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特集

あなたの会社でもセクハラが起こっている? その予防と対策を考える

2018年7月

あなたの会社でもセクハラが起こっている? その予防と対策を考える

セクハラ(セクシュアルハラスメント)への対応はなかなか難しい。特に中堅企業にとっては対応する専門部署も存在しないところが多く、セクハラが発生したとしてもどう対応すればいいのかわからないのではないだろうか。とはいえ曖昧なままにしておくと、一つの事件で自社のイメージが急降下してしまう可能性もある。セクハラに対して総務人事はどのように対応すべきかを解説する。

「まさか、うちの職場に限ってセクハラはないだろう…」は大きな間違い

最近、メディアで話題になることが多いセクハラ。「まさか、うちの職場に限って」と考えてはいないだろうか。実は当事者意識が薄いことも、職場におけるセクハラ問題の特徴の一つ。もちろん現実にはどの職場でも起こり得る問題だ。

セクハラは人間の尊厳を不当に傷つけるだけでなく、個人の能力発揮も妨げることから、結果的に会社の実績にも大きく影響する。セクハラ問題の発生が外部に知れ渡れば、会社の評価を下げ、信用喪失にもつながりかねない。セクハラの直接の行為者だけでなく、会社としても損害を被る可能性が高いことを肝に銘じておくべきだろう。

無意識であってもセクハラとして認識される

職場におけるセクハラとして代表的なものを以下に挙げてみよう。まずは「職場」の定義だが、これは労働者が業務を遂行する場所を示すので、いわゆる会社の社屋内とは限らない。建設業などの現場、営業の出先、打ち合わせで訪れる飲食店、さらには業務で使用する車中も当然「職場」に含まれる。よって、職場におけるセクハラとは基本的に、業務に関わるすべての場所で行われる性的な言動による被害だととらえておけばよい。

なお、異性に対するものだけでなく、同性に対する行為や、LGBT(※)の人に対する不快な言動もセクハラに含まれることは意識しておきたい。

職場におけるセクハラは、大きく「対価型」と「環境型」に分けられる。対価型は、セクハラと見なされる性的な言動に対する被害者の反応(拒絶、抵抗など)を理由に、解雇や降格、減給、不当な配置転換といった不利益をもたらすもの。また環境型は、セクハラと見なされる言動によって被害者が仕事の能力を発揮できないようになるなど、働く環境に支障が生じるものだ。

明確に性的な言動はもちろんだが、雑誌や夕刊紙などの性的なページを机の上に放置したり、アニメのセクシーなフィギュアを飾っておいたりすることも、相手に不快感を与えればセクハラに該当する。また、以下のような発言もセクハラとして認識されやすいので気を付けたい。

種類 発言 内容
性別 「男のくせに気合が入っていない」
「女にこんな仕事は任せられない」
「(女性が電話で応対したとき)男の上司を電話に出せ」
「女(男)を捨ててるね」
「そんなに仕事ばっかりしてて、ちゃんと旦那さんに料理作ってるの?」
「性別役割分担意識」に基づいた発言はセクハラとして認識される。
年齢 「今おいくつなんですか?」
「もうおばさん(おじさん)だから分からないんですね」
「そろそろ子供産まないと」
「いつまで仕事を続けるつもり?」
年齢を直に聞いたり、年齢を意識した発言はセクハラとして認識される可能性大。
プライベート 「恋人はいますか?」
「休みは何をしているんですか?」
「子供はいますか?」
「今日飲み会来るの? 旦那さん理解あるね」
会社などのオフィシャルな場でのプライベートな質問はセクハラになる可能性あり。
容姿 「きれいな髪ですね」
「スタイルいいですね」
「化粧してないの?」
「スカートいいね。もっと履いたらいいのに」
身体的特徴やファッションを褒めたつもりでも相手が不快を感じればセクハラの可能性も。

