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医療情報システム導入支援に関する本番立ち合いからの考察(その2-1)

2026年7月

はじめに

今回も前回に引き続き、当社が医療情報システム(電子カルテ)の導入支援を行った際に、実際に直面した数々の課題や問題点について、対策案を含めた考察を記載したい。

各医療機関での医療情報システム導入(更新)に関する対策案の参考となれば幸いである。

項目一覧

1.患者基本予防接種データの注意事項

電子カルテの更新において、患者プロフィールの予防接種歴を移行する場合、大人の患者でも小児予防接種として移行されてしまう事象が発生。その後、更新前と更新後のデータの持ち方の違いが判明した。

対策
  • 対象患者を割り出して(患者プロフィールの)修正を行う。
対策での留意事項
  • データ件数によっては、対象医療機関へ依頼できない可能性もある。
今後の導入案件での留意事項
  • 移行テスト時に、予防接種項目について大人と小児でそれぞれ確認し、対策を事前に検討すること。

2.外来患者一覧で検査予約の来院表示

エコーなどの検査を外来患者一覧の予約項目として一覧表示した際、来院済みの患者であるにもかかわらず、未来院のままステータスが変わらないケースが発生。

これは、予約外で受け付けた患者に対して、診察時に追加で画像系の予約検査を出したことが原因であった。検査予約を来院状態のステータスに変えるタイミングが不明であるため、未来院として表示されたのである。

対策
  • 患者の状態確認をして、未来院か来院済みかを判断するしかない(追加でワンクリックが必要となる)。
対策での留意事項
  • 患者一覧は案内表示とも連携するので、検査予約項目を外来一覧で運用するかどうかは、案内表示を担当するベンダを含めた事前の検討が必要である。
今後の導入案件での留意事項
  • 外来患者一覧として運用が必要かどうかなど、施設の状況と合わせて事前に検討することが必要である。

3. 退院確認ができない場合の注意事項

退院確認しようとすると、未実施オーダが残っていて退院確認ができない事象が発生。

対策
  • 施設ごとの設定により、実施入力やオーダ中止としないと退院確認できない範囲は異なるため、各プロジェクトでの確認が必要である。
    ※ 見逃されがちなのは、持参薬が残っているケースである。
対策での留意事項
  • 持参薬を退院確認チェックの対象外とすることは可能だが、持参薬データが継続的に残り続けるケースがあるので注意が必要。
今後の導入案件での留意事項
  • オーダ(特に薬剤系)の実施中止(「指示中止」ではなく「実施中止」)権限を看護師などに与えておくことが、円滑な運用においては必要かつ大事であると考える。

4. コンサルテーション依頼返信での代行医運用

代行医を選び医療秘書にてコンサルテーション依頼の返信登録後に修正しようとしたが、修正できない事象が発生。医療秘書に修正権限がないことが原因である。

対策
  • 代行医で選んだ医師に修正してもらう。
対策での留意事項
  • 特記なし
今後の導入案件での留意事項
  • 代行医選択によるコンサルテーション返信を行う場合、本人以外の運用では修正できないことや、修正時は代行医自らの修正となる旨を周知徹底しておく必要がある。

5. 移行した画像オーダのパスでの必須チェック

移行データで必須コメントが入力されているにも関わらず、それを含んだパスを適用しようとすると必須項目の未入力エラーとなる。

対策
  • パスマスタを開いて、再度コメント入れた上で、パスマスタの登録を行う。
対策での留意事項
  • 特記なし
今後の導入案件での留意事項
  • 移行テスト時に、画像オーダ含めたパスでの検証を実施しておくこと。

6. 条件付き指示薬剤の一括修正

期限切れの薬剤が条件付き指示に入ったままであったため、一括で修正したいが対象の薬剤が表示されない。

対策
  • 一括変換画面での対象薬剤検索時
    (1)「有効期限切れ検索」にチェック
    (2)有効期限日より前の日付(2026年07月01日が有効期限であれば、20260701より前の日付)を入力
    上記(1)(2)を踏まえて検索すること。
対策での留意事項
  • 特記なし
今後の導入案件での留意事項
  • マニュアルや操作研修資料などに記載しておく必要がある。

