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総務人事向け
弁護士が回答する! 総務人事が知っておくべき制度(第15回)

メンタル不調の社員について主治医診断書に従わなければなりませんか?

2019年8月

Q. メンタル不調の社員について主治医診断書に従わなければなりませんか?

メンタル不調により休職に入っていた社員がいます。その後、休職期間の満了が近づいたところで「復職可」という主治医の診断書を提出してきましたが、本当に治癒したのか、主治医の先生が本人の言い分どおりに診断書を書いたのではという疑念もあります。

A. 主治医診断書は労働者や家族の希望が含まれている場合もあります

休職中の社員から復職申出があった場合、企業は、復職要件である「治癒」を満たすかどうかを判定しなければなりません。この「治癒」とは、労働者の本来業務を通常の程度に行える健康状態に回復したことを意味します。医学的な意味での回復ではなく、職場で求められる業務遂行が可能かという人事的な意味である点がポイントです。

そのため、主治医の「復職可」という診断書の提出がスタートになりますが、それだけで復職を認めなければならないわけではありません。厚生労働省の手引きでも「主治医による診断書の内容は、病状の回復程度によって職場復帰の可能性を判断していることが多く、それはただちにその職場で求められる業務遂行能力まで回復しているか否かの判断とは限らない」「労働者や家族の希望が含まれている場合もある」と述べられています(心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援手引き)。

つまり、主治医診断書には、(1)職場での本来業務を通常程度こなせるかという人事的なところまで主治医は判断できない、(2)労働者や家族の希望が含まれている場合もあるという限界を伴います。

したがって、「復職可」とする主治医診断書に疑念が持たれる場合は、(a) 産業医の見解を確認する、(b) それに当たり産業医と本人を面談させる、(c) 本人了承のもと企業の担当者が主治医の話を聴きに行くといった各手法を通じ、本当に「治癒」の要件を満たすのか精査すべきです。裁判例でも「原告の職務について具体的内容を把握していたかに疑問」と述べて主治医診断書の信用性を否定したものがあります(東京地判平16.3.26労働判例876号56頁)。

弁護士が回答する!総務人事が知っておくべき制度

筆者プロフィール

橘 大樹(たちばな ひろき)

橘 大樹(たちばな ひろき)

石嵜・山中総合法律事務所 弁護士
専門分野 労働法(経営側)

慶應義塾大学法学部法律学科、一橋大学法科大学院卒業。司法試験合格後、司法修習を経て弁護士登録、石嵜・山中総合法律事務所に入所。労働法を専門分野とし、訴訟、労働審判、団体交渉などの紛争対応、顧問企業からの法律相談のほか、執筆やセミナーに活躍中。

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