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労働法専門弁護士が回答! 労務管理担当者が知っておくべきFAQ集(第17回)

会社で「学習」「研修」をした時間は労働時間になりますか?

2019年10月

Q. 会社で「学習」「研修」をした時間は労働時間になりますか?

終業時刻後に会社主催の研修会を実施します。あくまで任意参加ですが、スキルアップ向上に役立つため、上長からは出来れば参加するようにと推奨はしています。社員が研修会に参加した時間は労働時間としてカウントしなくても大丈夫でしょうか。

A. 会社の「指示」「義務付け」による場合は労働時間に当たります

会社の義務付け(指示)に基づいて社内で業務活動に就いた時間は労働基準法上の労働時間に該当し、三六協定や残業代支払いのカウント対象になります(最判平12.3.9民集54巻3号801頁)。

学習や研修についてもこの判断基準が適用されます。業務に関連する研修に参加するよう会社が義務付けた場合には労働時間としてカウントしなければなりませんが、逆に、会社が義務付けた事実はなく、あくまで任意参加のものであれば労働時間としてカウントする必要はありません。義務付け(指示)の有無がポイントです。

2017年1月20日に厚労省が策定した「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」においても、「参加することが業務上義務付けられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間」は労働時間に当たると述べられています。このガイドラインの記述は、研修・教育訓練の受講や学習等が労働時間に当たると言っているわけではなく、それらが「業務上義務付け」「使用者の指示」に基づく場合に労働時間に当たるという意味であるため、注意が必要です。

裁判例でも、WEB学習等によるスキルアップを上司が推奨し、WEB学習の状況が社内のシステムで把握されていたとしても、これを業務の「指示」と見ることはできず、WEB学習に従事した時間は労働時間に当たらないとしたものがあります(大阪高判平22.11.19労経速2327号3頁)。

Qのようにあくまで上長の「推奨」というレベルであれば、それに応じて部下が参加したとしても労働時間には当たりません。しかし、名目上は「任意」「推奨」とうたっていても、参加しないと欠勤と取り扱われる、人事査定でマイナス評価を受ける、上司が不参加に対して注意・叱責するといった実態まで伴うと、労働時間に当たる可能性があるので要注意です(こうした実態が見られる場合、黙示の指示があったか、又は参加を余儀なくされていたとして、使用者の指揮命令下に置かれた時間と判断されるためです)。

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