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社会情勢とともに変化する税制への備え(第3回)
被災地は皆様の温かなお気持ちを必要としています!!
被災地は皆様の温かなお気持ちを必要としています!!
はじめに、当コラムの執筆するにあたり、平成28年4月の熊本県を震源とする地震により被災されたすべての皆様に心よりお見舞い申し上げます。一日も早い復興を心からお祈り申し上げます。
今回は被災された皆様のお役に少しでも立てるよう、災害に関する税務上の取扱いの要点を紹介致します。
1.支援金と義援金の違い
まず、復興支援のための寄附と言っても、大きく分けて2つの目的があることをご存知でしょうか。
一言でいえば、支援金は被災地を支援する活動に使用することを目的とし、義援金は被災者各個人を支援することを目的とします。支援金・義援金ともに大事な支援ではありますが、希望に沿った支援を行うためには、それぞれのお金の使われる目的や用途を理解する必要があります。
2.寄附者の課税関係
税法上は、上記の支援金・義援金を区別することなく、一括して寄附金として取扱います。寄附をした場合における主な取扱いは、下記表の通りとなります。
支払先 | 法人の取扱い | 個人の方の取扱い |
---|---|---|
・県下の災害対策本部 ・日本赤十字社の「平成28年熊本地震災害義援金」口座 ・募金団体(最終的に地方公共団体に拠出されるもの) |
「国等に対する寄附金」に該当し、その全額が損金の額に算入される | 「特定寄附金」に該当し、寄附金控除(所得控除)の対象 |
被災地域の救援活動等を行っている「認定NPO法人等」(支払った義援金がその認定NPO法人の行う特定非営利活動に係る事業に関連するもの) | 特定公益増進法人に対する寄附金として、特別損金算入限度額の範囲内で損金の額に算入される | 寄附金控除(所得控除)又は寄附金特別控除(税額控除)の選択適用 |
(注)認定NPO法人等以外の法人等に対して義援金を支払った場合(「国等に対する寄附金」及び「指定寄附金」に該当するものを支払った場合を除く。)には、支払先の区分に応じて、税務上の取扱いが異なります。その区分や支払った義援金の取扱いについては、直接支払先の法人等にご確認ください。
3.被災した取引先に対して支援を行った法人における取扱い
取引先に対する金銭の贈与等は、通常、交際費等又は寄付金に該当することとなりますが、下記表に掲げる要件を満たす費用又は損失の額は、その全額が損金の額に算入されます。
売掛金の免除、取引条件の変更等 | 低利・無利息融資 | 自社製品の提供、交換・無償補填等 | 災害見舞金 | |
---|---|---|---|---|
取扱い | 全額が損金の額に算入 | |||
相手先 |
災害を受けた次の取引先 ・得意先 ・仕入先 ・下請工場 ・特約店 ・代理店 ・実質的な取引関係にあると認められる者 |
|||
目的 | 復旧支援 | 不特定多数の被災者救援 | 取引関係の維持、回復 | |
期間 | 通常の営業活動を再開するための復旧過程にある期間内 | |||
備考 | - | 被災状況等を勘案した合理性を有するものである限り、融資期間や融資額に制限なし | 特定の者のみに対する自社製品の提供等は、交際費等又は寄付金に該当 |
・被災状況等を勘案した相応の災害見舞金であれば、金額の多寡は問わない ・取引先の役員や使用人に対して支出する災害見舞金は、原則として交際費等に該当 |
《ワンポイントアドバイス》
個人の方はふるさと納税を利用して寄附することも可能です!!
募金団体への義援金等 | 代理受付 | |
---|---|---|
取扱い | 「ふるさと納税」に係る寄附金に該当し、寄附金控除の対象 | |
確定申告 | 必要 | 原則として必要 |
控除要件 |
地方団体が発行する受領書に代えて、次のいずれかの確認書類が必要となります。 ・最終的に被災地方団体等に拠出されることが明示されている募金団体が交付する受領書 ・振込依頼書の控え又は郵便振替の半券(原本)、及び募金要綱の写し等の専用口座であることが確認できる書類 |
通常のふるさと納税と同じで、寄附を証明する書類(受領証)を添付 |
ワンストップ特例制度 | 適用されない | 適用可能(注) |
備考 | 募金団体が収受した義援金等が最終的に被災地方団体又は義援金配分委員会等に拠出されることが明らかにされている必要あり | 多くの場合、返礼品は送付されない |
(注)ワンストップ特例とは、一定の条件を満たす寄附者が、寄附した自治体へ「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を提出することで、確定申告せずに寄附金控除を受けることができる制度です。一定の条件とは、もともと確定申告を行う必要がない方であり、かつ、その年にふるさと納税する自治体数が5団体以内である必要があります。また、寄附先はあくまで代理受付を実施している地方団体となります。例えば、熊本県の代理受付を実施している東京都狛江市と熊本県に対しふるさと納税を行った場合、寄附先の自治体数は2団体となります。
社会情勢とともに変化する税制への備え
筆者紹介
国内最大級の会計・人事のアウトソーシング・コンサルティング会社であり、約200名の公認会計士・税理士・社会保険労務士などのプロフェッショナル・スタッフによって、上場企業や中堅企業を中心に会計・税務、人事・労務に関するアウトソーシング・コンサルティングサービスを提供している。
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