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医療情報システム導入支援に関する本番立ち合いからの考察(その2-2)

2026年8月

はじめに

今回も前回に引き続き、当社が医療情報システム(電子カルテ)導入の本番立ち合いを行った際に、実際に直面した数々の課題や問題点について、対策案を含めた考察を記載したい。

各医療機関での医療情報システム導入(更新)に関する対策案の参考となれば幸いである。

項目一覧

11.化学療法室処置室一覧での併科確認

化学療法室にて処置一覧運用をする場合、外来患者のその日の併科受診予定や検査の有無を確認したいが、カルテを開かないと確認ができない。

対策
  • 案内票を使用する運用がありの施設であれば、患者の持参した案内票を参照する。または、患者が受診予約されている、もしくは医師が振り分けされている科が限定的ならば、セクレタリーにて外来患者一覧に切り替えると、一覧で併科情報や検査有無の確認が可能である。
対策での留意事項
  • 特になし。
今後の導入案件での留意事項
  • 化学療法室にて、何をベースとして運用していくかを施設の予約運用に合わせて決めておく。
    例1:化学療法の予約をとる場合 → 外来患者一覧で運用
    例2:診療科診察予約+レジメンベッド予約 → 処置室一覧で運用 など

12.入院指示(入院予定)の帳票運用

コメントなどを書き込んだ入院指示(入院予定)を一覧として紙に出力し、入院決定や確認タイミングで利用していたが、標準設定では一覧帳票出力機能がないので運用しづらい。

対策
  • CSV出力でExcelにて編集し、出力してもらったものをワークシートとして利用。医師や看護師が個人的に利用するレベルであれば、ワークアシスタントにある「本日担当患者」に登録した上で一覧化しておく。個人メモや患者メモで記載しておくなどの対応も可能である。
対策での留意事項
  • ワークアシスタントの「本日担当患者」を利用する場合は、一定期間で表示が消える設定が規定値となっているため、表示期間を無限にしておくのが無難である。
今後の導入案件での留意事項
  • ワークシート的に、入院予定一覧(または同様の帳票)を使用していないか確認して代替え案を提示しておくことが必要である。

13.レジメン運用時の豆知識

  • レジメン投与開始時刻を変更すると、後の同日注射予定時刻が変更される。
  • レジメンカレンダーからの確定は即登録となる。
  • 一括で割合変更を行うと、クール全体が変更となる。
  • レジメンパス適用を行うと、中止しかできない。
  • ステップ適用後、投与量の変更はオーバビューから行う。
  • レジメン注射を中止する場合にゼロオフ設定を行うと、複数薬剤があれば全てがゼロ投与となる。次回流用時には投与対象となる(ゼロオフでない場合は流用時反映しない)。中止理由の入力は可能である。

※ゼロオフ使用するか否かは、導入時事前設定にて施設全体で決める必要がある。

14.院外処方箋への検査結果印字(運用+移行)

院外処方箋への検査結果印字を患者毎に判断したい。

対策
  • 電子カルテの標準機能として以下を設定。
    患者プロフィール設定 ⇒ 院外処方指示情報にて投薬指示情報が設定可能
対策での留意事項
  • 導入当初は、患者プロフィールの設定が空の状態となっているため個別設定が必要。導入前のシステムで同様な仕組みがあれば、移行対象の項目とするか移行可能かも含めて検討が必要。
今後の導入案件での留意事項
  • 導入前システムにて、検査結果出力とその方法(有無判別の仕組みがあるか否か)について確認しておくこと。

15.検査オーダ時の至急対象項目

検査オーダ時に至急で出されたものの中に外注検査が含まれていると、これが影響して検査結果が出揃ったという状態(Miraisでは「●」表示)にならず、外来患者一覧では一時終了が診察待ちに状態が遷移しないため、結果として、案内表示板連動による患者呼び込みができなくなる(患者を無駄に待たせることになりかねない事象につながる。また、患者を名前で呼び込む必要が生じる)。

