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2026年度診療報酬改定から今後の医療提供体制を考える②

2026年10月

前号では主に入院医療の方向性を取り上げたが、今回は外来及び救急について考えてみたい。

特に注目されるのは、2026年度診療報酬改定における救急部門の大幅見直しである。従来は『夜間休日救急搬送医学管理料』として別建てだった評価体系が、新たに『救急外来医学管理料』として再編された。この変更は単なる点数改正ではなく、地域医療構想における病院の役割選択や機能分担を明確化する重要な指標として機能すると考えられる。今後の病院経営では、国が描く医療提供体制の構築動向を注視しながら、地域特性に応じた対応策を考えていく必要がある。

1.救急医療

2026年度の診療報酬改定では、救急医療の評価体系が大幅に見直され、新たに「救急外来医学管理料」が設けられた。この改定は、夜間休日の対応だけでなく、医師・看護師の配置、検査や処方が可能な体制、地域救急への関与などを踏まえて、24時間の救急外来体制そのものを評価する方向に舵を切ったといえる。

新しい「救急外来医学管理料」は、救急車などで搬送された患者に対して算定するものと、救急搬送ではなく、時間外・休日・深夜に救急外来を受診した患者に対して算定するものに分かれている。さらに、搬送患者の時間帯負荷を評価する「時間外救急搬送加算」や、体制整備を評価する「院内トリアージ実施体制加算」も新設された。

ここで新設された項目を整理しておこう。

項目 点数 対象患者

救急搬送医学管理料1

800点

救急搬送患者

救急搬送医学管理料2

600点

救急搬送患者

救急搬送医学管理料3

200点

救急搬送患者

夜間休日救急医学管理料1

600点

救急搬送以外の時間外・休日・深夜受診患者

夜間休日救急医学管理料2

400点

救急搬送以外の時間外・休日・深夜受診患者

夜間休日救急医学管理料3

50点

救急搬送以外の時間外・休日・深夜受診患者

時間外救急搬送加算(土日祝夜間)

300点

搬送患者への加算

時間外救急搬送加算(平日夜間)

250点

搬送患者への加算

時間外救急搬送加算(土日祝の夜間以外)

200点

搬送患者への加算

院内トリアージ実施体制加算

50点

非搬送の時間外・休日・深夜受診患者への加算

2026年度診療報酬改定の「救急医療」は、これまでの延長ではなく、評価の考え方そのものを変えた改定である。これを読み解くと以下のような本質が見えてくる。

また、この中の隠れたメッセージとして以下の内容を付け加える。

  • 救急受入能力=収益力(断らない病院を評価)
  • 役割分担強化(同じ救急病院でも役割が分かれる)
  • 組織力=評価(組織力がなければ評価を得ることができない)
  • 救急×情報連携=標準化(救急時医療情報取得加算の新設)

これらの内容を踏まえた上で貴院がどの区分を狙うべきか(戦略整理)を検討いただきたい。

2.外来診療

救急医療だけでなく通常の外来診療においても今回の改定では明確に機能分化が練り込まれている。特に200床未満と400床以上の区分がより明確化されている。

基本的には、400床以上(大病院)は外来縮小・逆紹介圧力強化、200床未満は外来受け皿として評価・強化されるようになってきている。

3.在宅医療

このコラムをご覧の皆様の施設では急性期のみならず、地域包括ケア病棟をお持ちの施設も多いのではないだろうか?施設基準としては訪問看護ステーションを含めた在宅医療機能が必須となっており、在宅医療に関する改定も重要なポイントとなる。

在宅医療は量から質(体制→アウトカム重視)への変換が今回の見直しの方針となっている。その一つが在宅医療充実体制加算の新設である。在宅緩和ケア充実診療所・病院加算の大幅変更であるが、例として、400点から800点に倍増した項目もあるなど、全体として評価が引き上げられている。

当然算定要件も厳しくなっておりアウトカム重視の方針が随所に反映されている。

  • 緊急往診30件/年以上かつ看取りの実績と小児在宅患者数の合計が30件/年以上
  • 重症度の高い患者と終末期の患者の合計が2割以上
  • 医師数一人あたりの、訪問診療を実施する患者の実人数が100人以下

4.医療DX

これも今回の中核テーマの一つとなっており、「導入評価 → 活用・実績評価」へ転換が行われている。これまでは導入していれば評価対象となったが、今後は実際に使っているか・成果が出ているかで評価される。なお、電子処方箋については、現段階では運用できる体制の整備が評価対象となる。電子的診療情報連携体制整備加算がその一つで高いもので入院時160点という評価となっている。ここで加算1の施設基準を満たすための対応内容をまとめてみた。

  • レセプトオンライン請求ができているか
  • 明細書を患者に無料発行できる状態になっているか
  • オンライン資格確認体制が構築できているか
  • 医師がオンライン資格確認などシステムを利用して取得した診療情報を、診察室・手術室または処置室などで閲覧・活用できる体制が構築できているか
  • マイナ保険証の利用率が30%以上か(利用実績の確認)
  • 明細書無料発行や医療DX推進に関する事項を院内に掲示しているか
  • 自院のWebサイトにDX体制・情報活用に関する情報を掲載しているか
  • マイナポータルの医療情報などに基づく患者からの健康管理相談に応じる体制が整っているか
  • 電子処方箋に対応できているか(加算2以上の算定に必要)
  • 電子カルテ情報共有サービスに対応できているか、医療情報連携ネットワークに参加しているか
  • 地方厚生局への届出様式はすべて記載できているか

また、入院加算1については以下も必要である。

  • 医療情報システム安全管理責任者を専任で配置しているか
  • オフラインバックアップ(電子カルテ・医事・PACSなどの多重化)を実施しているか
  • サイバーインシデント対応BCPを策定し、年1回以上の訓練を実施しているか
  • セキュリティ研修の受講記録・実施日・内容を文書で保管しているか

当然医療DXにおいてはICTなどへのシステム投資も必要であるため、計画的な予算を組みながら助成金も活用し積極的に取り組んでいただきたい。

〇終わりに

2回にわたって2026年度診療報酬改定においての今後の指針となる項目を中心に考察してみたが、各地域で完結できる病院機能とその分担は見えてきたのではないかと思う。特に重要な「機能の分担」は自院だけでは計画も達成もできない。それぞれの地域医療の中で十分に連携し、各施設の特長を活かしつつ、理想ではあるが重複や漏れのない機能分担が整うことを期待する。