クラウド販売管理システムとは?主な機能や導入のメリットを解説

クラウド販売管理システムとは?主な機能や導入のメリットを解説

商品の販売には多くの工程があり、それに伴う「お金」と「商品」の流れは非常に複雑です。それを一元的に管理するためのシステムとして注目されているのが「クラウド販売管理システム」です。この記事では、クラウド販売管理システムの特徴やメリット、選び方などを解説します。

目次

クラウド販売管理システムとは

クラウド販売管理システムとは、クラウド型の販売管理システム、つまりインターネットを通じてサービスが提供されるタイプの販売管理システムのことです。

クラウドとオンプレミスの違い

販売管理システムには、クラウド型とオンプレミス型があります。

クラウド型とは

クラウド型とは、サービスなどがインターネットを介して提供されるタイプです。自社でサーバなどを用意してシステムを構築する必要がないため導入コストが低いことや、保守運用をサービス提供事業者に任せられることがメリットになります。

一方、提供されている機能をそのまま使うため、後述するオンプレミス型に比べカスタマイズの自由度が低い点がデメリットです。しかし最近では、設定やオプションにより様々なカスタマイズができる製品が増えています。

オンプレミス型とは

オンプレミス(on-premises)とは、英語で「敷地内」を意味します。オンプレミス型とは、一言でいうと「自社運用」で、自社内にサーバなどを設置して運用することです。

オンプレミス型のメリットは、構築・運用を自社で行うため、自社の業務手順やニーズに合わせてカスタマイズできる点や、セキュリティ性が高い点です。デメリットは、サーバなどを購入する必要があるため導入コストが高く、保守運用も自社で行うため運用工数・コストがかかることでしょう。

メリット デメリット
クラウド型
  • 導入コストが低い
  • 自社での保守運用が不要
  • カスタマイズ性が低い
  • セキュリティ要件を満たせない可能性がある
  • データ連携しづらい
オンプレミス型
  • カスタマイズ性が高い
  • 自社でセキュリティ対策が可能
  • データ連携しやすい
  • 導入コストが高い
  • 自社での保守運用が必要

そもそも販売管理とは

販売管理システムの「販売管理」とは、購買管理や在庫管理も含めた広義の意味で使われており、以下の3つの領域に分けられます。

  • 商品を仕入れる(=購買管理)
  • 仕入れた商品を管理する(=在庫管理)
  • 顧客に売る(=販売管理)

それぞれの領域で「お金」と「商品」のやり取りや移動が生じますが、これらの情報を別々に管理していると、管理に手間がかかるだけでなく、「お金」と「商品」の流れの全体像が把握しづらくなってしまいます。

そこで登場するのが販売管理システムで、上記3つの領域の情報を一元的に管理することが可能です。情報管理の負担が減り、仕入から販売までの「お金」と「商品」の流れを可視化することによって収支の状況もわかりやすくなります。また、商品別や得意先別の売上なども把握しやすくなり、経営戦略を立てるのにも役立つでしょう。

クラウド販売管理システムの主な機能

クラウド販売管理システムの主な機能は、販売管理機能、在庫管理機能、購買管理機能の3つです。この3つを連携させて管理することで、商品販売における「商品」と「お金」の情報を一元管理できます。

販売管理機能

ここでは、在庫管理と購買管理を除いた、狭義の意味での販売管理について説明します。

販売管理業務は通常、以下の流れで行われます。

見積→受注→売上処理→請求・回収

販売管理機能では、上記業務に関する一連の処理を自動化・効率化します。例えば、見積書や受注伝票の作成、与信確認、出荷指示、請求書・納品書の発行、納期の管理、顧客情報の一元管理などです。

データの分析機能や検索機能も豊富なものが多く、顧客別・商品別など自由な軸で売上の集計が可能で、顧客ごとの傾向やトレンドなども把握できます。

在庫管理機能

在庫管理機能は、仕入や販売により変化する在庫情報を正確に管理し、適切な在庫数を保つための機能です。例えば、販売管理機能と連携し、受注に応じて自動で在庫引当(※)を行ったり、携帯端末と連携させることで、商品の入出荷の記録や検品を行ったりすることが可能です。

※在庫引当…実際の在庫数から受注分を差し引くこと

複数倉庫の管理に対応しているシステムも多く、倉庫が複数あっても各商品の場所や数量などを正確に管理できます。これにより常に適切な在庫数を保つことができるようになり、在庫の欠品による機会損失、過剰在庫によるキャッシュフロー低下や倉庫圧迫などのリスクが低下します。

購買管理機能

購買管理機能は、商品の仕入に関する業務を行う機能です。例えば、発注書の作成や支払管理、債務残高の管理、仕入先・仕入価格の管理などです。支払予定日別に仕入先や案件を管理することで、支払いの遅延なども回避できます。

また、在庫管理機能と連携して在庫数に応じた自動発注を行ったり、販売管理機能と連携して案件ごとの仕入額と売上額から収支管理を行ったりすることもできます。

クラウド販売管理システムを導入するメリット

クラウド販売管理システムを利用することで、企業にとっては以下のようなメリットがあります。

  • 業務効率化
  • 導入・運用コストを抑えられる
  • 短期間で導入できる
  • 場所を問わず利用できる
  • 導入・運用しやすい
  • BCP対策・災害対策

各メリットについて詳しく説明していきます。

業務効率化

クラウド販売管理システムの導入により、大幅な業務の効率化が実現可能です。例えば、請求書を見積情報や納品データからの自動転記により作成できるようになり、何度も同じような項目を入力・転記するのにかかっていた時間を大幅に削減できます。

