基幹システムはクラウド化するべき?導入のメリットや手順を解説

基幹システムはクラウド化するべき?導入のメリットや手順を解説

基幹システムは大きくクラウド型とオンプレミス型に分かれ、業務効率化やコスト削減を実現するためには自社に適したシステムを導入することが重要です。基幹システムに携わっている企業担当者のなかには、基幹システムをクラウド化するべきか迷っている方も多いのではないでしょうか。本記事では、クラウド型基幹システムを導入するメリットやデメリット、導入までの流れなどを解説します。

目次

基幹システムはクラウド化するべき?

結論から言うと、基幹システムはクラウド化することが望ましいです。詳細は次章で解説しますが、基幹システムをクラウド化することで、経営層や経理、人事、事業部門、情報システム部門それぞれにとって大きなメリットが生じるためです。

多くの企業では、以下に示すような理由により、基幹システムの再構築が求められています。

  • 既存システムが老朽化しているため
  • 業務を効率化するため
  • 分断化されているシステムを統一するため
  • 経営情報を可視化するため

上記より、古いシステムや個別最適なシステム、非効率な業務プロセス、ブラックボックス化した経営情報に頭を悩ませている企業が多いといえるでしょう。クラウド型基幹システムを導入することで、企業が抱える上記の問題点を解決することに大きく貢献します。

なお、基幹システムは本来、各基幹業務単位での業務効率化を実現するためのシステムを指します。文脈によっても異なりますが、全社最適の視点で部門横断的な業務効率化や経営情報の可視化を実現するためのシステムはERPシステムと呼ばれることが一般的です。

クラウド型基幹システムを導入するメリット

本章では、クラウド型基幹システムを導入するメリットについて、以下のそれぞれの立場に分けて解説します。

  • 経営層
  • 経理・人事・事業部門
  • 情報システム部門

経営層のメリット

はじめに、経営層のメリットとしては、以下の2つが挙げられます。

  • 情報を一元管理できる
  • 経営状況を可視化できる

情報を一元管理できる

クラウド型基幹システムの導入によって、社内のさまざまな情報を一元管理することが可能です。情報を一元管理できていれば、社内で実行されている複数の事業やプロジェクトの情報を正確かつスムーズに把握することができます。それにより、経営層が正しい経営状況をすぐに理解できるようになります。

経営状況を可視化できる

クラウド型基幹システムは、情報の一元管理に加えて、経営状況の可視化も実現します。経営状況が可視化されることで、経営層の迅速な意思決定に役立てることができるでしょう。

たとえば、可視化された経営状況を確認することで、業務構造の改善や調達コストの見直しなど、より組織力を向上させるための経営判断につなげることが可能です。

経理・人事・事業部門のメリット

続いて、経理・人事・事業部門のメリットとして、以下の2点を解説します。

  • 運用負担や管理コストを抑えられる
  • 手作業によるミスを減少できる

運用負担や管理コストを抑えられる

クラウド型基幹システムを導入することで、運用負担や管理コストを抑制できます。従来の分断化されたシステムでは、各部門に閉じたデータ管理となっており、部門横断的にデータの共有や管理を行う際に運用・管理の手間が発生していました。

一方で、クラウド型基幹システムであれば、経理や人事、事業部門の間でデータを簡単に共有できるため、効率的な業務運用や管理を実現可能です。

手作業によるミスを減少できる

クラウド型基幹システムによって、手作業のミスも減らせます。たとえば、経理の経費集計や人事の給与計算といった業務を行う際、従来の手作業では人的ミスが発生するリスクがあります。さらに人的ミスの発生によって、決算誤りや給与の支給額誤りを引き起こす可能性があり、大きな問題に発展するおそれもあるでしょう。

しかし、クラウド型基幹システム上でデータの集計や管理を行うことで、手作業による人的ミスを大幅に軽減できるようになります。

情報システム部門のメリット

情報システム部門のメリットとしては、以下の2つが考えられます。

  • 社外からもリモートアクセスできる
  • インフラ管理に割くリソースを抑えられる

社外からもリモートアクセスできる

クラウド型基幹システムを導入することで、自宅や海外などの社外からもリモートアクセスが可能になります。社外からのアクセスが可能になれば、社内のリモートワーク促進に大きく貢献できるでしょう。従業員の働き方改革につながるとともに、情報システム部門がオフィスに常駐しなければならない状態からも脱却できるようになります。

インフラ管理に割くリソースを抑えられる

クラウド型基幹システムによって、社内のインフラ管理やセキュリティ管理に割いていたリソースを抑えることも可能です。従来のオンプレミス型の社内システムでは、社内の情報システム部門によってインフラ管理やセキュリティ管理を実施する必要がありました。

