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「眠り」が難問を解決する?

アイデアがなかなか出ないときや、難問にぶつかって行き詰まったとき、いっそのこと寝て現実逃避したい…そう思ったことはないでしょうか? 実はこれ、あながち間違っていないかもしれないのです。

ロシアの化学者ドミトリ・メンデレーエフは、1869年に化学の授業でおなじみの元素周期表を発見したことで知られています。メンデレーエフは連日の研究で疲れて眠りに落ちたとき、夢を見ました。ぼんやりと何かの見たことがない表があらわれ、次第にはっきりとしてきたときに元素記号が並んでいるのが見えたそうで、ふと起きてペンで書き留めて、また眠りについたそうです。

また、ドイツの科学者アウグスト・ケクレはウトウトしていた際に、原子同士が連なってヘビのようになり、自分の尻尾を噛んでグルグルと回り出した様子を見て、ベンゼンの環構造を思いついたといいます。

ポール・マッカートニーが名曲「Yesterday」を書いたエピソードも有名です。ある朝ガールフレンドの家の屋根裏で目覚めたら、なぜか完成されたメロディが頭に浮かんでいて、寝起きの頭で必死に思い出しながらピアノを弾いたそうです。不思議とメロディは論理的に成立しており、なのに自分で作曲した覚えがないので、「これは何だろう? 誰の曲かわかる?」と周囲に聞いて回っていました。誰の曲でもなさそうだということで、正式に歌詞をつけてレコーディングしたものが、誰もが知る歴史的名曲になったというわけです。

こんな素晴らしいひらめきをもたらした「眠り」にはどんな力があるのでしょう。睡眠中は「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」が交互に訪れます。ノンレム睡眠は、脳も休息をして疲労回復を促す深い眠りで、短時間でもスキッと気分がリセットできる昼寝などはたいていノンレム睡眠です。

一方のレム睡眠は比較的浅い眠りで、私たちが夢を見るのはほぼレム睡眠中のことです。レム睡眠中、脳は活動していて記憶の整理や定着が行われているだけでなく、難問やひらめきを必要とする問題に行き詰まった記憶が呼び起こされると、脳が解決しようとする傾向があるといわれているのです。1990年代にアメリカではいくつもの実証実験が行われており、夢が問題解決やインスピレーションにつながる可能性があることが判明しています。脳には不思議な力があるものですね.

時間に追われる毎日では、眠る時間を削ってしまうこともあるでしょう。けれども、たくさんの情報を頭で整理する脳にとって、睡眠をとることは重要であるといえます。自分では意識しなかった解決方法が眠りによってひらめいて、あっさりと解決できてしまうかもしれません。難しい問題に向き合ったときこそ、脳のパフォーマンス効率を上げるために、眠る時間を大切にしてみてはいかがでしょうか。