また受注案件と発注を紐づけることで、案件ごとの収支や売上予測などがすぐにわかるようになり、発注書など各種書類の管理も楽になるなど、煩雑な業務から解放されることでより付加価値の高い仕事にリソースを投入できるようになります。

クラウド販売管理は、会計システムなど他システムとの連携が可能なものも多く、有効活用により企業全体のさらなる生産性向上が期待できるでしょう。

導入・運用コストを抑えられる

クラウド型の販売管理システムは、システムの導入・運用コストが低いこともメリットです。従来のオンプレミス型販売管理システムは、サーバなどを購入する必要があるため導入コストが高く、保守運用を自社で行うため運用コストも高いというデメリットがありました。

一方でクラウド型では、サーバなどの購入も必要なく、保守運用はサービス提供事業者に任せられるため、導入・運用コストを抑えることができます。

短期間で導入できる

従来のオンプレミス型は、システムの構築に時間がかかるため、導入期間が長いことが課題でした。これに対し、クラウド型の販売管理システムでは、クラウド上のシステムを利用するため新たにシステムを構築する必要がなく、短期間での導入が可能です。システム導入のために割く時間を抑えられ、担当者の負担も減るでしょう。

場所を問わず利用できる

クラウド型の販売管理システムは、場所を問わずに利用できるのも大きなメリットです。外出先からも案件ごとの収支の状況や、納品状況、在庫状況などが把握でき、各担当者に問い合わせる必要がありません。例えば在庫確認は、従来は現地でしか行えず、確認のための手間もかかるものでした。しかし、クラウド販売管理システムでは、インターネットがあればどこからでも在庫状況の把握ができます。

このように、クラウド販売管理システムは場所を問わず使用できるため、迅速な経営判断や柔軟な働き方を可能にしてくれます。

導入・運用しやすい

クラウド型販売管理システムの料金体系は月額や年額によるサブスクリプション型がほとんどです。オンプレミスと違って買い切り型ではないため、初期費用が抑えられるというメリットがあります。

また、クラウド型販売管理システムは、アップデートや機能追加はサービス提供事業者が行ってくれるため、運用の負担が小さいのもメリットです。オンプレミス型では、法改正への対応などでシステムの設定変更をするたびにコストがかかることがありました。クラウド型ではこのような心配はないため、保守運用にリソースを確保できない場合でも安心して利用できるでしょう。

BCP対策・災害対策

クラウド販売管理システムは、近年注目されているBCP(Business Continuity Planning:事業継続計画)の観点からも役立ちます。BCPとは、テロや地震、感染症などの緊急事態時にも事業を継続するための計画を指します。

クラウド販売管理システムでは、データはクラウド上で保管されるため、災害などで自社のサーバが破損してしまっても重要なデータを失わずに済むというメリットがあります。また、災害時には交通インフラの遮断により出社が困難になる可能性がありますが、クラウド型の販売管理システムはどこからでも利用できるのが特徴なので、災害時にも自宅などから業務を行うことができます。

このように、クラウド販売管理システムは事業の継続性を高めることができ、BCP対策になります。

クラウド販売管理システムのデメリット

クラウド販売管理システムには、以下のようなデメリットもあります。

オフライン環境では利用できない

クラウド型のサービスは、インターネット経由で提供されるため、災害時などに通信が遮断されてしまった場合は利用できなくなります。これはクラウド型ならではのデメリットです。

オンプレミス型に比べてカスタマイズの自由度が低い

クラウド型では、お客様の要望に合わせたカスタマイズができない、または限定的になってしまう場合も多く、オンプレミス型と比べるとカスタマイズ性が低いというデメリットがあります。しかし最近では、カスタマイズ性の高いクラウド販売管理システムも多く販売されており、より多くの業務形態に合わせた利用が可能になっています。

クラウド販売管理システムの選び方のポイント

クラウド販売管理システムを選ぶ際、以下の5つのポイントを確認しておきましょう。

  • 機能が自社のニーズに合っているか

    クラウド販売管理システムは、汎用性の高いものから特定の業種に特化したものまで、様々な種類があります。導入前に業務の現状分析と課題の整理を行い、利用目的と必要な機能を明確にしておきましょう。

  • 費用対効果が高いか

    クラウド販売管理システムの導入・運用費用は、業者や商品、プランによって大きく異なります。導入により削減できる人件費や、得られるメリットを洗い出し、長期的に考えてコストに見合うかどうかを判断しましょう。

  • データ連携できるシステムの種類

    クラウド販売管理システムの多くは、会計システムなど他のシステムと連携させることができます。社内の既存システムと連携できるかどうかや、連携方法(CSV、WEB-API利用など)についても確認しておきましょう。

  • サポート体制

    トラブル発生時のサポート体制も重要です。販売管理システムは企業の基幹業務に関わる重要なシステムであるため、トラブル発生時には十分なサポートを行ってくれる業者を選ぶと良いでしょう。

  • セキュリティの高さ

    安心して利用するために、セキュリティ体制もよく確認しておきましょう。ユーザー別のアクセス権設定可否や、データのバックアップ体制なども重要です。

まとめ

本記事では、クラウド販売管理システムの機能やメリット・デメリット、選び方について解説しました。クラウド販売管理システムを利用すると、一連の販売業務における「お金」と「商品」の流れを把握できるようになり、業務の効率化やBCP対策につながります。ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。

執筆者:Y.I

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