無意識の言動だからといって言い訳にはならないので、日頃から社員教育などで注意喚起を継続しておきたい。

(※)Lesbian(レズビアン、女性同性愛者)、Gay(ゲイ、男性同性愛者)、Bisexual(バイセクシュアル、両性愛者)、Transgender(トランスジェンダー、性別越境者)の頭文字を取った単語で、性的少数者の総称の一つ

セクハラは行為者だけでなく、企業自体に慰謝料や損害賠償が及ぶ場合も

会社には、従業員に対する「安全配慮義務」がある。社内でセクハラ被害が起きると、状況によっては(例えば、セクハラが起きていることを知りつつ放置していた、など)、その行為者だけでなく、会社も慰謝料や損害賠償を請求される可能性がある。

会社は雇用機会均等法において、セクハラ問題に対し必要な措置を講じる義務が課せられている。この義務をもとに、厚生労働省では職場のセクハラ問題について会社がとるべき以下の10項目の指針を規定している。

  1. 職場におけるセクハラ防止の方針を明確化し、周知・啓発を行う
  2. セクハラの行為者については厳正に対処する旨を就業規則等に規定し、周知・啓発を行う
  3. 相談窓口をあらかじめ定める
  4. 相談窓口担当者が内容や状況に応じて適切に対応できるようにする
  5. 事実関係を迅速かつ正確に確認する
  6. 事実確認ができた場合は被害者に対する配慮の措置を適正に行う
  7. 事実確認ができた場合は行為者に対する措置を適正に行う
  8. 再発防止に向けた措置を講ずる
  9. 相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ周知する
  10. 相談や事実関係確認への協力を理由に不利益な扱いを行ってはならない旨を定めて周知・啓発する

ここにあるように、会社は職場においてセクハラを防止する方針を明確に打ち出し、被害に関する相談の対応、事実確認、被害者と行為者への対処、再発防止に向けた措置、相談者・行為者・協力者のプライバシー保護などを実施しなければならない。被害者に対する不当な扱いの禁止も当然のことだ。また、こうした方針を、管理・監督者を含む全従業員に周知することも求められている。

周知については社内報、パンフレット、社内向けサイトなどの活用に加えて、セクハラ問題に関するプログラムを利用したeラーニングも有効と考えられる。

社員教育の徹底、専門部署・相談窓口や人材配置でセクハラ予防すべき

中堅企業の総務人事担当者は、社内でセクハラが正しく認識されているか、また教育がきちんと社内に浸透しているかどうかを再認識すべきだ。浸透していないなら、社内教育を再検討し、より浸透させる必要がある。社内報やパンフレットで周知する場合は全従業員が確実に目にするような方法を考えて配布する、研修は管理職と部下を一緒にせず分けて行う、管理者に対する研修も階層別に行う、といった工夫も必要になる。セクハラの行為者に対して具体的にどのような対処を行うかをルール化し、あらかじめ社内に周知することも総務人事の重要な業務になる。相談窓口を設定する際も、相談者・行為者・協力者等のプライバシー保護を重視し、面談形式にこだわらず電話やメールなど複数の手段で応じられる体制を考えよう。

セクハラの難しいところは、その状況が多種多様であり、杓子定規に規定できない点である。そのためセクハラの判定も、個別の状況を考慮した上で行わなければならない。

とはいえセクハラ問題は、起きてからでは遅い。起きてしまった時点で被害者はすでに不快な経験をしているので、会社はセクハラ防止の義務を怠ったと判断される。となれば、慰謝料や損害賠償を請求される恐れがあるだけでなく、企業自体のイメージにも大きなダメージを受ける可能性がある。

セクハラ問題が起きてからの事後対策も重要だが、会社はそれ以前に社員教育を徹底し、専門部署・相談窓口や人材を配置して、予防のための対策をしっかりと行うようにしたい。総務人事はセクハラ対策の方針策定から積極的に関わり、周知徹底も含め陣頭指揮を取って対応してほしい。

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