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特集 情シス事情を知る

サプライチェーン全体で対応が急がれる「カーボンニュートラル」
―今、企業がすべき取り組みとは―

【前編】経営者は知っておくべき!カーボンニュートラル対応のメリットとは

2023年10月

温室効果ガスによる気候変動への影響を背景に、日本政府が主体となって「カーボンニュートラル」に取り組んでいます。具体的には、2030年の46%削減目標に向けて、製造業や物流サービス業にも対応が求められています。今後はサプライチェーン全体での対応が必要となり、大企業だけでなく中堅・中小企業でも対応が急がれる可能性もあります。前編では、カーボンニュートラルの背景と具体的な削減目標、そして取り組むことで得られるメリットについて解説します。

カーボンニュートラルの背景と目標

地球温暖化は今世紀最大の課題の一つとされ、世界中の国々がその原因となる温室効果ガスの排出削減を目指しています。2015年にはフランスのパリで開催されたCOP21(国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議)で、196ヵ国が「パリ協定」に署名しました。この協定は、気候変動の影響を低減するため、全世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して2℃以内に抑えることを目指すものです。

日本もこの協定に参加し、2030年までに2013年比で温室効果ガスを46%削減する目標を掲げています。そして、2050年までには「カーボンニュートラル」、つまり温室効果ガスの排出量と吸収量をプラスマイナスゼロにすることを目標として掲げています。

カーボンニュートラルは2021年4月時点で、125ヵ国・1地域が2050年までの達成を表明しています。これらの国・地域の合計で、世界全体のCO2排出量の約4割を占めています。このほかに、全体の28.2%を占める中国は独自に2060年までの達成を宣言するなど、世界中の国々がカーボンニュートラルを推進しています。

【出典】経済産業省 エネルギー省「第1部 エネルギーをめぐる状況と主な対策 第2章 2050年カーボンニュートラル実現に向けた課題と取組 第2節 諸外国における脱炭素化の動向」を基に作成
[NEW WINDOW]https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2021/html/1-2-2.html

義務化は大企業だけではない?
カーボンニュートラルに取り組むメリット

カーボンニュートラルを達成するにあたり、企業の取り組みは欠かせません。日本国内で排出される温室効果ガスの約8割は企業・公共部門の活動によるためです。

法律では、これまで大企業を対象に温室効果ガスの削減を義務づけられていました。例えば、「温室効果ガス排出量の報告義務※1」や「年1%の排出量削減努力※2」が定められています。一方、中堅・中小企業はその対象外とされてきましたが、大企業がサプライチェーン全体で捉えて温室効果ガスを減らすため、今後の動きとして、大企業だけでなく中堅・中小企業にもCO2排出量の数値データの提示などの対応が求められ、これに対応できない場合には競合企業に乗り換えられてしまうなどのリスクが生じるかもしれません。

実際に、海外顧客からカーボンニュートラル対応要請を受ける企業も増えており、今後もこの動きが拡大することが予測されます。

  • ※1:地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく
  • ※2:エネルギーの使用の合理化等に関する法律に基づく

ただ、法律や義務だけが企業を動かす要因ではありません。企業がカーボンニュートラルを追求する背景には、いくつかのメリットが存在します。

メリット(1)業務の見える化・コスト削減につながる

「CO2排出量の見える化」に取り組み、全社でCO2排出状況を共有できれば、その企業もしくはサプライチェーン全体でCO2削減計画を練ることができるようになります。この時に一緒に考えたいポイントとしては、CO2排出量の見える化をきっかけに既存業務における無理・無駄を見つけ、新たな仕組みづくりや利益を生む体質に業務を変革させることです。

CO2排出量の見える化が進むことで、需要予測による効率的な生産コントロールや業務フローの最適化等といった課題を視野に入れた検討もしやすくなります。
例えば、生産業務では、需要予測により無駄な生産を削減できるようになり、結果としてコスト低減につながります。
また物流の最適化は輸送に使う交通機関の抑制によりCO2の低減につながりますが、この例も仕入業務の改善につながります。集中仕入とセンター在庫化による仕入れのスケールメリットと運送費削減によって、コスト低減が可能になります。

このように、CO2排出量の見える化によって、既存業務においても具体的な改善策が立てられるようになり、結果的に会社の利益につながっていくのです。

メリット(2)投資対象として優良であると判断されやすくなる

カーボンニュートラルへの取り組みは、金融機関や取引先、そして最終的な消費者から高く評価されます。近年、環境や社会に配慮したビジネスを行う企業に優先して投資する「ESG※3投資」が注目を集めるようになりました。長期的に見ればESGに対応する企業のほうが投資対象として優良であると判断する個人投資家や金融機関も増えています。環境への配慮は企業価値を高め、資金調達しやすくなり、株価の上昇も狙えるでしょう。

  • ※3:ESG:環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字

メリット(3)「グリーンコンシューマー」からの支持を得やすくなる

新たな消費スタイルである「グリーンコンシューマー」の存在も挙げられます。グリーンコンシューマーとは、環境に配慮する企業の商品・サービスを積極的に選び、経済活動の面から環境問題の解決を図ろうとする消費者のことです。カーボンニュートラルへの取り組みにより、彼らから支持を集めやすくなるでしょう。

メリット(4)人材採用においてアピール要素になる

企業としての採用面にもメリットがあります。特に若い人材のなかには、企業の社会的責任や環境への取り組みを重視する人もいます。企業の価値観やビジョンをアピールすることで、優秀な人材を獲得することも可能です。



このようにカーボンニュートラルへの取り組みは、企業価値の向上や持続可能な成長をもたらすチャンスと言えます。


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