クラウド在庫管理システムのメリット|導入の流れをわかりやすく解説

製造業や小売業など、商品を取り扱う企業にとって、在庫管理は欠かせない業務です。適切な在庫管理は、生産性や利益の向上、キャッシュフローの改善に繋がります。この記事では、近年注目されている「クラウド在庫管理システム」の特徴やメリット、選び方などを解説します。
クラウド在庫管理システムのメリット
クラウド在庫管理システムを利用することで、企業にとっては以下のようなメリットがあります。
- 業務の効率化
- 在庫情報をリアルタイムで可視化できる
- 場所を問わず使用できる
- コストの削減
- サーバの管理が不要
業務の効率化
クラウド在庫管理のメリットとして、業務の効率化が挙げられます。
在庫管理は、製品や原材料の入荷・移動・出荷・返品などがあるたびに情報が変化するため、記録作業が煩雑で、記録ミスや漏れなども起こりやすい業務です。
しかしクラウド在庫管理では、多くのサービスがバーコードやICタグを利用した在庫管理機能を提供しており、在庫管理がより手軽かつ正確にできるようになっています。商品に貼ったバーコードやICタグをスマホや専用端末で読み取ることで、その場ですぐに入出庫処理や記録を行えるため、作業時間を大幅に短縮することができます。人の手による記録ミスや漏れなどを大幅に減らすことができるので、正確な在庫管理ができるようになり、棚卸作業の時間短縮も実現できます。
また、クラウド在庫管理は、会計システムや生産管理システムなど、他システムとの連携が可能なものが多い点もメリットです。在庫管理以外の関連業務も効率化することができ、企業全体として生産性向上が期待できます。
在庫情報をリアルタイムで可視化できる
クラウド在庫管理システムでは、在庫情報を更新するとすぐにクラウド上に反映されるため、常に最新の在庫情報を得ることができます。在庫管理で最も重要なのは、常に適切な在庫数を保つことです。
在庫の欠品は機会損失に繋がりますが、欠品を恐れて余計に発注しすぎると過剰在庫が発生してしまいます。過剰在庫は一見大きな問題には見えないかもしれませんが、企業のキャッシュフロー低下の原因となります。また、在庫が倉庫を圧迫することで保管費用や維持費も増加し、長期保管による商品の価値低下や廃棄のリスクも発生します。
クラウド在庫管理システムによりリアルタイムな在庫情報が得られれば、「あると思っていた商品がない」というケースがなくなるだけでなく、余計な発注も減り、常に適切な在庫数を保つことができるようになります。
場所を問わず使用できる
従来、在庫数は社内でしか確認できず、時間と手間がかかるものでした。しかし、クラウド在庫管理システムでは、インターネットがあれば、どこからでも在庫状況の把握・共有ができます。
外出先からも在庫状況が把握できるため、営業活動などで訪問先から在庫管理担当者に連絡する手間が省け、商談がスムーズになります。また、複数の倉庫や拠点がある場合は、在庫情報を一元管理することで、発注計画も立てやすくなるでしょう。
このように、クラウド在庫管理システムは場所を問わず使用でき、業務を滞りなく進めるのに役立ちます。
コストの削減
クラウド在庫管理システムの導入により、さまざまなコストの削減が可能です。
具体的には、入出庫記録の自動化、在庫のロケーション管理、棚卸作業の効率化などにより、今まで在庫の管理や記録にかかっていた工数を減らすことができ、人件費の削減に繋がります。また、常に適切な在庫数を保つことにより、過剰在庫の仕入費用や運搬費用、保管料、廃棄費用なども削減できます。
クラウド在庫管理システムの導入には費用がかかりますが、従来のオンプレミス型の在庫管理システムに比べると低価格で導入できる場合が多いため、導入費用を上回るコスト削減が期待できるケースが多いでしょう。
サーバの管理が不要
クラウド在庫管理システムは、メンテナンス面においてもメリットがあります。
従来のオンプレミス型在庫管理システムでは、社内でサーバなどの保守運用をする必要がありました。一方、クラウド在庫管理システムでは、サービスを提供するベンダーが保守運用を行うため、管理者の負担が少なく、保守運用業務の工数や人件費を削減することができるというメリットがあります。
クラウド在庫管理システムのデメリット
多くのメリットを持つクラウド在庫管理システムですが、以下のようなデメリットもあります。
オフライン環境では利用できない
クラウド型のサービスは、インターネットを介して提供されるため、災害時に通信回線が遮断されてしまった場合などは利用ができなくなります。これはクラウド型ならではのデメリットといえます。通信回線が遮断されても業務を継続できるように対策を練っておく必要があるでしょう。
オンプレミス型に比べてカスタマイズ性が低い
クラウド型では、サービス事業者が提供する範囲を超えたカスタマイズはできず、オンプレミス型に比べてカスタマイズ性が劣るという特徴があります。しかし近年は、カスタマイズ自由度の高いクラウド在庫管理システムも登場しています。
そもそもクラウド在庫管理システムとは?