検査オーダで「至急」と指定された中に外注検査が含まれている場合、次のような問題が発生する。

  • 通常なら検査結果が全て揃った状態(Miraisシステムで「●」表示)とならない
  • 外来患者一覧では「一時終了」状態に正常に切り替わらない

この結果、以下の影響が出る。

  • 案内表示板を使った自動的な患者呼び出しができなくなる
  • 患者が不必要に待たされる
  • 医療スタッフが手動で患者の名前を呼ばなければならなくなる
対策
  • 検査オーダのマスタを修正する(基本はこれしかない)。
    運用での回避策として検査戻りの場合は、必ずブロック受付に立ち寄ってもらう運用とし、受付で状態監視を行うなどの工夫をしている施設もある。
対策での留意事項
  • データ移行でマスタコードを変えた場合などに頻発する傾向がある。
今後の導入案件での留意事項
  • 少なくとも、外注検査項目が「至急対象可」になっていないかの確認だけはしておくこと。

16.パスで使用可能な条件付き指示

パスひな型を移行したが、条件付き指示にてエラーが出て使えない。

対策
  • 条件付き指示を削除して使える形にて登録。使用できる条件付き指示は、クリニカルセットにて診療行為の選択や実施有無をチェックボックスやオプションボタンにするとエラーとなるため、これを外して選択するものを全て載せるか、別々のものにするとよい。
対策での留意事項
  • 移行時は必ず公開が可能かまで確認すること。移行したままだと未公開 ⇒ 公開の際にもエラーとなるので、該当パスは使用できない。
今後の導入案件での留意事項
  • 特記事項なし。

17.処方セット作成時の注意事項

セットを使って外来の院外処方をオーダしたつもりが院内処方として登録される。

対策
  • セットを入院用(院内処方)に作成しているため、外来の平日昼間の時間帯であっても、これを使用すると院内処方でオーダされる。登録前の修正は可能である。外来患者には、外来用のセットを利用するか、入外共通であれば、外来向けに院外処方でのセットを作って運用する(入院患者であれば、院外処方であっても院内に切り替わる)。
対策での留意事項
  • 某システムにおいては、システム設定のほうがセットの設定を上回って処理されるため某システムからの移行ユーザほどはまりやすい傾向がある。
今後の導入案件での留意事項
  • セット作成時の注意事項としてマニュアルなどに記載すること。

18.プリンタ複数印刷時のソート順

複数ページの文書をプリンタで2部印刷すると、1ページ目が2枚出力された後に2ページ目が2枚出力される。

対策
  • プリンタドライバの設定によって異なる。某A社のA4プリンタはこの設定が初期値になっていることがあるので要注意。
対策での留意事項
  • 特記事項なし。
今後の導入案件での留意事項
  • 出力テスト時に、複数ページかつ複数部数の印刷テストを実施。配信での設定も可能だが基幹に関わる配信となるため、手動で端末展開後に修正すると、無駄な工数を費やすことになる。インフラ担当メンバーの作業必須確認項目に組み込んでおくとよい。

19.プリンタが動くとPCがリブートする事象

オーダ登録または診察終了時に帳票出力が動き、近傍のプリンタが動こうとするとPCが勝手にリブートする。

対策
  • 電源の容量不足により発生。根本は設置場所の電気容量と使用するPC、プリンタ、周辺機器を合計し、他に使用する機器の電力量を考慮して十分な電力量に調整する(施設課など担当部署との調整が重要)。
対策での留意事項
  • 既存の設置機器もあるため、正確な値がわからない場合が多いが、少なくとも、事前に電子カルテ機器側(部門を含む)の使用量を把握しておく必要がある。
今後の導入案件での留意事項
  • 機器手配時に使用量を把握し、客先に提示しておくことが重要。

まとめ

今回記載した内容にも、基本的な部分とは少し離れている事象も含まれているが、前回も記載した通り「事前の検証には大きな意味があり、とても重要である」ということである。

当社においても、医療情報システム導入コンサルティング支援を受託してきているが、様々な方向からの事前確認に注意を払っている。特に重要なのが「ハード関連の電気容量」「無線LANの受信状況」「患者及び職員動線に係わること」である。

また、あえて特記するならば、「マスタ作成」は、医療機関職員が行う必要がある重要な作業であるため、そのための作業体制を院内で最初に決めておくことも忘れてはならない。意外に多くの医療機関において、マスタ作成の準備に苦労している状況があることも事実である。

以上、少しでもお役に立てれば幸いである。