7. 部門システムのカルテデータ参照

移行対象外のデータを部門システムが参照しており、過去のデータを利用することが部門システムではできない事象が発生した。

対策
  • 過去データも参照する部門システムがないかを事前に確認しておく。
対策での留意事項
  • 全薬マスタを使うためデータ移行しないケースなどで、部門システムが薬剤の情報を引用している場合はシステム更新時に見られなくなるので、切り替え設定時には最低限代替え案や事前周知などの考慮が必要である。
今後の導入案件での留意事項
  • 部門ベンダ側の対応工数に影響を与えるため、見積もり作成時点で部門ベンダ側にその旨を確認しておくとよい。

8. 細菌検査結果移行データ中間報告での不具合

細菌検査結果の移行データで、中間結果として移行されたものに対して最終結果が送られてくると、中間結果が残ったまま最終結果のレコードが追加され、検査結果照会で同じ項目が中間と最終の2つの結果として表示されてしまう事象が発生。

対策
  • 当該事象が発生した場合は、システム開発部隊にパッチツール作成を依頼する。または、検査システムベンダに協力を仰ぎ、再送(削除・最終結果)での対応が必要である。
対策での留意事項
  • 特記なし
今後の導入案件での留意事項
  • 細菌検査結果データ更新のインターフェイス方法(シーケンス、採取番号など)をきちんと確認しておくこと。
  • 可能であれば、移行データでの中間報の更新テストをインターフェイステスト時に実施。
    ※ 検査部門システムの問題ではなく、移行データ側の問題である可能性もあるため移行したデータでのテストが望ましい。

9. スマホアプリ導入時の院外薬局向け機能の勘違い

患者より「スマホアプリに院外薬局への連絡機能があるが、病院でオーダされた薬剤を連携させることができないか」との問い合わせがあった。しかしながら、アプリの開発担当者に確認したところ、そのような機能はないとのことであった。

対策
  • 患者自身が発行された院外処方箋をスマートフォンで撮影し、メールなどにより院外薬局側へ送信する対応となる。
対策での留意事項
  • システム更新時に配布した該当アプリのパンフレットに、いかにも電子カルテと連携できそうな漠然とした表現の記載があったため患者が勘違いしたものであり、正確な情報の提供が必要。
今後の導入案件での留意事項
  • スマホアプリに関する患者窓口がある場合は、患者への説明時に院外薬局への連携についての説明をするよう依頼しておくことが必要である。

10. コミュニケーションツールの添付利用

コミュニケーションツールでファイルを添付し、ExcelやWordなどを閲覧する場合には、ダウンロードが必要となる。使用しているパソコンが共用であるため、データが残り続けることとなる。

対策
  • コミュニケーションツールの仕様としてダウンロードせざるを得ないため、閲覧後の削除や共有サーバの個人(または部署)フォルダに移動させるなどのルールを徹底させる。
対策での留意事項
  • 端末のポリシーとしてダウンロード可能な場所を決めておくこと。
今後の導入案件での留意事項
  • 画像やPDFであれば直接閲覧可能なので、添付するデータは可能なら、なるべくPDF化してもらう運用を推奨したい。

まとめ

今回記載した内容は、稀な事象も含まれているが、対策が必要なケースの一例であり、全ての対策において言えることは「事前の検証がとても重要」ということである。

そのためには、通り一遍の型にはまったリハーサルを行うのではなく、様々なケースを想定したシナリオの作成が重要となる。シナリオについては、基本的に対象医療機関が作成するため、このコラムの内容を参考にしてもらってもよいと考える。

次回も「医療情報システム導入支援に関する本番立ち合いからの考察(その2-2)」として、各方面からの事象を紹介しながら考察したい。

少しでもお役に立てれば幸いである。