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飯能市立図書館:駿河台大学連携事業と図書館友の会

図書館つれづれ [第144回]

2026年5月

はじめに

飯能市立図書館(埼玉県)は、2025年にブックスタートの予算を確保するため、自分たちでできることをと、ガバメントクラウドファンディング®に挑戦しました。図書館は地域と一緒になって動くことで、いっそう力を発揮します。今回は、飯能市にある駿河台大学との連携事業である「令和7年度情報活用講座『これから始めるインスタグラム』」と、飯能市立図書館友の会のボランティア活動を紹介します。

駿河台大学連携事業 令和7年度情報活用講座「これから始めるインスタグラム」

私のSNSは、還暦の年に発覚した癌の闘病記ブログから始まりました。その勢いでFacebookとLINEは続けています。X(旧Twitter)は、アカウントは一応作ったけれど、情報量についていけずそのまま放置。インスタグラムも無理と思っていたのですが、教えてもらえるのなら、と「これから始めるインスタグラム」を受講しました。

1. 駿河台大学メディアセンターとパソコン相談員

図書館の講座を主催する駿河台大学メディアセンターは、「学術情報課(図書部門)」と「情報システム課(PC・AV部門)」の2つの部署が連携し、大学全体のICT環境を支える専門組織として運営されています。メディアセンターの役割は、大きく分けて以下の3点に集約されます。

  • 大学内のネットワーク(Wi-Fiなど)、サーバー、PC端末、メールシステムなどの物理的・技術的な情報インフラ(基盤)の管理
  • システムのプラットフォーム提供:事務部門(庶務・教務・財務など)が使用するシステムが、24時間止まらずに安全に稼働するための環境の提供
  • 教育・研究支援:学生の皆さんが授業や自習で使う学習支援システム(LMS)や、メディアライブラリー(図書・雑誌・映像資料)の管理

パソコン相談員は、1997年にWindows 95導入で操作に戸惑う学生を支援するため、有志の勉強会から誕生しました。現在は大学公認の学生スタッフ(Student Assistant)として、PCの操作指導やトラブル対応を行っています。学生が学生を助ける「ピア・サポート」を軸に、学内のIT環境を支える重要な役割を担っています。

2. 飯能市立図書館との連携

大学との連携は、飯能市立図書館が蔵書検索のモバイル化をするにあたり、駿河台大学に講座依頼したのがきっかけでした。そこで、大学からメディアセンターの職員とパソコン相談員を講師として派遣し「情報活用講座(初級)~タブレット端末の使い方、インターネットでの情報の探し方~」を最初に開催しました。今回の講座で連携事業は7回目。研修内容については、次回の情報活用講座についての打ち合わせの際に、前回の内容などを勘案し、大学側からたたき台を提案して決めています。

図書館側に謝礼などの費用負担はありません。大学側は連携することにより以下のメリットがあると考えているからです。

  • 普段から大学の教育研究活動に理解・協力いただきお世話になっている地域への貢献活動の一環(SNSなどから得られる、より便利で楽しい生活をお手伝い)
  • 学生のアウトプットとしての貴重な機会、プレゼンテーション能力の向上
  • 世代が異なる方々との交流を通じたコミュニケーション能力の向上
  • パソコン相談員間の交流、コミュニケーションの機会
  • 自分が得意とすることを人に伝えて感謝される体験から得られる充実感や達成感、自己効力感の上昇

地元の図書館との連携は、大学にとっても願ったり叶ったりでした。

3. 「これから始めるインスタグラム」講座

2025年12月に開催された講座は、メディアセンターで「パソコン相談員」として普段から活躍する学生スタッフが、マンツーマンで教えてくれる贅沢な講座でした。しっかりしたマニュアルにペンや付箋のお土産付き。まずは、アプリのインストールからということでしたが、どうやら私は既にインストールしていたらしく、ならば、プロフィールの名前を変えてみようと試みました。でも、元に戻って確認するも変更できていないのです。この辺りから戸惑いが始まりました。少しして更新されていたので、キャッシュに残っていたのかもしれません。

学生スタッフの指示に従って、用意してくれた新年の飾り物を写真に撮って、テキストをつけてシェアしました。ところが、InstagramとFacebookは同じ会社のアプリということで、デフォルトだったのか私が指定したのか、Facebook上にもInstagramで作成した写真が表示されてしまいました。

それがこちら。まだ年明けしていない暮れに、いきなりのメッセージ!

