医療ナンバー(医療分野の番号制度)について(1)
2016年1月

執筆者:株式会社アイ・ピー・エム
    代表取締役 田中 幸三(たなか こうぞう)氏

医療情報への番号制度(医療ID)導入について

昨年の5月、政府はカルテや診療報酬明細等の医療情報に番号制度を導入する方針を正式に決定した。具体化に向けた検討は継続中であるが、マイナンバーのシステムと医療関連のシステムを連動させ、2018年度から段階導入を行い、2020年度より本格的な運用を開始する予定である。

主な目的としては、二重の投薬や検査の回避と診療結果や処方薬の情報共有であるが、そもそも医療情報において、マイナンバーを医療現場で使用することに反対してきた日本医師会の意向(医師に個人番号の取り扱いをさせたくない、漏えいした場合の影響範囲が個人の人生そのものに影響を及ぼす可能性が高い等)に配慮した形で、医療IDの導入が決定した。

先日開催された医療情報学連合大会においては、マイナンバーを医療分野で用いない、マイナンバーに替えて医療等IDを創設する、現行の保険証を活用して医療等IDを保険証に記載する、マイナンバーカードをオプションとしてオンライン保険資格確認にのみ医療するという4項目が明示された。

2017年7月以降には、マイナンバーの個人番号カードが保険証としての利用も可能となるが、これには資格照会という機能が利用される。単純にいうと現在のクレジットカードで通信による決済を行っているが、それと同じようなものであるという認識でよい(個人識別番号:PINや暗証番号等は利用しない方向である)。システムの整備を行い、2018年度から段階的に導入し、2020年度からの本格稼働となる予定である。当然のことながら、ICチップ付きの個人番号カードを利用することになるため、個人番号カードを取得していなければ、この機能は使えない。

マイナンバーに関する世間の認識や個人番号カードに対する関心度合い及び高齢者への対応等を勘案するに、後4年で浸透させるためにはカード申請の推進の強化が重要となる(改めて申し上げるが、医療機関の窓口でマイナンバーを尋ねたり、番号の書き写しは法律で禁止されているという認識の徹底が重要である。職員がマイナンバーを見て確認したり、カルテやメモ等に記載すれば、違法となる)。

当然のことながら、個人番号カードの所持が定着するまでは、現行の健康保険証が利用されることになる。この保険証についても資格確認用の番号を記載することで、オンラインでの資格確認ができる仕組みを検討しているということである(資格確認用の番号を入力することで、オンラインでの資格確認が可能となる仕組みを想定)。

正確な資格確認の徹底や成りすましの排除を行うためには、オンラインでの資格確認は有効に働く方法となるが、やはり個人番号カードの定着が課題となるのは間違いない(保険証の資格確認用の番号では、写真での本人確認ができないため、完全に成りすましを防ぐことはできない)。併せて、保険医療機関や薬局では、ICチップの読み取り装置・通信回線の準備、レセプト請求システムの改修等が必要となる。次々回の診療報酬改定時(2018年4月)には、これらの整備を求められることが想定されるため、その費用も必要となる(初期費用については、対策を別途検討するらしいが詳細は現時点で不明)。

下記にそのオンライン資格確認の仕組みの一部が掲載されているので、ご参照いただきたい。

「医療分野における番号制度の活用等に関する研修会報告書」(厚生労働省)より抜粋

「医療分野における番号制度の活用等に関する研修会報告書」(厚生労働省)より抜粋
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「見えない」、「預からない」の原則の下、個人番号を利用せず、医療等IDにより資格情報や診療情報及び投薬情報を共有することで、速やかな確認と情報の有効活用で、医療・介護情報連携を実現化するICT化の推進と追求が行われていくことになる。

次回も医療番号制度に関する内容でお話をしたい。少しでも皆様のお役にたてれば幸いである。

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