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総務人事向け
弁護士が回答する! 総務人事が知っておくべき制度(第10回)

個人情報漏洩を起こした社員を懲戒解雇できますか?

2019年3月

Q. 個人情報漏洩を起こした社員を懲戒解雇できますか?

今般、個人情報を含む顧客リストが社外に流出する事案が発生しました。企業信用を問われかねない事態であり、懲戒解雇も視野に漏洩した社員に対する処分を検討しています。

A. 情報の機密性、目的の背信性、実害の程度が判断ポイント

個人情報漏洩(顧客情報の流出など)が発生してしまった場合、行政機関による監督指導、利用者に対する補償、民事訴訟による損害賠償請求のほか、漏洩事件が報じられることによる信用低下(レピュテーションリスク)などが強く懸念されます。

この場合、人事労務分野においては、情報漏洩を起こした社員に対する処分を検討しなければなりません。

裁判例を見ると、懲戒解雇の有効例として、

  • 背信的意図に基づいて大量の技術資料を持ち出した事案(大阪地判平13.3.23労経速1768号20頁)
  • 競業他社に流出させる目的で機密性の高い会議資料を持ち出してデータを漏洩した事案(東京地判平14.12.20労判845号44頁)
  • 取引先リストや昇給データを持ち出して窃盗罪で有罪判決を受けた事案(大阪地判平24.11.2労経速2170号3頁)

があります。情報の機密性と目的の背信性を重く見ています。厳格な処分という観点からも情報セキュリティ(機密性の確保)は重要です。

これに対し、懲戒解雇の無効例として、上司の許可を得ず顧客リストを外部業者にデータ送信した事案につき、顧客リストの送信には会社の営業を促進させ売上を伸ばす側面があったこと、会社に実害が生じた形跡が認められないこと等から、懲戒解雇は酷に失すると判示したものがあります(東京地判平24.8.28労判1060号63頁)。目的が背信的とはいえないこと、実害の発生には至っていないことを重視した判断です。

このように、情報漏洩事案で懲戒解雇まで踏み切れるかは、故意による行為か、背信的な目的があったか、情報の機密性はどの程度か、会社に実害が生じたかといったポイントをもとに調査、検討する必要があります。行為の背信性が認められない場合や過失による漏洩の場合(飲酒して紛失など)、懲戒処分や人事処分(降職、減給、配転など)を行うことは可能ですが、懲戒解雇については慎重に考えるべきです。

弁護士が回答する!総務人事が知っておくべき制度

筆者プロフィール

橘 大樹(たちばな ひろき)

橘 大樹(たちばな ひろき)

石嵜・山中総合法律事務所 弁護士
専門分野 労働法(経営側)

慶應義塾大学法学部法律学科、一橋大学法科大学院卒業。司法試験合格後、司法修習を経て弁護士登録、石嵜・山中総合法律事務所に入所。労働法を専門分野とし、訴訟、労働審判、団体交渉などの紛争対応、顧問企業からの法律相談のほか、執筆やセミナーに活躍中。

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