クラウド在庫管理システムとは、インターネットを介してクラウド上で在庫管理ができるシステムのことです。
クラウド在庫管理システムには大きく分けて次の3つがあります。
- 販売管理システム
- EC管理システム
- 倉庫管理システム
以下では、それぞれの特徴を解説します。
販売管理システム
在庫管理システム単体ではなく、販売管理システムに付随する在庫管理機能です。
販売管理システムの目的は、企業の販売業務を最適化することです。機能は大きく「販売管理」、「購買管理」、「在庫管理」の3つに分けられ、在庫を受発注や売上、仕入と連動させて管理することができ、受注から納品までのお金や商品の流れを一元管理できるのが特徴です。
たとえば、受注段階で在庫引当(実在庫数から受注数を差し引くこと)を行うことにより、リアルタイムに販売可能な在庫数を把握することができます。マーケティングに役立つ機能も多く、トレンドに合わせて商品を揃えたり、過去のデータから売れ筋商品を把握したりすることも可能です。
EC管理システム
EC管理システムとは、効率的にEC運営や管理を行うためのシステムで、ECサイトでの商品登録や受注管理、在庫管理などを一元管理することができます。
EC管理システムの在庫管理機能は、各ECサイトの在庫情報や実店舗の在庫情報を連携させて一括で管理することができるのが特徴です。商品が違う場所で同時に売れてしまったことによる欠品を防げるので、例えば在庫が1点しかなくても安心して複数箇所に出品することができます。
倉庫管理システム
倉庫管理システムとは、倉庫内の在庫管理、人員配置や設備を管理するシステムのことをいいます。倉庫内部で行う業務全般の効率化を目的としています。倉庫管理システムでは、在庫管理以外にも、商品のピッキングや入出庫、倉庫内の人材・機材の管理などを一元的に行うことが可能です。
クラウド在庫管理システムの導入の流れ
クラウド在庫管理システムを導入する流れについて簡単に解説します。
- 現状分析・目的の明確化
まずは現状を分析し、課題の整理を行います。在庫管理は多くの部署に影響する業務です。関係者で話し合い、目的・必要な機能を明確にしましょう。
- 利用業者・サービスの選定
業者に問い合わせ、見積を出してもらいましょう。複数の業者の提案を比較するなどして、自社の目的や予算に合ったサービスを選びましょう。
- 試運用
試運用期間を設け、目的に合った運用ができそうか確認しましょう。
- 本運用・改善
改善を繰り返しながら運用しましょう。クラウド在庫管理システムは、商品毎の適正在庫数設定や担当者ごとの権限設定など、さまざまな調整ができます。設定の変更で解決しない問題がある場合は、業務フローをシステムに合わせて変えることも検討しましょう。
クラウド在庫管理システムの選び方のポイント
クラウド在庫管理システムを選ぶ際、確認しておきたいのが以下の5つのポイントです。
- 機能が目的に合っているか
クラウド在庫管理システムは、汎用性の高いものや、特定の業種に特化したものなど、種類によって特徴が異なります。また、同じシステムでも、プランによって管理可能な商品数や利用人数が異なることがあります。自社の目的や規模に合ったものを選択しましょう。
- データ連携できるシステムの種類・多さ
クラウド在庫管理システムは、生産管理システムや会計システムなど、他のシステムと連携させることでより大きな効果を発揮します。現在使用中のシステムや今後導入する可能性のあるシステムとデータ連携ができるかどうかや、連携方法についても確認しておきましょう。
- 費用対効果が高いか
システムの導入には、初期費用や運用費用がかかります。導入により削減できる費用や、得られるメリットを洗い出し、コストに見合うかどうかを総合的に判断しましょう。
- セキュリティの高さ
データはクラウド上に保存されるため、セキュリティの高さは重要です。セキュリティ体制はサービスによって異なるため、事前に確認しましょう。
- サポート体制
操作方法やトラブルに関する問い合わせに対するサポート体制も重要です。口コミや無料トライアルを利用して確認しておきましょう。
まとめ
本記事では、クラウド在庫管理システムのメリットや導入方法、選び方について解説しました。クラウド在庫管理システムで場所を問わず在庫情報が確認できるようになれば、業務効率の改善やコスト削減など、さまざまなメリットが得られます。ぜひ、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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