そりゃいきなり「明けまして」と言われたら、Facebookで見つけた皆さんはびっくりです。

慌てて、Facebookの設定でInstagramや他のアプリとシェアしないように設定したら、今度はFacebookの投稿が全部消えてしまいました。私のFacebookはブログからシェアしているので、アプリとのシェアを止めれば見えなくなるのは当然です。マンツーマンの学生スタッフがいつの間にか私の周りに3人も駆けつけてくれ、個別の設定はともかくとして、とりあえず元に戻してもらい応急処置はできました。ついでに、聞きたかったLINEの質問にも答えていただきました。

教えてもらいながら、今の学生たちの利用状況をヒアリングすると、Facebookは使わずInstagramとLINEとXが主流とのこと。素性を明かさなくてよいし短い言葉で済む手軽さが良いのだそうです。特にInstagramの24時間で消える機能(ストーリーズ)はよく使うそうです。私にはその面白さが今一つ理解できないけれど、「とりあえずつぶやいてみる」のがよいのだそうな。セキュリティが気になって聞いてみたら、今は位置情報に関する情報は指定しない限り投稿時には載らない設定になっているそうです。就職試験にGmailはもちろん、LINEも使用される時代。社内にGmailが届かなかった時代とは大違いです。アカウントを作ったことだし、「とりあえずつぶやいてみる」を実践しようと思います。皆さんもお試しあれ。

川﨑彩子さんの「図書館友の会と図書館職員のより良い関係性の考察-2001年以降の日本の図書館友の会活動の整理とインタビュー調査を通じて-」

日本図書館情報学会から2025年12月13日に発行された『公共図書館の未来』(2030年代の図書館と情報サービス 第1巻)に、飯能市立図書館の川﨑さんが「図書館友の会と図書館職員のより良い関係性の考察-2001年以降の日本の図書館友の会活動の整理とインタビュー調査を通じて-」を寄稿しています。ことの発端は、川﨑さんが5年ぶりに図書館へ異動になり、改めて図書館友の会の担当になったのが契機に。友の会の存在は当たり前と思っていたけれど、果たしてそうなのか、他の自治体はどんな状態なのか疑問に思いました。そんなとき、日本図書館情報学会の「初期キャリア研究者募集」の文字が目に留まり、認定司書の更新が数年後に迫っていることもあり、一念発起して友の会の調査を始め、研究成果を発表しました。

日本図書館情報学会の公式サイトでは、『公共図書館の未来-市民参画・連携・再編・メタバースの観点から』という刊行書籍に関する情報を掲載しています。当該書籍をクリックすると、全文がPDF形式で閲覧可能です。とても読み応えのある記事ですので、書かれている内容を少しだけ紹介します。

日本図書館情報学会公式サイト https://www.jslis.jp/

刊行書籍のページ https://jslis.jp/publications/book/

まず、どちらもボランティアという自発的な意志から始まる「図書館ボランティア」と「図書館友の会」の違いについて。図書館の個別のサービスについて、自身の能力や時間を提供し、図書館が研修などの責任を負うのが「図書館ボランティア」。一方、自主的な運営で図書館全体をさまざまな活動で応援するのが「友の会」で、図書館友の会全国連絡会(略称:図友連)という全国的なネットワークもあります。とはいえ、図友連に加入していない友の会もあれば、加入していても学習会だったり収益を生むNPOだったり、一概に友の会といっても在り方や活動は多様で、調査の大変さが伺えました。

図書館と住民との連携の在り方についての類型にもいろいろ見解があるようです。調査では、以下の3つの図書館支援タイプに類型化しています。

  • 図書館の業務に直接関わり、図書館活動を支援する活動
  • 図書館の業務に直接関わらず、利用者の代表として図書館に住民側の希望を伝えたり、図書館と住民の仲介者として図書館のさまざまな活動を住民に紹介する活動
  • 両者の混合のタイプ

