地方診療圏における「看・看連携」への取り組みについて
看護連携(第4回)
2014年10月

執筆者:一般財団法人 福岡県社会保険医療協会
    社会保険大牟田天領病院
    看護部長 中島 洋子(なかしま ようこ)氏

皆様、こんにちは。
社会保険大牟田天領病院看護部長の中島洋子です。

今回は、「オープンセミナー」と「看護施設マップ」の活動内容について、お話をさせて頂きます。

看・看連携オープンセミナーの開催と今後の課題について

2012年7月より、世話人会の7施設(柳川、みやま、大牟田、荒尾各市の中核的病院)において、現在、自施設で行っている看護師中心の研修会をできる限りオープン開催にしてもらい、連携を強化していくことを目的とした「看・看連携オープンセミナー」を企画しました。

広報としては、研修会一覧を各施設に配布、併せて「オープンセミナー用の申込用紙」を作成し、共通の用紙で申し込みができるようにしました。さらにセミナー公開希望施設や参加申し込みに関しては、当院のホームページからも申し込み用紙とオープンセミナーの開催予定表をダウンロードできるようにしました。

2012年度(2012年7月~2013年3月)は42回のオープンセミナーを開催し、他施設から265人の参加がありました。主な内容は、皮膚・排泄ケア、がん化学療法、緩和ケア、呼吸ケア等について認定看護師による研修会や医療安全、接遇、倫理、メンタルヘルス等、どの施設でも必要な研修が中心でした。

受講者からは、「自施設の近くで色んな研修ができる」「身近な内容なので受講しやすい」「自前では研修ができない内容なのでこのセミナーを活用したい」等の声が聴けました。施設間の垣根を越えた情報共有とケアの向上が同時に図ることができており、少しずつではありますが、進歩と進化が見えてきました。

研修会一覧については、現在、ほとんどが各施設に配布してからの申し込みとなっております。実際は、ホームページからの申し込みも可能なのですが、まだまだ、有効活用されていない現状もあります。再度、ICTを活用した情報共有等も可能なように改善を行い、検討を重ねていく予定です。

看護施設マップの作成と効果について

看護施設マップでは、「各施設がどのような機能を有しているかの詳細が分からない」に対応するため、まずは、施設の特徴や看護部理念、看護部の強み等を盛り込みました。さらに、各施設を知り、患者の紹介や看護間の連携を円滑に進め、困ったことは遠慮なく相談できるシステムづくりも考慮しました。

留意点としては、看護師確保のためだけの情報提供にならないように配慮しています。その結果、「基本的な情報(診療科の種別、病床数、看護単位など)が一目で分かり、大いに役立つ」、「患者の個性に合った連携施設の選択が容易にできる」「地域の認定看護師等の人財を有効活用できる」等の声がありました。

その具体的事例の一つとして、マップ情報から、この地域で16人の認定看護師が活躍していることが分かり、地域の認定看護師間の交流も図られるようになりました。その後、認定看護師の活動を地域の施設に知ってもらい、活動範囲を広げることを目的に認定看護師交流会を開催することができました。

さらに、認定分野ごとに活動状況をまとめ、代表者会議での報告も行いました。その結果、認定看護師間の連携や他施設への講師依頼等にも活用される等、私達が予想していなかった効果が表れてきました。

「オープンセミナー」と「看護施設マップ」の活動を通して、地域の看護ネットワークが活発となり、地域の看護ケアの向上を推進する支援ができてきています。

次回は、最終回として、地方診療圏における「看・看連携」への取り組みについての総括をしたいと思います。

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