ページの先頭です。
サイト内の現在位置を表示しています。
  1. ホーム
  2. ビズサプリ 総務人事ポータル
  3. SNSによるクレームが増加。企業の評判を落とさない対応術
ここから本文です。

特集

SNSによるクレームが増加。企業の評判を落とさない対応術

2018年12月

SNSによるクレームが増加。企業の評判を落とさない対応術

顧客が企業に声を直接届ける方法は、電話しかなかった時代から様変わりし、Webサイト、SNS、メールなど様々な手段でアプローチできるようになった。手段が増えたことで顧客の生の声が聞けるという利点もあるが、同時にいわゆる「クレーム」の数も増えることとなった。今回は、ユーザーから寄せられるクレーム、とりわけSNSのクレームにどう対応すべきか、その要点をまとめる。

なぜ今クレーム対応が重要視されるのか

インターネットが浸透し、顧客から“生の声”を聞ける機会が増えた。しかし一方で、クレーム(苦情)も大幅に増えている。

クレームと聞くだけで、即、「迷惑なもの……」と考える人もいるだろう。しかしクレームは企業にとってイノベーションのチャンスとなることも多い。自社の製品やサービスに接して不満を感じても、多くの顧客は何も言わずに利用を止めるだけだが、クレームという形で顧客の生の声が顕在化すれば、同様の不満を持つ顧客に向けて解決策を考えることができる。その延長で、声をヒントに画期的な製品やサービスが生まれる可能性もある。

近年のクレームは、電話だけでなくインターネットを介して、とりわけSNSの投稿で寄せられることが多い。電話の場合は基本的に1対1の対応となるが、SNSではクレーム投稿者以外の多数のユーザーや、そもそもユーザーですらないSNS利用者にまで対応しなければならないケースがある。大企業ならカスタマーサービスの部署が対応するのが一般的。しかし中堅企業では、専門担当者がおらず、総務部門がクレームの窓口となるケースも多いだろう。そうしたケースでは、総務部門がどのような対応をするかによって、その後の展開が大きく変わってくる。

最近のSNSクレーム事情は大きく3つに分けられる

SNSで企業に寄せられるクレームとして多いものは、以下の3つだ。

  • 企業(従業員)に対する批判
  • 商品・サービス・広告に対する批判
  • クレーム対応に対する批判

まず、「企業に対する批判」は、企業の姿勢や従業員が起こした不祥事に対する不信感、不満などを指す。

「商品・サービス・広告に対する批判」は、商品やサービスに不備があった、ユーザーが望んでいたものとは異なった(購入した商品の色、デザインなど)、店員の対応が悪かった、CMやポスターの表現が適切ではない、といった批判だ。

そして「クレーム対応に対する批判」は、上記のようなクレームが寄せられたときの対応を誤ったがために発生する批判である。

では、SNSにおいて、どういったクレーム対応が批判を呼び、炎上につながるのだろうか。

投稿の削除

検討もせずにクレーム投稿を削除すると、「なかったことにするつもりだ」と投稿者に不快感を与えてしまう。電話でいえば相手の言い分も聞かずにいきなり電話を切る、つまり無視するのと同じことだ。

反論を書き込む

SNSは公開の場であり、そこで反論をされると、それが正当であればあるほど投稿者は公衆の面前で恥をかかされたと思いやすいからだ。企業の論理が顧客の論理とイコールであるとは限らないという意識を持ち、正当性の主張は慎重に行うべきであることを肝に銘じておこう。

おざなりの短絡的な対応

これは真摯に向き合っていないととらえられるので、避けるべきだ。とはいえ反対に、真摯に向き合っているつもりで公開の場に投稿者の個人的な事情をさらすようなやり取りを続ければ、やはり不信や不満を生んでしまう。この場合は投稿者だけでなく、SNSを見ている第三者にも不快なイメージを与えるだろう。

そのほか、投稿から対応までやたらと時間をかけるのも考えもの。投稿者の多くはスピーディーな対応を期待している。仮に真摯な姿勢で解決に臨むとしても、時間をかけてしまってはその姿勢が伝わりにくく、反対に炎上の種となることのほうが多い。SNSに限らず、クレーム対応は「迅速かつ誠実に」が鉄則だ。

その場しのぎのいい加減なSNSクレーム対応は禁物

SNSで寄せられるクレームには、その場しのぎのいい加減な対応をしてはならない。クレームを嫌がらず、むしろ受け入れる仕組みを構築すべきだ。

具体的な対応としては、クレームがきたら、まずその内容が事実であるかどうかを確認する。事実とわかれば投稿者と連絡を取って、謝罪する。内容が社会的に広い影響がある場合は、投稿者だけでなく、公式Webサイトを通じ、会社としてのオフィシャルな謝罪を発表すべきだろう。重要なのは、クレームが投稿者の主観に基づく苦情であったとしても、放置せずに必ず対応することだ。こうした対応策をガイドラインとしてまとめ、場合によってはルール化しておくことで、担当者の不用意な対応をある程度防ぐことが可能になる。

