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総務人事向け
「月刊総務」編集長が語る戦略総務(第3回)

現場の空気感をつかみ、利用者目線で推進する

2017年11月

現場の空気感をつかみ、利用者目線で推進する

「総務のお客さんは?」と聞かれてあなたは何と答えるでしょうか?
「もちろん社員でしょ!」、この答え、半分当たりです。総務のオーナーと総務のユーザーという考えがあります。総務のオーナーとは、総務のあなたを解雇できる人のことです。日本ではいきなり解雇はないでしょうから、あなたを異動させることができる人、つまり経営者です。
総務のユーザーとは、総務が提供するサービスを使う人、つまり社員のこと。その社員のコトを知ることが、現場の空気感をつかむことであり、利用者目線で施策を推進することになります。なぜそれが大事なのか、説明していきましょう。

リンカーン大統領から始まったMBWA

冒頭記した、総務のオーナー、総務のユーザー、どちらの言うことを聞くべきか?

それはもちろんオーナーである経営者の方です。しかし、オーナーの言うことをそのままユーザーである社員に押し付けるだけでは、その仲介者である総務への風当たりは相当強くなるでしょう。ですからユーザーの状況、空気感をつかみ、オーナーの指示を調整していくことが必要となるのです。そこで、ユーザーである社員のことを知り、その前提で、利用者目線で施策を推進する必要性が出てくるのです。

そのために必要なのが、今回提案する「MBWA」という言葉です。MBWAとは、Management By Walking Aroundのこと。現場に足を運ぶ重要性を説いた言葉です。古くは、米国のエイブラハム・リンカーン大統領が南北戦争時に、前線の現場に足を運び、最前線の状況を自らの目で把握していた、という事実に基づいてできた言葉と言われています。現場の最前線を自らの目で見て、感じることの重要性は、仕事の現場でも同じです。ときとして、上層部、あるいは経営層は机上の空論を振りかざし、「現場のことを知らないくせに」、という言葉とともに現場の反発を買います。現場に仕事を依頼することの多い総務ほど、この言葉は重要かもしれません。

働く場の環境整備が現場の考える総務の役割

『月刊総務』で行った、全国総務部門アンケート。その中で、「今後の総務部門の役割」を聞いたところ、「経営に必要な情報の収集と提供を行う」、「業務を可視化・標準化し、効率化と質の向上、全体最適を推進する役割」、「経営陣と現場とのパイプ役、翻訳役として、一体感や意欲を高めること」などの意見がありましたが、「働く場の環境整備」と答えた企業が最も多くありました。端的に言えば、働きやすいオフィス作りの事です。

働き方改革全盛の今の時代であれば、それは効率良く仕事ができるオフィスであり、創造性が向上するレイアウトとなるでしょう。ここで大事なことは、誰のための環境整備か、ということです。もちろん、現場の社員のための環境整備であることに違いありません。その場合、社員はお客さまとなるわけです。このお客さまが、本業に専念できるように、総務部としては、さまざまなサポートをしていかなければなりません。

本業に専念し、売上拡大を実現するため、あるいは、次の商売の元となる技術革新を実現するため--。社員が会社に貢献できるよう、社員の生産性向上に総務部は貢献していくわけです。

総務も行いたい社内マーケティング

そうなると、総務による自社の社内マーケティングが必要になります。営業部門は、お客さま満足度向上のために、徹底的にお客さまのことを知ろうとマーケティングを実践します。同様に、総務部も社員を徹底的に知らなければ、お客さまである社員の喜ぶサービスは提供できないはずです。

しかし、総務部のメンバーは、往々にして、椅子に座ったまま仕事をするケースが多いように感じます。確かに膨大な仕事を抱えている総務としては、いかに早く処理するか奮闘するあまり、自席を離れることは難しいかもしれません。メールや電話を駆使し、自席で仕事をし続けていきます。昔、「ぶらぶら社員」という言葉がありました。現場に出向き、ぶらぶらと歩くことで、現場の雰囲気、現場の空気をつかみ、そして施策に反映していった社員たちのことです。それは今でも必要です。メールのやり取りだけでなく、ちょっとした頼まれごとも、現場に出向いて解決していく。そのようにして、極力現場とのリアルな接点を増やし、社員の状況を知ることに努めるべきなのです。

従業員3000人規模のある総務部長は、メールや電話でのやり取りで済む内容でも、あえて現場に出向きコミュニケーションを取るそうです。その要件が終わっても、しばらく現場にとどまり観察することで、現場の課題や動き、空気感に触れるそうです。頼まれごとをいいきっかけとして、積極的に現場に出向いています。

協力されるには知られることがなにより大事

現場に出向く。そうなると、どうなるか?

総務部で働く個々の社員も現場社員に知られるようになります。総務部の仕事は、総務で決めたことを現場に依頼する、総務が導入したサービスを現場に使ってもらう、そのように依頼される仕事が多いかと思います。依頼される側としては、全く知らない人から依頼されるよりも、良く知った人からの依頼の方が、快く指示に従うものです。「何を言うか」より、「誰が言うか」が大切です。同じことを発言するにしても、現場の苦労や状況を良く知っている人から言われた方が、言われた方も納得するのではないでしょうか?

「私たちのことを良く知っている彼が判断したのであれば、しかたない」。

一方、現場で見たことも無い、誰とも分からない人から依頼されては、逆に反感を買うこともあるでしょう。

「私たちの苦労も知らないくせに、こんなこと依頼して!」

総務におけるMBWA、「ぶらぶら総務」とは、現場を知ることもさることながら、総務のあなた自身が現場に知られることの大切さをいっているのです。さらに、総務の誰それとして知られるとともに、何をしようとしている総務部のAさんなのか、というように、Aさんの想いや目指すべきことも、常に明確に発言していくべきでしょう。

例えば、
「さらに会社を良くしたいから、このような施策を実現しようとしている」
「みなさんが自社に誇りを持ち、楽しく仕事ができる環境整備を目指しているので、このような施策を依頼しているのです」
「現場でイノベーションを起こしたいので、このようなレイアウトにしているのです」
このように、何がしたいのか、ということを明確にうたうのです。

総務の地位向上は、そういう地道な活動から実現されるのではないでしょうか。何をしようとしているか分からない部署に対して、期待も応援もできません。何かを目指す、その目標に対して期待と応援がされるのです。忙しくても、メールで済むことでも、MBWAを実践し、現場に出向いてみてはいかがでしょうか?

そうすることで、協力もされ、応援もされ、結果、総務の仕事がしやすくなるはずです。

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