一方で、クラウド型基幹システムであればインフラ管理やセキュリティ管理の多くを外部ベンダーに委託できるため、情報システム部門の負担軽減につながります。

クラウド型基幹システムを導入するデメリット

クラウド型基幹システムにはメリットがある一方、導入するデメリットも存在します。おもなデメリットは以下のとおりです。

  • オフラインでは利用できない
  • ランニングコストがかかる
  • オンプレミス型に比べてカスタマイズ性が低い

オフラインでは利用できない

クラウド型基幹システムは、オンライン上で利用するシステムであり、オフライン環境では利用できません。そのため、インターネットに接続できないなどのトラブルが発生した場合、クラウド型基幹システムを使った業務が滞る可能性があります。

たとえば、製品の在庫データをタイムリーに更新できないことで、原材料の発注数や発注タイミングに影響を及ぼすケースも考えられます。

したがって、リアルタイムでの情報更新など重要な業務を行う際は、より確実にクラウド型基幹システムにアクセスできるオフィス環境などで実施することが望ましいでしょう。

ランニングコストがかかる

クラウド型基幹システムでは、ランニングコストが多く発生する傾向があります。オンプレミス型の基幹システムよりも導入時のコストが安くなる分、クラウドの場合はライセンス利用料などが継続的にかかるためです。

クラウド型基幹システムを長期間利用する場合、導入時に想定していた費用よりも高額になる可能性も考えられます。

そのため、クラウド型基幹システムを導入する際は、あらかじめ導入コストだけでなくランニングコストも計算し、予算を準備しておくことが大切です。

オンプレミス型に比べてカスタマイズ性が低い

クラウド型基幹システムは、オンプレミス型に比べて柔軟なカスタマイズがしにくいこともデメリットです。自社の業務プロセスや商習慣が独特である場合、クラウド型基幹システムを導入しても自社の業務に適合しないおそれがあるため注意しましょう。

クラウド型基幹システムを導入する際は、自社の業務プロセスや商習慣とシステムとの適合性を十分に判断したうえで、導入可否を検討することが重要です。

クラウド型基幹システムを導入するまでの手順と流れ

ここでは、クラウド型基幹システムを導入する流れについて、以下の5ステップを解説します。

  1. クラウド型基幹システムの導入目的を明確にする
  2. 導入プロジェクトの推進者と担当者を選出する
  3. 導入に必要な業務の棚卸をする
  4. 上記に基づいて新しい業務フローを構築する
  5. システムの運用を開始する

1. クラウド型基幹システムの導入目的を明確にする

まずはクラウド型基幹システムの導入目的を明確にすることが大切です。導入目的があいまいな場合、システムを導入しても十分に活用できず、無駄な投資となってしまうおそれがあります。そのため、クラウド型基幹システムによって自社のどのような課題を解決したいのかをしっかりと明確化しましょう。

2. 導入プロジェクトの推進者と担当者を選出する

次に、導入プロジェクトの推進者と担当者を選出します。クラウド型基幹システムを導入する際は、円滑に導入推進を実施できる体制構築が重要です。情報システム部門の担当者だけでなく、経営層や事業部門の責任者からも協力を得ながら体制を構築していきましょう。

3. 導入に必要な業務の棚卸をする

体制構築ができたら、現状の業務の棚卸を行います。業務の棚卸では、該当する業務全体を抜け漏れなく洗い出すことが大切です。非効率な業務プロセスについてもしっかりと可視化するようにしましょう。

4. 上記に基づいて新しい業務フローを構築する

業務の棚卸後は、新しい業務フローを構築します。新しい業務フローを構築する際は、既存の業務フローに捉われずに、ゼロベースで効率的な業務フローの姿を検討することがポイントです。また、新しい業務フローとシステムの適用分析を行い、業務フローとシステムが十分に適合するようにすり合わせを行っていきましょう。

5. システムの運用を開始する

最後に、システムの運用を開始します。システム運用を開始する際は、業務影響を最小限に留めるために、まずは部分的に試行導入することが有効です。業務現場の様子も見ながら、徐々に本格導入を展開していくとよいでしょう。また、利用者が新しいシステムに早く習熟できるよう、運用マニュアルの整備や導入教育を実施していくことも重要です。

まとめ

クラウド型基幹システムを導入することで、情報の一元管理や経営状況の可視化、運用負担・管理コストの軽減、人的ミスの減少などさまざまなメリットを享受できます。一方で、クラウド型基幹システムはオフラインでは利用できない点、ランニングコストがかかる点、オンプレミス型に比べてカスタマイズ性が低い点には注意が必要です。

クラウド型基幹システムを導入する際は、導入目的を明確化したうえで、関係者を巻き込んだ社内体制の構築が重要です。加えて、ゼロベースでの業務フローの再構築や段階的なシステム導入、現場教育などもポイントとなるでしょう。

執筆者:maniho

NECネクサソリューションズが提供しているClovernet ERPクラウドは、販売管理・財務会計、給与勤怠だけでなく、案件管理とプロジェクト別収支管理まで、オールインワンで管理できる統合型クラウドサービスです。システムを導入すればこれらのバックオフィス業務を効率化します。また、重要な経営データをすべて連携して管理することで、経営状況や資金繰り状況の見える化にも繋がります。無料トライアルや導入前の相談も可能なので、まずはお気軽にお問い合わせください。

Clovernet ERPクラウドの詳細はこちら。