病院経営分析と原価計算
第3回 「医療分析」
2013年11月

執筆者:株式会社アイ・ピー・エム
    代表取締役 田中 幸三(たなか こうぞう)氏

本コラムで病院経営改革について考えていきます。第3回のテーマは、病院経営分析における「医療分析」。効率と収率の分析は、経営的観点からの問題点をクローズアップし、経営体制の確立に役立ちます。

医療分析~効率と収率を分析せよ!~

今月は、病院経営分析における「医療分析」についてお話をしたい。

医療分析においては、外来、入院のそれぞれに効率と収率を分析することで、医療に関する利益収率と業務効率を検証する。このことにより、経営的観点からの問題点をクローズアップすることが出来る。ちなみに「効率」は、医業収益確保のための人の効果に着目しており、「収率」については、利益確保のための理論上得ることが可能な量に対する実際に得られた量の比率に着目している。

効率の主な内容としては、外来・入院の各分野における、患者1人あたりの1日収益、医師1人あたりの1日診療収入、各職種職員1人あたりの1日患者数などがあるが、厚生労働省発表の患者1人1日当り入院収益(室料差額除)では、医療法人(平均病床数:164.1床)が42,519円、自治体(平均病床数:303.6床)が43,060円となっている。

当然のことながら、病床規模や機能によって金額に差はあるのだが、一つの目安としては、有効な数字ではないだろうか。また、DPC適用の有無について、比較した数字もあった。同じく、患者1人1日当り入院収益(室料差額除)で、医療法人におけるDPC対象・準備病院(平均病床数:245.2床)が48,514円であったのに対し、DPC適用無(平均病床数:88.0床)35,486円、自治体では、DPC対象・準備病院(平均病床数:420.9床)が49,558円であったのに対し、DPC適用無(平均病床数:144.3床)33,100円となっていた。

厚生労働省の数字だけでなく、公私病院連盟からも様々な数字が発表されているため、それらを加味して自院にとってのベンチマーク的数字を設定することも一考であろう。また、それ以外の効率として、入外の労働分配率にも着目したい。
付加価値(サービス提供によって生み出される数値:収益合計-外部購入経費)を活用し、入外それぞれの人件費を付加価値で除することで、求められる数字であるが、この数字から、職員の効率と内部蓄積のバランスを見ることができる。経営資源の「ヒト・モノ・カネ」において、特に医業はヒトに依存している部分が多いため、人材投資と適正な利益の確保のバランスに注視していなければならないと考える。

また、収率としては、平均外来患者数、新患・再来比、平均在院日数、などがある。その他、病床利用率、外来/入院比、紹介逆紹介率などもある。

ちなみに外来/入院比においては、医療法人が2.37に対し、自治体は1.96、紹介率においては、医療法人が32.9%(DPC:40.5、DPC外:24.3)に対し、自治体は43.1%(DPC49.5、DPC外:31.7)、逆紹介では、医療法人が21.7%(DPC:26.3、DPC外:16.7)に対し、自治体は31.5%(DPC36.1、DPC外:24.0)となっている。

それ以外の収率として、入外の目標達成率にも着目してほしい。しっかりとした経営体制を確立するためには、目標管理は必要不可欠であり、強固な経営基盤の確立のために職員へ「見せる」ことも必要であると考える。

来月は、「原価計算」についてお話をしてまいりたい。

少しでも皆様のお役に立てれば幸いである。

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