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特集

間違ったコスト(経費)削減は社員のモチベ低下につながる
~コスト(経費)削減の上手な進め方を教えます~

2018年3月

間違ったコスト(経費)削減は社員のモチベ低下につながる

コスト(経費)削減は総務人事の重要な仕事の一つ。大型設備投資により業務環境が激変するような施策もあるが、多くは現場において地道に続けることで効果が出るものだ。とはいえ「削減」を金科玉条の旗印とし、強引に推し進めると、社員のモチベーションが低下するなど逆効果を生んでしまう。では、実際に何をどう削れば効果的なのか。総務人事として事業にかかるコストを見つめ直し、削減を進める際の参考にしてほしい。

トップダウン始動による全社的な理解と納得感が必須

企業を経営し、事業を推し進めていくには、様々な費用が必要となる。その費用のうち「ムダ」と考えられる部分を減らし、費用対効果を高め、財務状況を好転させていくのがコスト削減の最大の狙いだ。

コスト削減は、一部の社員だけで取り組んでも大きな効果は期待できない。やはり会社全体で意識を高め、社員一丸となって取り組むことが重要だ。

とはいえ、コスト削減に向けた自主的な努力を社員に求めても、期待通りに応えてくれる可能性は高くない。冷房の温度を高めに設定し、それで暑ければあとは我慢しなさい……ではやはり無理がある。その努力が生み出すコスト削減効果よりも、むしろパフォーマンス低下を引き起こす原因となってしまい、結果的に業績ダウンへとつながっていくだろう。

では、実際にはどうすればいいのだろうか。コスト削減と聞くと現場の社員が努力するものというイメージが強いが、実際には決してボトムアップで動き出すものではなく、始動にはトップダウンが欠かせない。経営者や管理職がコスト削減の必要性を社員にしっかり説明し、理解と納得の上で会社全体の決めごとをつくり、共有していく必要がある。

とはいえ、社員に主体性をまったく求めず、すべてをトップダウンで進めようとしてもやはり無理がある。全社でルール化した決めごとをもとに、総務人事がイニシアチブを取って、現場のコスト削減を上手に促していくのが現実的といえるだろう。

コスト削減が社員の士気を下げないように注意

全社的に意識を持ってコスト削減を進めるといっても、実際に行う削減内容はやはり部門ごとに異なる。そこで、各部門で具体的な削減目標を作成し、達成状況をチェックしていくという組織的な取り組みが求められる。

その前提として必要なのが、部門ごとのコストの見える化だ。どの項目にどれくらいのコストがかかっているかを数値で示すことで、社員たちのコスト削減に向けた納得感を醸成できる。ここでは、部門ごとにどういったコストがあり、どのような削減が可能なのかを考えてみる。

まず、総務部門では様々な事務経費がある。具体的には消耗品費、電気代などのエネルギー費、システム費、車両費などがコスト削減の対象となるだろう。「コスト削減」と聞くとすぐにイメージとして浮かんでくる冷暖房費や紙使用削減などはこのカテゴリーに入る。ムダな印刷を減らす、コピーに裏紙を使用する、電気の契約プランを見直す、電気をこまめにオフにする、社用車をリースに変えるといった方法も考えられる。

営業部門では、交通費、旅費・出張費、接待費などが柱となる。このほか、研修費・福利厚生費なども含まれる。安い交通機関や宿泊施設を利用する、出張を減らす、タクシーチケット制を廃止する、社内親睦会への補助を廃止するといった手段が代表的だ。マーケティング部門では、広告費・通信費・郵送費などが挙げられるだろう。郵送していた書類を電子化する、固定電話回線をIP電話網に変更する、社内の連絡でSkypeやLINEを活用するなどの方法がある。

注意したいのは、コスト削減を強引に推し進めようとすると社員のモチベーションが下がり、逆効果となってしまう可能性があることだ。コストを削ることだけに着目してしまい、実は必要な経費、減らす必要のない費用まで削減してしまうことがあるからだ。社員の士気やモチベーションを下げないようにするには、各部門の業務内容とそこで働く社員の実情を考慮し、働きやすさを阻害しないように十分配慮する必要がある。

例えば、冷房の温度を高めに設定するのは電気代節約でよくある手法だが、設定した目標温度をあくまで厳守しようとすると、昼間の暑い時間に社員のやる気をそぐ、業務効率が下がるといった弊害も起こり得る。暑さのピーク時間や日差しが直接当たる窓際の席などでは、ルールとして決めた温度にこだわりすぎず、柔軟に運用するのも一考だ。

また、ペーパーレス化と通信費節約を進めるため、FAXをPCで送受信する手法も見られる。これも、うまく回ればコスト削減効果が上がるが、PCにそれほど習熟していない社員が重要なFAXを見逃してしまったり、PCに詳しい他の社員の手を煩わせて業務に非効率が生じたりという弊害はあり得る。

コスト削減を直感や思い込みで進めることも避けたい。そこで、ツールを導入してコスト削減を「見える化」する方法がある。社員が効果を客観的な数値で共有すれば、モチベーション低下を防ぐことも可能だ。例えば印刷時のトナー消費量を見える化できるソフトウェアなどが役立つだろう。ただし、プリンターやコピーは業務によって使用量・頻度が変わってくるので、一律の評価は行わず、業務内容に応じて柔軟に対応することが大切だ。

このほか、コスト削減を「成果」と見なし、部門間で競争させる手も考えられる。大きな成果を上げた社員には表彰したり、一時金を支給したりすれば、コスト削減努力が評価に結びつく実感が生まれ、社員のモチベーションを上げることも可能だ。

間違ったコスト(経費)削減は社員のモチベ低下につながる

コスト削減に成功した実例を参考にする

それでは続いて、コスト削減に成功した企業の事例を紹介しよう。

まずわかりやすいのが、事務経費の最適化によりコスト削減を実現した例だ。ある企業では、経理担当者が洗い出しを行った結果、外部業者に委託する警備、廃棄物処理、清掃においてコスト削減が図れると判断。市場の適正価格を調べた上で各外部業者と交渉を行い、2年で約2000万円の削減を達成した。それが成果として認められ、社内での表彰も行われた。コスト削減に加えてモチベーション向上も並立させた好例といえる。

IT活用でコスト削減を実現した例もある。ある企業では、それまで出張経費の承認に伴い、紙に印刷した書類に本社経理担当者の押印を必須としていた。そのため紙代やトナー代に加え、地方支店から本社への郵送費もかかっていた。そこで同社では電子承認を行える経費申請アプリを作成し、ペーパーレス化による印刷コスト・郵送コスト削減を実現。さらには社員の作業時間削減による業務効率化も達成した。

IT活用はコスト削減においてきわめて有効な手段だ。ビデオ会議導入による出張費削減、専用サーバーから安価なクラウドサーバーへの乗り換えによる保守管理費用削減、ルーティンワークを自動化することによる人件費削減、マーケティングツール導入による営業費削減といった手法が多くの企業で取り入れられ、実際に効果を上げている。

コスト削減は、あくまで「ムダ」をなくすために行うもの。必要なものを無理して削り、社員に我慢を強いる施策では効果が出ない。そればかりか、反対に社員のモチベーションが落ち、業務の非効率性が増すなど、逆効果となることも容易に想像できる。総務人事としても、社員の士気と生産性、効率性をきちんと検討したうえで、コスト削減の推進に尽力していただきたい。

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