ただ、対応をしてもSNSで拡散され、炎上してしまうケースもある。こうしたケースでは、まずは炎上の状況を冷静に把握し、会社として冷静に対応していく旨の発表を行って、真摯かつ誠実な対応を続けていくべきだ。責任逃れは禁物。会社側のSNS投稿が炎上を招いてしまった場合も、その投稿を削除せず、炎上の状況に関する継続的なリサーチと解決の報告、改善案提示などで対応しよう。

もう一点、気をつけたいことがある。クレームへの対応は担当者の心身を疲弊させる。対応を個人の資質に依存していると、担当者の負担が増えるばかりになってしまう。万が一にも担当者が体調や精神の不調を訴え、休職や離職に至らないように、万全の体制を整えておこう。

なぜ炎上してしまったのか。対策とともに振り返る

実際にこれまでどのような炎上の事例があったのか、また企業はどのような対策を取ったのか、典型的な例を見ていこう。

まずは企業の姿勢や体制、商品・サービス・広告等に問題があり、炎上が発生したケース。食品への異物混入が原因で炎上した事例を紹介しよう。あるメーカーの食品に虫が入っていた写真を利用者がSNSに投稿し、騒ぎが広がった。会社側はメディアに対して製造工程での混入はあり得ないと説明し、すぐに投稿者を訪問して商品を回収したが、投稿の削除も要請したため印象が悪化、炎上した。最終的に製造工程での混入の可能性を認め、該当商品の販売休止に追い込まれた。

一方、近年は企業のCMやポスターなどが、様々な観点で配慮が足りないとして炎上の対象になっている。例えば、SNS担当者が不用意な投稿をしたことが原因で炎上するケースも多い。あるメーカーでSNS担当者がビジネスと関係のない投稿をしてしまい、炎上した。同社で調査したところ、原因は自社担当者の不注意ではなく、SNS投稿を委託している運営会社のミスであったと判明。同社としては自社に落ち度はなく、その経緯をSNSで発表したのだが、今度は自社のSNS投稿を他社に任せていることが知られてしまい、炎上の火に油を注いでしまった。これなどは事後の対応を誤った例といえる。

また別の電機メーカーは、公式アカウントでSNS担当者が他社を批判する個人的な投稿を行い、炎上。同社はアカウントを休止するとともに、謝罪に追い込まれた。

ここで紹介した事例のほとんどは、広告宣伝やコンテンツの公開、あるいはSNSアカウントの投稿に際して、第三者的な視点でチェックしていないことが背景にあるといえる。炎上後の対策だけでなく予防にも力を入れ、コンプライアンスやダイバーシティについてチェックを行う体制の整備が必要となるだろう。炎上のリスクを想定し、炎上を防ぐためのSNS運用ポリシー(ガイドライン)策定と、それに基づく具体的なマニュアル作成・従業員研修が有効だ。

SNS運用で決めておいたほうがよい事項(例)
  • SNSの運営目的を設定
  • 管理責任者は誰か。責任者を明確にしておく
  • SNSへの投稿者を決めておく
  • 投稿禁止内容を設定
  • 削除対象の内容やワードを設定
  • 問い合わせ、クレームがあった際の対応フロー
  • 投稿時の社内の確認フローを決めておく
  • FBやTwitterなどSNSに参加してくれるユーザーへの対応(好意的なコメントへの対応、禁止事項・ネガティブワードへの対応)など

また、炎上の火種がどこにあるのか、ユーザーの動向に注視し続けることも重要。Webで自社名と商品・サービスなどのキーワードで日常的に検索し、火種になる可能性のある事象をあらかじめキャッチしよう。人力での作業に限界があるなら、監視ツールの導入も検討すべきだ。

SNSをビジネスに活用する方向性は今後も拡大していく。クレームを恐れてSNSの開設をやめてしまうと、貴重なビジネスチャンスを失うことにもなりかねない。SNS自体は積極的に運営しつつ、上記のような手法でクレーム対応を体系化し、クレームが届いたら適切に対応することによって、かえって会社のビジネスに良い影響をもたらせるかもしれない。総務人事が先導し、ビジネスにポジティブなインパクトを与えるSNS運営とクレーム対応の方法を確立していこう。

いまほしい栄養(情報)をピンポイントで補給できる“ビジネスのサプリメント”
「ビズサプリ」のご紹介

ページ共通メニューここまで。

ページの先頭へ戻る