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総務人事向け
生産性を高めるテレワークの推進法(第3回)

社員の成長を促すテレワークの労務管理

2016年9月

社員の成長を促すテレワークの労務管理

多様な働き方に対応するためテレワーク制度を導入したものの、あまり活用されないケースは少なくありません。その理由としては、特に在宅勤務などでは、勤務時間帯と日常生活時間帯が混在せざるを得ない働き方であるため、従業員の労働時間や健康の管理が難しい、評価がしにくいなどがあげられます。

しかし、この連載の第1回で紹介したように、テレワークの効果的活用が企業の成長に寄与することは間違いありません。今回は、テレワーク制度がうまく機能するためのカギとなる労務管理のポイントについて紹介します。

必要に応じて労働契約書や就業規則を修正

テレワークも、働き方の一形態に違いはありません。従って、一般的な内勤従業員と同様、当然のことながら、労働基準法などの諸法令の適用を受けます。

このため在宅勤務などのテレワーク制度を導入する場合には、労働契約の締結に際して就業の場所として、労働者の自宅などでのテレワーク勤務の可能性を明示しておくことが大切です(労働基準法施行規則第5条第2項)。また、就業規則にもテレワークの可能性があることを加えておきましょう。

なかでも重要なのが、労働時間の算定です。特に在宅勤務については、自宅で勤務するため、勤務時間帯と日常生活時間帯が混在せざるを得ない働き方になります。そのため、前回も紹介したように、労働時間を算定し難い場合には、事業場外労働のみなし労働時間制を適用することができます(労働基準法第38条の2)。

この場合にも、就業規則などに「所定労働時間勤務とみなされる」ことを規定しておく必要があります。また業務を遂行するために通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合、労使の書面協定があれば、協定で定める時間が通常必要とされる時間とされます(労働基準法第38条の2)。

ただし、前回も説明したように、みなし労働時間制が適用できるのはかなり限定的と考えてください。ITの急速な進展により、WEBなどを利用した勤怠管理が容易になっているからです。みなし労働時間制が適用できるのは、次の3要件を満たした場合に限られます。内勤従業員と同様の管理が可能な場合、みなし労働時間制を適用するとトラブルの種を招くことになりかねないので、注意が必要です。

【みなし労働時間制適用の条件】

  • その業務が、起居寝食など私生活を営む自宅で行われること
  • その業務に用いる情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと
  • その業務が、随時使用者の具体的な指示に基づいて行われていないこと

労働安全衛生法上、必要な管理も実施

在宅勤務などのテレワークの従業員についても、通常の従業員と同様、健康保持を確保する必要があることは言うまでもありません。このため、法定健康診断は必ず実行するようにしてください。

さらに、テレワークの場合、パソコンやスマートフォン、タブレットなどの、VDT(ビジュアル・ディスプレイ・ターミナル)機器を操作して仕事をすることが多くなりがちです。このため、テレワークを行う従業員自身の健康を確保する観点から、内容を周知し必要な助言を行うように努めるようにしましょう。

また、法定の安全衛生教育についても、通常の従業員と同様に実施しなければなりません。安全衛生教育が必要な職種に就かせる場合には、テレワークの従業員にも必要な安全衛生教育を行わなければなりません。

報告・連絡・相談を密に行う

在宅勤務などテレワークで働いていても、内勤の場合と同じ従業員であることには変わりません。請負契約による個人事業主ではありませんから、通常の社員と同様に成果を求めると同時に、従業員の成長につながる労務管理が求められます。

ただし当然のことながらテレワークは、内勤に比べ労働内容の管理や業績評価が難しくなります。しかし、難しいからといって対策を打たないでいると、テレワークの従業員が「自分の仕事は正しく評価されているのだろうか」という懸念を抱くようになり、ひいてはせっかく導入したテレワーク制度が活用されないことにもなりかねません。

こうした事態を招かないためにも、業務内容や業務遂行方法などをこれまで以上に詳細な文書にして、テレワークの従業員に交付しておきましょう。

業績評価については、従業員が疑問を抱くことのないように、通常の社員よりも厳密に行わなければなりません。そのためには、業務の進捗状況などに関して、報告・連絡・相談を密に行うことが必要です。

このような対策をとることで、テレワークの従業員に対しても、一般の従業員と同様に成長を促進していくことが可能になるでしょう。一方で、管理職の負担が増すことも考えられます。そこで、テレワークの従業員を成長させる労務管理は、管理職の役割責任であるという意識を社内に浸透させることが重要になります。そして、それは同時に、管理職の成長にもつながることを強調しておくといいでしょう。

業績評価に関して、在宅勤務などのテレワークの従業員について、通常社員と異なる賃金制度などを定める場合には、その内容を就業規則に記載し、社内周知を徹底しておくことをけっして忘れないでください。

グループウェアを活用する

最後にテレワークをうまく実践していくうえで欠かせない、グループウェア導入時の注意点を紹介しましょう。

最近は、多額のコストをかけなくても場所を問わないネットワークを構築できるようになり、中小規模の企業でもネットワークを活用したテレワークの実現が容易になりました。筆者の顧問先でも、グループウェアを活用したシステムの導入により、特に在宅勤務の可能性が広がっています。キーワードは情報共有です。

企業内で勤務する従業員と同じ環境とするため、情報端末(パソコン・タブレット)に企業内情報システムを構築しましょう。企業内の連絡(社内メール)、自部署・他部署のメンバーのスケジュールの情報共有、情報公開(ファイル管理)、社内決裁システムなど、多様に設計することで、内勤の従業員と同様の環境が作れます。

ただし、秘密保持のため、セキュリティ対策は欠かせません。インターネットを活用したシステムでも、企業内に限定したネットワークとすることが重要です。そのためには、認証システムの導入は、不可欠です。

こうした情報システムを活用してテレワークを実現すれば、それがダイバーシティの推進、ひいては生産性の向上につながることでしょう。

生産性を高めるテレワークの推進法

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