今回の調査対象は、友の会135団体。友の会の活動は、おはなし会、環境美化、対面朗読、イベントの主催など実に28種類もの活動があることに驚きました。飯能市立図書館の友の会が行っている施設案内は珍しいと思っていましたが、他にも実施している図書館がありました。友の会と図書館職員との関係についてのインタビューも掲載されていますので、気になった方は是非読んでいただけたらと思います。

図書館友の会全国連絡会 https://totomoren.net

飯能市立図書館友の会

飯能市立図書館友の会(以下、友の会)は、図書館新館が開館する半年前に図書館から公募があって集まった市民を基に設立したボランティア組織です。現在約60名の会員のうち、代表の子安裕子さんを含む12名が当初からの会員です。川﨑さんの調査による28種類の活動のうち、実に13種類の活動を行っています。

1. 友の会の活動

活動はサブグループに分かれて行われ、廃棄本処理や書架整理など多岐にわたっています。代表の子安さんが特に気にかけているのは、「友の会は図書館の黒子」。それぞれが、やりたいことをやりたい時間に自分の負担にならない範囲で楽しむ気持ちです。特徴的な活動を幾つか紹介します。

館内装飾

手作りの大きなバースデーケーキは、クリスマスの時はクリスマスケーキにと、イベントごとに関連する装飾をして盛り上げます。私が伺った日は、イタリアに関するイベントが近く開催されるため、イタリア国旗をイメージするケーキに変身していました。

施設案内

図書館から依頼されたのではなく、友の会が自主的に始めました。子安さんが最初に作った館内案内ガイドラインが基本になっていますが、案内は各々に任されています。案内役にサポーターが付き、希望があれば、概ね45分ほどで図書館内を案内します。以前ある方が、図書館の外にある桜の木の案内から始めました。それは、かつてそこに工場があった頃の桜だったのです。地域をずっと見守ってきた桜。その後は、桜は重要なスポットのひとつとして案内していて、案内の順番は各自の工夫で違うそうです。

紙芝居の作成

飯能には昔から伝わる昔話が残っています。それを紙芝居にして後世に伝えようとしています。既に6作ありますが、今回新しく寄贈予定の作品がこちらの『河童の熊さん』です。紙芝居の作者は、1年前から参加している若い方でした。

本の寄贈

友の会では、飯能の自然を生かした栞を作成し、販売しています。その売り上げで、新館開館当初から取り入れられていた雑誌スポンサー制度に友の会が手を挙げ、本の寄贈も行っています。

図書館職員と友の会で作成する図書館だより

友の会の活動を知ってもらうために、自前でホームページや活動報告を作るのは、かなりの負担になります。飯能市立図書館では、図書館だよりに、友の会の活動も一緒に記載しています。それができるのは、友の会の定例会に図書館職員も関わっているからです。

2. 友の会定例会議(月1回)

毎月の定例会議では、図書館長・担当職員も出席して、報告と今後の予定の意見交換を行っています。プログラムに「よもやま話」という、友の会会員や図書館職員が自分の身の周りのエピソードを発表する時間がありました。私が伺った日は、退職して今は主夫をしている男性が「男の料理」と題して発表していました。女性と男性の料理に関する視点の違いや、「頑張って作ったのに褒めてくれない」と愚痴も出てきます。そのあとに「思えば自分が仕事をしていた時は、女房の料理に美味しいなんて言わなかった」との告白に、多くの女性陣からは笑いが出ていました。友の会そのものがコミュニケーションツールとして一役買っていました。

おわりに

駿河台大学も友の会も、飯能市立図書館との関係はフラットです。図書館の手が足りない個所を、各々ができる範囲で補う良好な関係が築けているのを感じました。

少子化で財政難の昨今、その地域の公立図書館に求められていることは自治体ごとに違いがあります。厳しい状況ではあるけれど、知恵を出し合い折り合いをつけていくことが望まれています。