフォースメンバーのチームビルディングとしても活用いただいております。
5. 最後に
DXは、単なるIT導入ではなく、企業文化・働き方・意思決定のあり方を見直す“企業変革”です。そして、その中心にあるのは“人”です。NECネクサソリューションズでは、経営者の皆様と共に、マインド変革から始めるDXを支援しています。
まずは、現状の可視化と目的の再定義、マインド変革から始めてみませんか?そして、社員との対話を通じて、変革の土壌を育てていきましょう。私たちは最も信頼されるアドバイザーとして、ともに未来を切り拓くために尽力いたします。当社の成功・失敗事例も交えながら、お客様に伴走し、お客様の目指す姿の道筋を明確にするお手伝いをさせていただきます。
- 注1:
- 注2:「デジタルガバナンス・コード3.0」(経済産業省)
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dgc/dgc.html
2026年1月