ページの先頭です。
サイト内の現在位置を表示しています。
  1. ホーム
  2. ビズサプリ 総務人事ポータル
  3. ピンチをチャンスに、戦略総務の実現へ
ここから本文です。

総務人事向け
「月刊総務」編集長が語る
新時代の戦略総務 ~変わるモノ、継続するモノ~(第3回)

ピンチをチャンスに、戦略総務の実現へ

2020年12月

ピンチをチャンスに、戦略総務の実現へ

今後の総務の在り方として戦略総務を目指していた企業も多かったのではないでしょうか。オペレーションや管理業務のシステム化、あるいはBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)など、いろいろと取り組んできたかと思います。今回のコロナ禍により、その動きが格段に早まってきたのではないでしょうか。改めて、戦略総務について、その本質に迫ります。

VUCA時代を乗り越えるために

コロナ禍、まさにVUCA時代の象徴です。VUCA時代、この言葉は、V:Volatility(変動性)、U:Uncertainty(不確実性)、C:Complexity(複雑性)、A:Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った造語です。端的に言えば、一寸先は闇、何が起きても不思議ではない、という時代を表現しています。

イギリスのEU離脱の決定、米国のトランプ大統領の誕生から盛んに使われ始めた言葉です。コロナ禍、まさに、誰も想定していなかった事態、まさにVUCA時代と言うわけです。今後も何が起こるか分からない時代が続く中で、企業としては変化をしていかなければなりません。

「適者生存」。ダーウィンの言葉です。「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることが出来るのは、変化できる者である」。まさにVUCA時代を生き延びる企業にも同じことが言えるのではないでしょうか。キーワードは「変化」です。

戦略総務は「変えること」

総務が主導して環境適応していくために企業を変えていく。それが戦略総務。さらに、「変える」の意味は、総務自身を変える、ということも含むのです。

そもそも総務とは、スタッフ部門の一部です。そして、スタッフの成果とは、現業の人間の効率や生産性を上げることで、スタッフは現業の人間に対する支援部隊であって、現業の人間に代わるものではありません。

さらに、この支援という意味について、静岡大学大学院教授の舘岡康雄氏は、著書『利他性の経済学―支援が必然となる時代へ』において、このように説明しています。「管理は、自分から出発して相手を変える行動様式。支援は、相手から出発して自分を変える行動様式」と。

つまり、スタッフ部門である総務部は、自らを変えることで現業への支援、貢献を果たしていく、そのようなことになるのです。ここで、戦略総務の意味、会社を変えることであり、自らも変わることが必要となってくるのです。

戦略総務になるための業務効率化

2019年に全国総務部門アンケートを実施したのですが、その中の設問で、戦略総務を意識して活動している方の中で、具体的に何をしているかを聞いた設問があります。皆さんが戦略総務に向けて実践していることが明確になりました。

グラフを見てもらえると分かりますが、まずは、足元、目の前の業務を効率化していることが分かります。戦略総務は変えることですから、それなりの仕掛けをしていくことが必要となり、そのための人的リソース、時間的な余裕が必要となります。目の前の仕事で手一杯では対応ができないのです。

新時代の戦略総務 ~変わるモノ、継続するモノ~

仕掛けのためのリソースを作ってから次にすることは、経営とのコミュニケーション、現場とのコミュニケーションとなります。仕掛けを施すにも、経営が考える方向性と合致する必要がありますし、現場の課題感との整合性は欲しい所です。

そのためには経営の考えを理解しておく必要があります。昔、「ぶらぶら総務」という言葉がありました。何をするわけではないですが、現場に出向き、よもやま話をしながら、現場の課題感を掴んでいく。MBWA(Management by wandering around)という言葉もあります。

経営や現場とのコミュニケーションを通じて、仕掛けのネタを探すのです。仕掛けないことには変化は起こせませんし、貢献もできません。まずは仕掛けのネタを社内で探す、その活動をしていくのです。

戦略総務は外に目を向ける

仕掛けのネタは内部だけとは限りません。同業や他社の総務とのコミュニケーションを通じて、ベンチマーク先を見つけて、それを自社に適用できないかを考えることも良策です。さらに、仕掛けのネタを見つけても、それを実行する武器が必要となります。それを外部に求めることも必要でしょう。

自らの専門性を高めるために講演会に出席したり、展示会に参加したり。取材を通じて思うのは、成果を上げている優秀な総務の方ほど外に出ていきます。さらに、今の時代、先に説明したように、VUCA時代ですから、「未知との遭遇」になることが想定されます。

初めて出会うことですから、過去の「ノウハウ」は通用しないケースがあります。今の時代必要とされるのが、「ノウフウ(Know Who)」です。知っている人をどれだけ知っているか、となります。その筋の専門家とのネットワーキングが重要となるのです。

その意味でも外に出て、様々な専門家、サプライヤー、ベンダーと出会い、コミュニケーションを取り、自らのネットワークに組み込むことが重要となるのです。

新時代の戦略総務 ~変わるモノ、継続するモノ~

戦略総務の具体的テーマとは

それでは、戦略総務としてどのようなテーマを施策として考えていけばいいのでしようか。確かに企業ごとにテーマは異なると思いますが、多くの企業に当てはまる普遍的なテーマを最後に示していこうと思います。

まずは、人手不足対応です。今回の働き方改革も大元は、人口減少が最大の課題となっています。そのための人材の採用と定着がテーマとなります。どのような条件、環境下でも働き続けられる、働き方の多様性の向上が必要となります。

そして、定着した人材の活躍が企業としては求められます。そこで、エンゲージメントの向上、そのベースとなるウェルビーイング(Well-being)(※1)の向上が戦略総務としては実現していきたいテーマとなります。

一方で、リモートワークが定着しつつある現在、社内コミュニケーションの活性化が最重要課題となりつつあります。社内メディア、オフィス、社内イベントによる三位一体の相互理解という土壌が開発されないと、リモートワークありきの企業では、若手を中心にメンタル不全が多発する可能性があります。

さらに、職務に応じて適切な人材を雇用する「ジョブ型雇用」が進展していくと、自らのスキルを高く買ってくれる企業に人材が流動化しやすくなりますので、企業としては求心力を高める必要があります。そのためのつながり感の強化と求心力の向上が重要なテーマとなります。社内コミュニケーション活性化とともに取り組みたいテーマです。

そして最後は、変化を起こすイノベーション創出の支援施策です。いわゆる偶発的な出会いの場の創出です。フリーアドレス、マグネットポイント(※2)など、既に行っている施策だけでなく、ニューノーマルな働き方としても必要となってきます。

そのようなテーマを戦略総務として実行し、「会社にとって、無くてはならない存在」となることを目指していくことがVUCA時代には必要となるのです。

※1 身体的、精神的、社会的に良好な状態のこと
※2 コピー機やプリンターなどの共用機材、あるいは、文房具置き場などを一カ所に集めた場所のこと

いまほしい栄養(情報)をピンポイントで補給できる“ビジネスのサプリメント”
「ビズサプリ」のご紹介

ページ共通メニューここまで。

ページの先頭へ戻る