2025年へ向けて、今後の病院の在り方を考える【第2回】
~診療報酬改定の概要と影響に関する考察~

2016年5月

執筆者:株式会社アイ・ピー・エム
    代表取締役 田中 幸三(たなか こうぞう)氏

地域包括ケアシステムの推進と医療機能の分化・強化、連携に関する視点

今回も、2016年度の診療報酬改定の概要から、「地域包括ケアシステムの推進と医療機能の分化・強化、連携に関する視点」について、お話をしたい。

主な項目としては、以下の通りである。

  • 医療機能に応じた入院医療の評価
  • チーム医療の推進、勤務環境の改善、業務効率化の取組等を通じた医療従事者の負担軽減・人材確保
  • 地域包括ケアシステム推進のための取組の強化
  • 質の高い在宅医療・訪問看護の確保
  • 医療保険制度の改革法も踏まえた外来医療の機能分化

医療機能に応じた入院医療の評価

最初に、医療機能に応じた入院医療の評価であるが、まずは何と言っても「重症度、医療・看護必要度」の見直しがメインであろう。ある病院の事務部長もこれをキープできるか、上手に取り込めるかが死活問題であると語っていた。C項目が増え、より重症度の高い患者を一般病棟は引き受ける役割であるということが明示された。診療科によっても大きく体制の改善が求められ、内科系中心の中小医療機関では、これをキープすることは難しく、病棟転換が必須であるという状況になる。

また、評価方法についても見直しが行われており、一定の期間における経過措置はあるものの、早期研修が必要であり、新評価に必要な体制(看護職以外)の構築も必要となる。いわば、医療機関全体で、しっかりとした評価を行い、重症度、医療・看護必要度を把握した上で、速やかかつ適切な診療を行うべし、ということになる。

入院基本料における該当患者割合の基準についても大きな要件変更が実施され、7:1⇒25%以上という数字が設定された。これも各種経過措置が設けられているが、その数字の妙もあり、詳細なるシミュレーションと実際の検証がここ数か月で求められる。実際に、昨年末からシミュレーションを実施したが、実際に現状評価及び次期想定を再度検証すると思惑が外れてしまったという施設もある。常に、自院のあるべき姿を見据えたデータ分析を行い、有効活用することが重要である。

医療従事者の負担軽減・人材確保について

次に、医療従事者の負担軽減・人材確保についてであるが、医師事務作業補助体制加算がそれぞれの配置に対し、若干の点数増加がなされた。この件については、早期に点数化してもらいたい体制がある。それは、全ての医療専門職(医師・看護師・薬剤師・放射線技師等)に事務補助を付けるという考え方である。

特に、薬剤師の役割については、幅が広くなっており、現状の医療機関における人員体制では、薬剤師が益々疲弊してしまい、今以上に調剤薬局に移ってしまって、医療機関における薬剤師の確保が難しくなってしまうことが想定される。

放射線技師についても同様である。特に先進医療の提供を行う機関では、撮影等の専門作業以外にも事務作業が多く、医療機器の専門化と操作の高度化が進む中で、放射線技師の役割が大きく、重要となってくる。それらを補うためにも事務補助の拡大(適正な点数の加算)が必要である。

地域包括ケアシステム推進のための取組強化

また、地域包括ケアシステム推進のための取組強化については、退院支援に関する評価の充実がメインであろう。早期取組と退院後のフォローを推進する項目であり、算定できる点数も大きい。より強化したい項目の一つであるということが窺がえる。ここでもしっかりとした職員の確保と育成が必要となってくる。

地域連携室の役割は大きく、係わる職員の質やレベルによって医療機関としての在り方が問われる項目とも言える。それ以外にもかかりつけ制度(小児・歯科・薬局)の充実があり、多方面との連携(薬剤師・管理栄養士)による患者サポートという視点での体制構築が重要となる。

質の高い在宅医療・訪問看護の確保及び医療保険制度の改革法も踏まえた外来医療の機能分化については、割愛するが、この項目についてまとめると「地域包括ケアシステムを確立させることを優先する。その上で、医療機能についての充実を図る」ということではないだろうか。そのために、医療機関は、体制の構築と人材の確保及び教育研修を充実させることで、より質の高い医療を提供するべきである。

次回は、「患者にとって安心・安全で納得できる効果的・効率的で質が高い医療を実現する視点」及び「重要的な対応が求められる医療分野を充実する視点」について述べていきたい。少しでも皆様のお役にたてば幸いである。

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