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弱虫か勇者か?「ファーストペンギン」

ペンギンは集団行動をする動物として知られています。氷上にいるときは体を寄せあったり、夫婦で協力して卵を温めたりして過ごしているといわれます。

実はペンギンは小さい体のわりに食欲がとても旺盛で、ニシンやイワシなどの魚、エビ、カニ、イカなどを1日に体重の10%以上も食べるとか。一説には、ペンギンたちが1年間で食べる魚介の量は2,000万トンを超えるともいわれており、これは日本国内での年間漁獲量(2016年の統計では329トン)のおよそ6倍。驚きの量ですね。気温の低い地域で生き延びるには、たくさんの食糧が必要なのです。

海に飛び込み狩りに行く必要はあっても、氷の下には天敵のアザラシやシャチなどがいるかもしれないので、まさに命がけ。群れの中で一番に海に飛び込むのは誰か?とペンギンは戦々恐々となっており、そのうち1匹目が飛び込んだのを見届けて、海が安全な状態かどうかを判断し、他のペンギンたちも続いて飛び込みます。その先陣を切った1匹目のペンギンを「ファーストペンギン」と呼ぶのです。

ファーストペンギンは最初に海に飛び込むため、天敵に襲われるリスクが高い一方、食糧を獲得できる可能性が一番高くなります。ファーストペンギンのような存在をアメリカでは、人間の社会になぞらえて「勇者」として讃えます。例えば新規事業で起業をするベンチャー企業などに対して、リスクを恐れず誰もやり遂げていない未知の業界に踏み出す様子を「ファーストペンギンのようだ」という具合です。

実際のファーストペンギンは「俺が先陣を切ってやろう」と考えているわけではないといわれます。ペンギン同士で「お前がいけよ」「いや、お前こそいけよ」とお互いに押し付け合い、体を押しあっているうちに海に落ちてしまう…これがファーストペンギンの実態のようで、少し押しの弱いおっちょこちょいなペンギンがファーストペンギンなのかもしれません。が、群れが狩りをするためには必要な存在なのです。

ビジネスにおいても、新しいことを始めるときには先頭に立つ人は必要です。社会の進歩は、たくさんのファーストペンギンたちがリスクを恐れず新事業に挑戦した結果でもあることを考えると、その勇気はやはり讃えられることでしょう。いざというとき、ファーストペンギンのような行動ができるよう、心がけたいものです。