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2026年度診療報酬改定から今後の医療提供体制を考える①

2026年9月

2026年6月の診療報酬改定では、2040年の医療提供体制の再編を見据えた対策が多く見受けられる。急性期医療においてはこれまでの病床機能中心であった内容から、地域においてどのような機能を有しその役割を分担するかが今後のポイントになる。今回は改定内容を確認しながら地域包括ケアシステムを考えてみたい。

1. 診療報酬改定の主なポイント

厚生労働省からの概要資料からの抜粋になるが、今回のポイントとして以下の8つが挙げられている。

出典:令和8年度診療報酬改定について 【医科全体版】(厚生労働省保険局医療課)

この中から今回のテーマである医療提供体制にかかわる項目について見ていきたい。

2.急性期・高度急性期入院医療の見直し

ここで注目したいのは、急性期病院一般入院基本料と看護・多職種協働加算である。急性期病院一般入院基本料はAとBで分かれており、Aの施設基準は、救急搬送件数が年間で2,000件以上(夜間時間帯の受入が1割以上)、かつ、全身麻酔による手術件数が年間で1,200件以上となっている。しかし、従来の入院料も含めて看護・多職種協働加算を考慮すると以下のようになる。

区分 基本点数 看護・多職種協働加算 合計点数 順位

急性期病院A

1,930

1,930

1

急性期病院B(加算あり)

1,643

255

1,898

2

急性期一般1

1,874

1,874

3

急性期一般2

1,779

1,779

5

急性期一般3

1,704

1,704

6

急性期一般4(加算あり)

1,597

277

1,874

3

急性期一般5

1,575

1,575

7

急性期一般6

1,523

1,523

8

急性期病院B(加算あり)では急性期一般1より24点高く、急性期一般4(加算あり)では急性期一般1と同じ点数となることがわかる。見ていただいた通り10:1で看護・多職種協働加算を取りにいく戦略は考慮すべきと考える。

この加算の背景としてあるのが看護師不足であるが、多職種によるタスク・シェアリングにより患者に対するより専門的なケアが可能となる。

しかし、この加算も以下の施設基準があり高いハードルとなっている。

  1. 当該病棟において、一日に患者に指導及び診療の補助を行う看護職員及び他の医療職種の数は、常時、当該病棟の入院患者の数が25又はその端数を増すごとに1以上であること。(曜日や時間帯による傾斜配置可能)
  2. 重症度、医療・看護必要度の該当患者割合に係る指数、平均在院日数、在宅復帰率及び常勤の医師の員数が急性期一般入院料1と同等の基準を満たすこと。入院料における看護職員の最小必要数+本加算による看護職員配置数の7割以上が看護師であること。
  3. 医療機関内であること。多職種協働の目標や各職種が行う業務内容、情報共有の方法等について、文書で整理し、配置される多職種間で共有していること。
  4. 病院の医療従事者の負担の軽減及び処遇の改善に資する体制が整備されていること。

以上のことから、各施設での現状を踏まえてチャレンジしていただく価値は高いと考える。

3.包括期・慢性期入院医療

包括期とは従来の回復期を拡大した解釈で使われるようになり、「高齢者等の急性期患者について、治療と入院早期からのリハビリ等を行い、早期の在宅復帰を目的とした治し支える医療を提供する機能」も追加して位置づけられている。

この項目でチェックしたいのは、2024年度の診療報酬改定で新設された地域包括医療病棟である。これまでの地域包括医療病棟は一律3,050点/日であった。2024年度に移行を考えた施設もあると思われるが、この病棟もかなりハードルが高く急性期一般を維持するのとあまり変わらないという意見もよく聞かれた。

今回の見直しは一律から患者の状態等により6段階で300点/日の差を設けた部分であり、入院料の違いは以下の通りである。

入院料 算定要件 点数

地域包括医療病棟入院料1

A100(一般病棟入院基本料算定病棟)なし

イ.入院料1

緊急入院かつ手術なし

3,367

ロ.入院料2

入院料1、3以外

3,267

ハ.入院料3

予定入院かつ手術あり

3,117

地域包括医療病棟入院料2

A100(一般病棟入院基本料算定病棟)あり

イ.入院料1

緊急入院かつ手術なし

3,316

ロ.入院料2

入院料1、3以外

3,216

ハ.入院料3

予定入院かつ手術あり

3,066

上記の通り、患者によって点数が変わるため、各施設の環境も含め(これも地域で機能により分担を図っていただきたいが)どのような患者を受け入れるかによって収益にも影響があると考える。

現在のところ地域包括医療病棟は地域包括ケア病棟と比較して約10分の1程度の病院数と病床数であるが、今後増加が見込まれている。

4.業務効率化・負担軽減等に向けた取り組み

この施策も看護師不足を補うための対策であるが、「ICT機器等の活用により看護業務を軽減したうえで、適切に患者の看護を行うことができる体制がある場合に、病棟の看護職員・看護補助者の数等について1割以内の範囲の減少である場合は、入院基本料等の基準を満たすものとして、所定点数を算定できるよう見直す」となっている。

また、「看護業務において、ICT機器等を活用することで業務の更なる効率化や負担軽減を推進する観点から、①見守り、②記録、③医療従事者間の情報共有に関して業務効率化に有用なICT機器等を組織的に活用した場合に、入院基本料等に規定する看護要員の配置基準を柔軟化する」という項目もある。

140床の7:1の病院の場合、単純計算ではあるが2名の削減が可能ということである。

では、施設基準となっている3種のICT機器とはどのようなものかを確認したい。以下の資料にある通り、設備投資はかかるものの看護師数の削減だけでなく、要員不足も考慮して検討すべきと考える。

出典:令和8年度診療報酬改定について 【医科全体版】(厚生労働省保険局医療課)

〇終わりに

診療報酬改定においては当面の点数変更部分に目がいきがちであるが、それだけでなく2年後、4年後の改定も今回の内容から想像し、視野に入れて今後の医療提供体制を考える必要がある。職員の職種構成や設備投資は計画的に行わなければならない。そのような観点で今回の改定を掘り下げていってほしい。来月は今後の医療提供体制を考える②として外来及び救急について見ていきたい。